「エアアジア・ジャパン」消滅へ!記者発表に参加して感じたこと

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ANAホールディングスとマレーシアのエアアジアの合弁事業である『エアアジア・ジャパン』の提携解消に伴う会見に参加してきたので、会見で感じたことなどをレポート。

■ANAとエアアジアの提携が解消/エアアジア・ジャパンは消滅へ
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提携解消の目的は『ANAとしてLCC事業をより主体的に運営していくこと』

会見の冒頭で、ANAとエアアジアの合弁事業の解消について合意したことが明らかにされ、現在のエアアジア・ジャパンはANAホールディングスの100%子会社となり、10月末までは『エアアジア』ブランドで運行を継続することが発表された。

ANAは、提携解消の目的を『ANAとしてLCC事業をより主体的に運営していくこと』としており、エアアジアとの合弁でスタートした『エアアジア・ジャパン』の運営において、ANA側が思うようにイニシアティブを取れなかったことが、会見中に発せられた言葉から感じることができた。

例えば、エアアジア・ジャパンでは、1か月間の間で運賃が安い日程を検索できる『1か月チャート』機能が、4月より追加されていたけれど、これは各国のエアアジアのWebサイトの中でも日本語版のエアアジアのWebサイトでのみ有効な機能となっており、日本語以外のエアアジアのWebサイトでは、この機能は有効になっていなかった。
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今になって考えると『1か月チャート』機能についても、日本国内線に就航しているLCC、Peach&ジェットスターが同様の機能を提供しているため、ANAからの要望によってエアアジア側としては本意ではないながらも渋々対応した機能。と考えることができる。

ANA側が主張した『エアアジアとの合弁事業では主体性を発揮できない』というのは、こういった機能一つへの対応状況を見ても理解することができるように思えた。

エアアジア・ジャパンの赤字額は35億円/ジェットスター・ジャパンよりも赤字は小さい

会見の中で、エアアジア・ジャパンは35億円の営業赤字であることが発表され、初年度より黒字を目指していた一方で、厳しい結果となった。

ただし、同じく成田空港を拠点とするLCC、ジェットスター・ジャパンは48億円近い赤字であることが報道されており、この報道通りであれば、エアアジア・ジャパンが他社と比べて著しく赤字額が大きいとは思えない。

ANAの会見の中でも『業績が悪い/収益性が低い』というよりは『LCC事業に主体性を持って取り組むことができなかった』という旨がメインで説明されており、平たく言えばエアアジア側がANAのリクエストを受け入れず、本国流のスタイルを貫いたことによって、ANA側が合弁事業から手を引いた。という流れのように理解できる。

ANAは7月末までに今後の展開を発表予定/成田拠点のLCCを新ブランドで立ち上げへ

今回の会見は『提携解消』に関する発表であり、提携解消後の展開については7月末までに改めて発表する。として詳細の発表が伏せられたが、会見の中での説明を聞いていると、現在のエアアジア・ジャパンを100%子会社化した後の展開として、ANAでは成田拠点のLCCを新ブランドで立ち上げることことがほぼ確実であるように推測できた。

ANAホールディングスは別途、関空を拠点にするLCC『Peach』へも資本参加しているけれど、Peachは先日の関空 ⇔ 成田線への新規参入の際に『成田を拠点とすることは考えていない』という旨を明らかにしている上、今回の会見中のANA側の説明からも『Peachとは異なるブランドでの新LCCの立ち上げ』を軸に検討していることが理解できた。

エアアジアブランドでの運行が終了する11月以降の就航都市、機材数などの詳細は未定であるとしながらも、ANAは共同事業の解消後も、引き続き成田拠点のLCC事業を継続すると発表していることから、成田拠点のLCC事業を引き続き行うものと予想される。

ANAが新LCCで目指すのは『日本人に合わせたきめ細かなサービス』

『エアアジア・ジャパン』が失敗した理由として、

・エアアジアの認知度の低さ
・成田発着の国内線に対する認知度の低さ
・Webサイトの使いづらさ

などの理由がANAから挙げられ、今後設立を目指すと予想される新LCCでは『日本人に合わせたきめ細かなサービス』の提供を行う方針であることが、繰り返し発言されていた。

しかしながら、ジェットスター・ジャパンやPeachなど、エアアジア・ジャパン以外に国内線に参入しているLCCが『日本人に合わせたきめ細かなサービス』によって好評を得ているかと言えばそうには思えず、ANAの言う『日本人に合わせたきめ細かなサービス』は、コスト増加の要因になる可能性は容易に考えられるものの、十分な利用者に寄与するのかと言われれば、正直言って厳しいように感じた。

ジェットスターやPeachと比較して、Webサイトの使い勝手がイマイチであることは、3社のWebサイトを使い比べてみれば理解することができるので『自社サイトからの航空券購入』を容易にすることは、Webサイトからの直販比率を高めることによって旅行代理店への手数料支払いの圧縮を目指すLCCとして重要であることは当然理解できる。

一方で、LCCの利用者が『日本人に合わせたきめ細かなサービス』を求めているのかと言われればそうは思えず、大手航空会社が先に存在している中で『日本人に合わせたきめ細かなサービス』を求めるのであれば、それこそANAなどの大手航空会社を利用すれば良いのでは。と思う。

当然、従来と同様あるいは従来よりも安い運賃で『日本人に合わせたきめ細かなサービス』を両立して提供することが可能なのであれば歓迎ではあるものの、低運賃を保ったままコストアップに繋がるサービスを提供することは簡単ではないように思う。

ANAとエアアジア、それぞれのLCC新展開に期待!

ANAとエアアジアの合弁である『エアアジア・ジャパン』は、就航から1年を待たずに合弁解消&消滅という残念な結果となってしまったけれど、ANAが新しく設立することが期待できるLCC新会社と、エアアジアの再参入による市場活性化に期待したいなと。

なお、今回行われた会見のレポートについてはTraicyにも掲載しているので、リンクにてご紹介まで。
「エアアジア・ジャパン」が消滅!ANA「新LCCでは日本人に合わせたきめ細かなサービス」を目指す : Traicy(トライシー)〜旅行がより楽しくお得になる情報を発信するブログメディア〜

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