スポーツライターの林壮一氏が、アメリカの劣等性の集団(本書より)のチャータースクール(Wikipedia)にて授業を担当した経験をまとめたルポ。
筆者が直接体験した出来事だけに、リアリティーのある展開にひきつけられる。
チャータースクールに通う生徒の大半が、明るいとはいえない家庭環境だったり、高校卒業の資格を手にできる生徒が年間に1人しか居ないなど、劣悪な環境の中でどうやって教育を行うか?
筆者の体当たりの体験と、ジャーナリストとしてインタビューで得られた言葉を織り交ぜて、若者にどうやって希望を持たせるべきかが語られている。
『スクール☆ウォーズ』は1970年代の実話を脚色したものだが、90年代後半には日本の小学校で「学級崩壊」が問題になった。まさに、このような事態を指すのではないか。私が受け持った学生は高校生でありながら、小学生以下の思考能力しか持ち合わせていないようだ。(27ページ)
しかしこれは、生徒自身の問題というよりも、育ってきた環境であったり、躾るべく存在が不在しているという環境的な要因が大きく影響している。
格差の拡大によって固定化された下層社会がうまれると、日本の教育現場もこのような状態になるんだろうか…。
格差社会・教育問題に興味のある方におすすめ。
◆関連リンク◆
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