Operaが開発を行ってきた独自のエンジンを、次期製品よりレンダリングエンジンを「Webkit」に、JavScriptエンジンを「V8」にそれぞれ移行する事を発表している。
INTERNET Watchの記事は以下より。
Opera、ブラウザーエンジンの変更を発表、新バージョンは順次「WebKit」に -INTERNET Watch
Operaのブラウザーエンジンはこれまで独自開発の「Presto」だったが、今後はレンダリングエンジンに「WebKit」、JavaScriptエンジンに「V8」を使用する。Operaも今後は、Google Chromeのベースともなっているオープンソースブラウザー「Chromium」をベースに開発していくことになる。
Operaのプレスリリース(英語)は以下より。
月間3億ユーザ達成に関してと、Webkitへの移行について触れられている。
Opera gears up at 300 million users
Webkitへの移行については、もう少し詳しい話がOperaの開発者向けのBlogにて告知されている。
Opera Developer News – 300 million users and move to WebKit
Operaがなぜ独自のエンジンから、Webkitへ切り替えるのか?
という疑問に対しては、以下のように訳されている。
WebKit プロジェクトは今や,我々が HTML5 仕様に取り掛かったころには夢にも思えなかった程の幾つもの標準に対応しています.であれば WebKit にすでに実装されているものに対してリソースを重複させるより,我々は,よりよいブラウザを生み出す「イノベーション」に注力することができます.Opera がこれまで為してきたタブブラウジング や Speed Dial,ページ読込み高速化のためのデータ圧縮といったイノベーションは広く模倣され Web 全体を改善しています.
Operaが長年開発を続けてきた独自のブラウザエンジン開発を終了する。というのは、Operaユーザとしては当然寂しくも思えるけれども、ここ数年のOperaとその競合ブラウザの関係を見ていると、ブラウザのコア部分でOperaが使いやすいとか便利と思った事はほとんど無く、むしろChromeなどのブラウザの使い勝手がよくなり、Webサービス側も『Chromeはサポートするけれど、Operaは非サポート』とするWebサービスも増えてきたので、メインのWebブラウザをOperaからChromeに乗り換えるチャレンジを何度かしていた。(結果的に乗り換える事は無く、メインのWebブラウザは引き続きOperaだけれど…)
個人的には、Operaが気に入っているのは、数年前は低スペックのPCでも速く動作する『世界一高速なブラウザ』だった事に端を発しており(今はその宣伝はしていないけれど)、その後はどちらかと言うとOperaブラウザそのものの使い勝手というよりも、
・長年使っていたために単純にOperaの使い勝手、ショートカット類に慣れてしまった
・Opera Linkを介して検索エンジン、ブックマーク、メモ、パーソナルバーが同期できる
というような、ブラウザのコアそのものの使い勝手というよりは『ユーザとしての使用環境がOpera Link経由でどんな環境でも同じように使える』という事の方が価値が大きい。
という事に気付いていて、一方でブラウザのコア部分に対しては不満に感じる事が増えてきたので『ChromeのコアにOpera Linkをサポートしたブラウザ』が使えたらなぁ…というような思いを抱くようになっていたので、今回Operaが独自のレンダリングエンジンからWebkitへ移行する事に対しては、寂しいという気持ちはありつつも、開発者向けのBlogの方でコメントしている『ブラウザコア以外の独自の付加価値への集中』部分で頑張って欲しいなという思い。
一方で、プロダクトとしてのOperaのイノベーションという意味では、創業者であり以前のCEOだったJon S. von Tetzchner氏がCEOを退任(その後退社)した頃から、以前と比べてあまりイノベーションを感じる事が少なくなっていて、今回のWebkitへの移行も、Operaの製品開発力が低下してきた事に起因するものだとすれば、『ブラウザコア以外の部分での付加価値提供に注力する』というのも、あまり期待できるものではないかもしれない…。という危惧も感じていたり。
長年Operaを使っているユーザとしてはいろいろな思いがあるけれど、ひとまずこれまで独自のエンジン開発お疲れ様でした&今後のWebkitエンジン版に期待しますというところで。