日本通信が提供を開始した『スマホ電話SIM』の短期解約(MNPによる他社転出を含む)に対して解除料が設定され、変更が即日適用開始されている。
『スマホ電話SIM』の解除料設定については、日本通信のWebサイトにて明らかにされている。
変更は2012年8月8日15:00以降の申込とされており、今回については今年3月に突如設定したb-mobile talking SIMの際の『他社の過度なMNP優遇への公開抗議』とは異なり、契約期間を遡っての契約変更は適用されていない。
今年3月に設定されたb-mobile talking SIMの公開抗議については以下エントリにて。
日本通信が過度なMNPインセンティブに対する公開抗議を発表 | shimajiro@mobiler
このときのプレスリリースでは、日本通信は以下のように訴えていた。
当社としては、最低利用期間の定めのないSIMについても、ルールに則った契約事務手数料、通信料、及びMNP手続き手数料を頂戴しているため、短期間でのMNPによる転出があっても、経営的には問題ありません。
しかしながら、当社は、通信業界の健全な発展に貢献するためにMVNO事業モデルを実現し、この事業モデルによって今後の成長戦略を推進していく企業として、本件のような通信業界の問題についても、適切に問題提起し、解決を訴えてまいります。
その後、talking SIMの解除料は7/23以降の申込については免除されるように変更があったので、結果的に一般利用者を巻き込んでの公開抗議は約4ヶ月続いた計算になるのだけれど、その後発表した『スマホ電話SIM』はサービス提供開始から数日で『契約期間縛りなし』のサービスから『短期解約には違約金を設定』するサービスへと変更となっている。
今年の3月、日本通信は一般のユーザを巻き込み、適用期間を遡ってまで『過度なMNPに対する公開抗議』をしたけれど、新しく開始した『スマホ電話SIM』については、開始当初設定していなかった最低利用期間と、それに伴う違約金を設定したのは、恐らく予想していた以上に短期間での解約が多かったからである事が予想されるけれど、この見通しは甘かったようにも思うし、先日のプレスリリースで記載のある通り、短期間のMNP転出でも日本通信の経営に問題が無いとするのであれば、敢えて短期の解約に対して解除料を設定しなければならない合理的な理由は無いようにも思える。
もっとダイレクトに言うと、今回の変更は『過度なインセンティブに対する公開抗議』というよりも『MNP転出に使われても構わないから、その分解除料収入を得る』という事が目的なんじゃないかとも思える(それ自体は営利企業としての経営として間違っているとは思わないけれど)
と言うのも、プリペイドサービスなどでのMNP転出時のハードルを高くする変更自体は各社行っているものの、MNP転出しない利用者に対する負担が一番少ない形での変更を行っているのは意外にもSoftBankで、提供中のプリモバイルサービスでは『契約から1年以内の解約』に対してのみ、解除手数料(9,975円)が発生する形をとっており、『MNP転出はしないけれど、短期解約もしない』というユーザにとっては、料金面での新たな負担が生まれない形となっており、日本通信でも似たような形をとる事が出来なかったのかなぁ…と思う。
※その分、SoftBankとしては解約扱いにならないので契約の回線数が減らない。という要素も狙っている可能性は否定しないけれど、MNP転出しないユーザにとって負担が小さい。という面は事実。
MNPによる転出だけでなく、通常の利用者に対しても影響のある変更を、告知とほぼ同時に(遡って適用した前回とは異なり、今回は若干の猶予があったけれど)開始したのは一般のユーザにも当然影響があるので、その点は『MNPによる短期転出を目的としない利用者』が不利益を被る事になる点、同社の一連の動きはどうしても応援しづらいなと思っていたり。