東海道新幹線の新型車両『N700系』にて提供されている公衆無線LANサービスにて、動画の閲覧や大容量ファイルのダウンロードに速度制限が行われるという記事が、ケータイWatchにて公開されている。
東海道新幹線「N700系」車内Wi-Fi、5月末より一部帯域制限 – ケータイ Watch
いわゆる公衆無線LANのサービスで通信速度の制限を行うのは、記憶している限り初めてなんだけれど、背景には東海道新幹線のN700系の公衆無線LANサービスのバックボーン回線の速度が限られているため。という事情がある。
NTT BPでは、新幹線での公衆無線LANサービスは、ケーブルに穴を開けて、漏れ出る電波で通信するLCX(漏洩同軸ケーブル)で実現しており、もともと最大2Mbpsという限られた通信速度のところへ、スマートフォンの普及もあって、サービス開始以来、うなぎ登りにトラフィックが増えていると説明。ユーザーからは使いにくいという意見が寄せられているとのことで、特に動画視聴は帯域を占有してしまい、Webブラウジングなどを利用したい他のユーザーの通信が滞ることになっていた。そこで今回は、YouTubeやニコニコ動画といった動画サービス、あるいはWindows Updateのようなファイルダウンロードが対象となった。ただし遮断ではなく、通信速度が遅くなる形になるとのこと。Webブラウジングなど、対象外のアプリやサービスはこれまで通りとなる。
新幹線のN700系や成田エクスプレスで提供されている公衆無線LANサービスが提供されているけれど、接続設定が面倒くさいという思い込みと、通信速度がそもそもそんなに出ないのでは?と思っていて、実はほとんど使った事がない。
⇒全ての車内Wi-Fiサービスがそうだとは思っていないけれど、今回のN700系のように、バックボーンの回線の速度が遅そうで、結局自前のモバイル回線を使うのと大差無いのでは?という考えもあった(^ ^;
固定回線がバックボーンになっているようなアクセスポイントは、今回のような問題は無いと思うけれど、最近の公衆無線LANサービスのバックボーン回線には、WiMAXだったりHSDPAだったり、モバイル回線が使われている事もままあるので、『Wi-Fiだから通信が快適』とは、必ずしも言えないのかなと。
利用者としては『Wi-Fi = 快適な速度』という認識が一般的な気がしているので、接続している回線のバックボーンの通信速度とかをカンタンに確認する事ができるようになったら、モバイル回線を使うか、公衆無線LANを使うかの目安になると思うのだけれど…(^ ^;
と書いたところで思い出したのが、au Wi-Fiで採用されている、無線LANと3Gの回線状況を比較して、通信状態の良い回線に接続する技術。
※電波の善し悪しだけでは無い点が興味深いポイント。
KDDIも公衆無線LAN拡充、「2012年3月までに10万局規模に」:ニュース:PC Online
自動ログイン機能のアルゴリズムはKDDI系列のKDDI研究所が開発しており、3Gと公衆無線LANの回線状況を比較して良好な方を選択する仕組みとなっている。例えば、公衆無線LANのエリア内ではあるものの、アクセスポイントから遠かったり同時接続ユーザー数が多かったりして公衆無線LANの回線速度が遅い場合、3Gに自動切替することでユーザーの待ち時間を減らすよう配慮しているとする。
こんな感じで、ユーザ側で特に意識する事無く『結果的に快適なネットワークに繋がる』状態が当たり前になると、インフラの効率利用という観点からも、ユーザの通信環境という面からも良いのかなと。