バニラエア社長の「1年前より運賃を下げた」発言を合計金額ベースで検証してみた

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成田空港第3ターミナルの開業を記念し、バニラエア社長が乗客向けに行った挨拶の内容がAviationWireに公開されている。

バニラエア石井社長「コスト下がり運賃も下げた」 特集・成田LCCターミナル開業(前編)

「コストが下がることも織り込んでいるので、昨年と比べて(3月29日から始まった)夏ダイヤの運賃は1000円以上値下げしている」と、コスト削減を運賃にも反映できたことを明かした。

バニラエアの社長の言う「昨年と比べて運賃が1,000円以上値下げしている」というのは、運賃を下げたというよりは2014年夏ダイヤまでは「シンプルバニラ」の価格に含まれていた受託手荷物の料金を、2014年冬ダイヤ以降は「シンプルバニラ」の価格に含まずに、有料オプションとしたことによるものが大きい。

バニラエアの2014年夏 〜 2015年夏の各種料金を比較した表は以下。
※2014年夏時点で就航している4路線のみ比較。

■バニラエア:2014年夏 〜 2015年夏の価格比較
バニラエア:2014年夏 〜 2015年夏の価格比較
※運賃に含まれていない料金は、支払手数料 + 空港使用料の合計金額。

運賃体系が変更された2014年夏 → 2014年冬を「受託手荷物あり」の支払総額で比較すると、成田 〜 札幌以外は支払総額が値下がりしているものの、2014年冬 → 2015年夏を比較すると、上記の4路線は全路線の最低運賃が値上げされている。

「受託手荷物あり」で比較すると、2014年夏 → 2015年夏で支払総額が安くなっているのは空港使用料の下げ幅が大きな成田 〜 台北の国際線のみで、国内線については1年前と同じサービスを受けようとした場合、全路線で搭乗者の支払総額が増加しているのは残念なところ。

受託手荷物無しで考えれば約1,000円〜 1,500円ほどの値下げとも言えるけれど、これを以て「運賃の値下げ」とするのは違和感があり、1年前(2014年夏)と比べて「運賃が安い」とするのであれば、受託手荷物ありの料金で「1,000円以上の値下げ」を実現して欲しいと思う。

バニラエアに限らず、LCC各社は受託手荷物など各種オプション料金や支払手数料などを値上げしているほか、成田空港第3ターミナルの開業後は施設使用料の搭乗者負担により、実際には搭乗者の負担が大きくなっているにも関わらず、バニラエア社長の「1年前と比べて運賃が下がった」とするコメントは、ポジショントークとしては理解できるけれど、実態を表しているようには思わないし、見かけ上の「運賃」を値下げして支払手数料などを値上げしていくのは健全な競争とは思えない。
関連エントリ:LCC国内線、支払手数料 + 空港使用料の合計金額は1年間で最大4.4倍に値上げ – 「低価格」のメリットが薄れる | shimajiro@mobiler

また、成田第3ターミナルについては「(バニラエアの)オフィスから遠くなった」としているものの、東京駅などから発着するいわゆる「格安バス」および、既存の鉄道駅からのアクセスが遠くなった点での搭乗者の負担(移動時間の増加)についてはコメントがされておらず、この点についても個人的には少々残念に思うところ。
※ただし、第3ターミナルで国内線&国際線のカウンターが一緒になったのは利用客にもメリットがあるとは思う。

「カウンターも国際線と国内線が一緒になったのは良かった。これまではお客様にとってはわかりにくく、われわれのスタッフもあちこち行かなければならなかった。オフィスからは遠くなったけどね」と、石井社長は第3ターミナルの作りを評価した。

成田空港第3ターミナルの開業によって、ターミナルまでの移動時間が増えた&支払手数料や空港使用料の負担増加が、搭乗者数の減少に大きく繋がる要因になるとは思わないけれど、個人的には1年前と比べればLCCの国内線を利用するメリットはかなり薄れてきているように感じるところ。