ヤフー、イー・アクセス買収の中止を発表/新社名はY!mobileで変更なし

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ソフトバンクグループのヤフーは、6月に予定していたイー・アクセスの買収を中止することを発表。

当初予定では、

(1)6月1日にイー・アクセスとWILLCOMが合併
(2)合併後の新会社をヤフーが買収し『Y!mobile』として展開

が予定されていたものの、(2)については行われないことが発表された。

ただし、『Y!mobile』という名称についてはイー・アクセスとWILLCOMが合併する会社が使用する予定となるため、ヤフーとは資本関係の無い『Y!mobile』が誕生する予定。

買収の中止を決定した理由は、『ヤフーがイー・アクセスを子会社化するよりも、ヤフーはサービス、イー・アクセスはインフラで分業した方が望ましい』との結論に至った。とされている。

ヤフーによるプレスリリースは以下より。

ヤフー株式会社によるイー・アクセス株式会社の株式取得の中止と今後の協業について / プレスルーム – ヤフー株式会社

ヤフーがイー・アクセスを子会社化して自らインフラを手がけるよりも、ヤフーはサービス、イー・アクセスはインフラというそれぞれの強みを生かした協業の形で事業を進めていくことが望ましいとの結論に至りました。

ヤフーのイー・アクセスの買収についは、2014年3月期の決算発表会においてソフトバンクの代表取締役社長の孫氏より、

『最近この、宮坂君のですね、Y!mobileの発表以降ですね、ヤフーは結局、ソフトバンクの財布だったのねと。ソフトバンクが、きっと色んなとこにお金が必要だろうから、そのお金の調達源として、ヤフーにイー・モバイルとWILLCOMを押しつけたんだね。そしてそこから現金を吸い上げたかったんだね。と、いう記事がたくさんでておりますし、アナリストの皆さんからもそういうような質問もたくさんあがっていると、いうことを聞いております。

宮坂君からは最近、やっぱやらなきゃよかったかなぁ…。とか、いうような、やや泣き言が出ておりますが、でも、彼はそれは冗談半分でありまして、本気でですね、Y!mobileを伸ばすと、これがヤフー・ジャパンの新たな成長軸としてですね、ヤフーのインターネットのコンテンツ及びサービスが、モバイルとより連携することによって成長すると、心から信じて提案を受け、我々は提案を受け、まぁ何度か本気か?ということを確認した上で、こういう風な発表に至ったわけです。

ということでヤフー・ジャパン、これからますます、私は伸びるという風に信じています。』

■ヤフーの『新成長戦略』と紹介された買収
2014年3月期 決算説明会 ソフトバンク

とコメントしていたものの、決算発表会でのコメントから2週間を待たずに、ヤフーによるイー・アクセス買収は中止が発表された。

2014年3月期 決算説明会 | ソフトバンク
※ヤフーによる携帯電話事業への参入については、決算発表会の28:20 〜 30:30前後でコメントされている。

ヤフーによるイー・アクセス買収の中止の背景には、国内の電波行政を担当する総務省が、携帯電話向けの周波数の割当および運用ルールについて、電波の割当は会社単位ではなく、グループ単位で検討するほか、異なる免許人(事業者)間でのキャリアアグリゲーションを認める方向で検討を行うなど、電波の割当および運用において従来の『会社単位』から『グループ単位』へ変更する方針が影響していると思われる。

携帯電波、グループで共同利用 総務省が15年にも  :日本経済新聞

総務省はスマートフォン(スマホ)の通信速度を上げるため、携帯電話会社どうしが電波を共同利用できるようにする検討に入った。大容量の動画の受信などで電波が混み合っており、会社をまたいだ有効活用を認める。ソフトバンクなどがグループ内の電波をかき集めて高速通信サービスを始める見通し。

新会社であるY!mobileは、6月よりサービスを提供開始予定としながらも、サービス開始の2週間前になっても具体的なサービス内容などは一切不明になっていたので、『既存ブランドを含めて、どうなるんだろう???』と思っていたところに、ヤフーによる買収の中止が発表された。

携帯電話業界への参入に話を遡ると、ソフトバンクは新規参入事業者として、総務省より認可を受けて電波を割当られていたものの、その後ボーダフォン・ジャパンを買収する戦略に方針を転換し、docomo、KDDIに次ぐ第3位の事業者として参入するなどの経緯があった。

今回のヤフーのイー・アクセス買収関連の動きは、ソフトバンクグループ内の動きとは言え、ヤフーが本気で携帯電話事業に参入するつもりがあったのか?と思わざるを得ない結果となってしまったのは、少々残念に思う。

合併予定のイー・アクセスとWILLCOMについては、イー・アクセスは携帯電話網を利用した定額制インターネットサービス提供のパイオニアであったし、WILLCOMについては携帯電話に先駆けて、PHSネットワークを利用し、モバイル初となる定額制のデータ通信サービスの提供だったり、1通話10分までという制限つきではあるものの、業界初の音声通話定額サービスなど、現在のモバイル業界におけるサービスのパイオニア的な存在であっただけに、合併後も今後も両者のパイオニア精神を忘れないでいただきたいなと思う。