Xi対応のモバイルWi-Fiルータのうち、docomoから発売されている
・L-09C
・BF-01D
・L-04D
の3機種についてのレビューまとめ。
■Xi対応のモバイルWi-Fiルータ:L-09C/BF-01D/L-04D
■L-09C:発売から1年が経過するもバランスが良い
L-09CはXi対応のモバイルWi-Fiルータの初代として、2011年6月に発売されたモデルでありながら、未だ現役で十分活躍できるモバイルWi-Fiルータで、バッテリーの連続動作時間や本体サイズなど、トータルバランスの良いモデルと思う。
標準バッテリの容量は2,700mAhとなっており、docomoから発売されているXi対応のモバイルWi-Fiルータの中で最大。バッテリーの容量は大容量なんだけれど、重さは約156gとなっており、BF-01Dと比べると約40g軽く、見た目ほど重くは感じない。
サイズに関しても、縦に長い長方形が特長的なサイズだけれど、端末の厚さは15.9mmとなっていて、厚さは気になる事は少ない。
通信状態などなどは本体ディスプレイに表示されるので、電波状態が気になる時は本体ディスプレイを見れば一目瞭然でわかりやすいし、これと言った欠点も無く、連続通信時間もXi対応の中では最長となっており、Xi対応のモバイルWi-Fiルータとしてバランスが良い。
スタンバイ/スリープのような省電力機能は非対応だけれど、Wi-Fi側をOFFにしておくとかなりバッテリ消費を小さくする事が出来るので、
通信利用をしない時:Wi-FiをOFFに切替
通信利用をする時:Wi-FiをONに切替
とする事で、バッテリ消費を大きく改善出来るし、Wi-FiのON/OFFは3秒前後で完了するので実用的な運用方法と思う。
ただ、そもそも電源の投入から接続の完了まで15秒程度と、docomoから発売されているXi対応のモバイルWi-Fiルータ3機種の中では一番速い端末だったりするので、Wi-Fi OFFではなく電源自体を落としてしまっても、それほど待ち時間が発生する事は無い(^ ^;
関連エントリ:L-04D/L-09C/BF-01Dの起動〜通信確立までの時間比較 | shimajiro@mobiler
最近のモバイルWi-Fiルータで対応機種が増えてきている、公衆無線LANへの接続機能だったり、クレードルに挿しての充電や、USB接続してのモデム利用に非対応となっているのは少々物足りないなと感じはするものの、1年以上前に発売されながら、大きな不満が無く使えるトータルでバランスの良い1台と思う。
注意が必要な点としては、『充電しながら通信する事が出来ない』仕様となっているために『充電するためには本体電源を落とした状態で充電する必要がある』ので、その点は慣れるまでは注意が必要。
また、電源を落として充電中の状態からmicroUSBのケーブルを抜くと、本体が自動的に電源ONとなる仕様なので、この点も注意(^ ^;
L-09Cの白ロム販売価格は一時期3,000円前後まで下落していたけれど、Xi対応のMVNOのサービス発表などにより値上がりし、ピーク時よりは落ち着いたものの7,000円前後となっている。
ドコモ Xi対応モバイルルータ L-09C ホワイト(Amazon)
■BF-01D:個人的には期待大だったけれど使いどころが難しい
個人的にXi対応のモバイルWi-Fiルータの中で一番期待していたのは、FOMA時代で最も完成度の高いモバイルWi-Fiルータだった『BF-01B』の後継機であるBF-01C改め、BF-01Dだったのだけれど、その期待に見合った完成度かと言われると、残念ながら完成度はそれほど高くなく、まだまだ改善の余地が大きく残っている端末と言わざるを得ない。
BF-01Dは、
・クレードル経由で固定回線に接続可能
・公衆無線LANへの接続に対応
という、BF-01Bの特長をそのまま引き継いではいるものの、Xi対応の弊害として以下の点がマイナスになっており、純粋に『モバイルWi-Fiルータ』として評価するのであれば、L-09CやL-04Dの方が使いやすいと思う。
・端末サイズが大型化
・重さが193gとモバイルWi-Fiルータで最重量クラス
・連続通信時間が短縮
特に、BF-01Bと同じ感覚で使っていると、バッテリ自体は同じものを使い回しており、容量が大きくなっていないのに消費電力が大きくなっているため、みるみるうちにバッテリが減っていってしまい、気がついたらバッテリが空になっていたという事が良くある(^ ^;
L-09Cと比べても端末サイズが嵩張り、重くなっているにも関わらず連続通信時間は短くなってしまっているので、予備バッテリが無い場合に『ずっと電源ONにして使い続ける』という運用には向かず『必要なタイミングで電源をONにして使う』という使い方が良いと思うのだけれど、その場合にネックになるのはBF-01Dの電源ON〜通信確立までに60秒近く必要になるので、この運用はこの運用で、『使いたい時にすぐに使えない』というストレスが小さくない。
BF-01DとBF-01Bは同じバッテリを採用しているので、BF-01Bを使っていた頃に購入した互換バッテリを使っていたけれど、バッテリの入れ替え&入れ替えたバッテリの充電が面倒に感じるようになったので、それならばという事で大容量バッテリでの運用をつい最近開始したところ。
関連エントリ:BF-01Dの大容量バッテリを購入してみた | shimajiro@mobiler
BF-01Dは、前作のBF-01Bで(恐らく)好評だった、クレードル対応や公衆無線LANへの接続などなどを重視していると思うのだけれど、L-09CやL-04Dのようにシンプルに『モバイルWi-Fiルータ』としての使い勝手が良い製品を目指しても良かったんじゃないかなぁ…と思う。
と言うのも、公衆無線LANへの接続や、クレードル経由で固定回線のアクセスポイントとしての利用は、事前にある程度計画して準備する事が可能だし、1拠点での作業時間が長い場合に便利になると思うので、そういう意味では公衆無線LANへの接続用に、Xi対応ルータとは別にBF-01Bなどを公衆無線LAN接続専用の端末として使う事も、それほど使い勝手の悪い選択ではないと思う。
もちろん、WiMAX対応のモバイルWi-FiルータWM3600Rのように、連続通信時間も長く、端末サイズも極端に大きくならずに公衆無線LANへの接続やクレードル対応が一台で実現出来るのであれば文句は無いのだけれど、BF-01Dについては、Xi対応のモバイルWi-Fiルータでありながら、クレードル経由での固定網接続にも公衆無線LANにも対応と、前モデルのハイスペックをそのまま引きずった結果、製品として全体的な使い勝手が悪くなってしまったような印象もある。
それでも、BF-01D用の大容量バッテリを購入してまで使うのは、前モデルのBF-01Bを使っていた時代(あの頃はまだ都内でもFOMAが快適だった)が快適で、何ら不自由無く使えていたからで、同じような使い勝手をBF-01Dに求めているからなのかも(^ ^;
■L-04D:コンパクトかつ軽量で扱いやすい
docomoから発売されているXi対応のモバイルWi-Fiルータで最もコンパクトかつ計量で、唯一多色展開しているのがL-04D。
L-09CやBF-01Dと比較して圧倒的にコンパクトなのは一目瞭然で、他社を含めて発売済みのモバイルWi-Fiルータの中でも最もコンパクトで軽い部類の製品。
バッテリの容量は3機種の中で最も小さい1,650mAhとなっており、本体がコンパクトで小さい分、バッテリ容量も小さく、連続通信時間も短くなっており、サイズと連続通信時間がトレードオフになっている。
バッテリ容量自体は小さいけれど、L-09Cと同様に、Wi-Fiボタンを長押しする事でWi-Fi側の電源をON/OFFが可能になっており、通信を利用しない時はWi-FiをOFFにする事で、バッテリの持ちが一気に改善される上に、Wi-FiをONにするのは3秒程度で完了するため、非常に実用的かつあまり手間のかからない運用が可能。
公衆無線LANへの接続やクレードル経由での通信に非対応となっており、シンプルなモバイルWi-Fiルータという面で機能面ではL-09Cに非常に似ているけれど、充電周りについては通信中でもeneloopなどの外部電源からの充電に対応しており、本体のバッテリが空になってしまった状態でも、外部電源経由で『通信しながら充電』が可能になっているのは、L-09Cと比べると使い勝手の面で大きな改善と言える(^ ^)
Xi対応のモバイルWi-Fiルータの中で、唯一ディスプレイ上での通信量の表示にも対応しており、毎月の通信量を端末のディスプレイ上でカンタンに確認する事が可能なので、10月以降に開始される通信量の7GB/月の制限を考慮しながらの利用だったり、日本通信から発売されているPair GB(2GB/月まで)での利用などには丁度良い機能。
バッテリ容量が限られているので、モバイルWi-Fiルータをメインでガンガン使うような用途には正直物足りないけれど、通勤中の間だけ使うとか、1日の中で数時間だけ利用するという用途であれば、十分に役割をこなす事が出来るし、バッテリが空になってもeneloop経由で『充電しながら通信』が出来るのは心強い。
まとめ
というわけで、docomoから発売されているXi対応のモバイルWi-Fiルータ3台を比較レビューしてみたけれど、残念ながら端末としての性能や使いやすさは、WiMAXやEMOBILE LTE対応のモバイルWi-Fiルータに比べると改善の余地が大きく残っているのは事実なので、そういう意味では今後出てくるであろう新製品で、完成度が高くなる事を楽しみにしている。
Xi対応エリアとしては、面的な意味ではEMOBILE LTEやWiMAXに負けているものの、ビルの奥まった地点だったり、地下のお店でもXiエリアになる箇所が増えてきているので、対応エリアの広がりだったり、『深さ』は実感しているところなので、端末側の性能改善によってXi対応のモバイルWi-Fiルータが一気に使いやすくなる事に期待したい。
Xi対応モバイルWi-Fiルータのスペック比較
機種名 | L-04D | BF-01D | L-09C |
---|---|---|---|
メーカー | LG電子 | バッファロー | LG電子 |
白ロム価格 |
約10,000円 (Amazon) |
約16,800円 (Amazon) |
約7,000円 (Amazon) |
発売時期 | 2012年6月14日 | 2012年3月 | 2011年6月 |
公衆無線LANへの接続 | 非対応 | 対応 | 非対応 |
無線LAN方式 | IEEE802.11b/g/n |
IEEE802.11a/b/g/n (IEEE802.11aはWAN側のみ) |
IEEE802.11b/g/n |
同時最大接続数 | 10台 | 12台 | 10台 |
固定回線のAPとして利用 | 非対応 | クレードル経由で対応 | 非対応 |
最大通信速度(Xi) |
下り:75Mbps 上り:25Mbps |
下り:75Mbps 上り:25Mbps |
下り:75Mbps 上り:25Mbps |
最大通信速度(FOMA) |
下り:14.4Mbps 上り:5.7Mbps |
下り:14.4Mbps 上り:5.7Mbps |
下り:7.2Mbps 上り:5.7Mbps |
サイズ (縦、横、厚) |
90mm 62mm 12.6〜12.9mm |
68mm 108mm 21.4mm |
122mm 64mm 15.9mm |
重量 | 89g | 193g | 約156g |
連続待受時間 |
Xi:160時間 FOMA/320時間 |
30時間 | 210時間 |
電池容量 | 1,650mAh | 1,880mAh | 2,700mAh |
連続通信時間 |
4時間 (Xi接続時) 5時間 (FOMA接続時) |
4時間 (Xi接続時) 5.5時間 (FOMA接続時) |
6時間 (Xi接続時) 8時間 (FOMA接続時) |
内蔵メモリ | なし | 16GB |
なし ※外付けメモリとしてmicroSDを利用可能 |