元OperaのCEOである『Jon S. Von Tezchner』(以下、テッツナー氏)率いる『Vivaldi Technologies』が、Webブラウザ『Vivaldi』のテクニカルプレビュー版を無料公開したので、カンタンに使い勝手を試してみた。
Vivaldiのダウンロード&サービス紹介は以下より。
Vivaldi – A new browser for our friends
公開されているVivaldiはあくまでもテクニカルプレビュー版なので、現時点で『どの機能が無い、サポートされていない』という話はさておき、現時点で実装されている機能とそこから感じたものを中心に紹介したい。
Vivaldiをダウンロードして一番最初に感じたのは『操作体系が全体的に(旧)Operaっぽい』という点。
※以下、特に断りが無い場合は”Opera”はPresto時代のOperaをさす。
Vivaldiを起動後に一番最初に試した機能は『数字キーだけでタブ間を移動できるか?』で、Operaでは以前この機能がサポートされており、自分自身がOperaからChromeに乗り換えるにあたって、いちばん慣れるのに時間がかかった操作。
(Mac版の)ChromeではCommand + Optoion + 左右キーの組み合わせで操作できる『タブ間の移動』が、Operaではもともと1つのキーで実現されており、Vivaldiではテクニカルプレビュー版の時点でこの『数字キー1つでタブ移動』ができるようになっている。
※ただし、操作内容の詳細はOpera時代と異なっている。
■Vivaldiのナビゲーション
Vivaldiで戸惑ったのは、Operaでは『1および2』の数字キーが『前のタブ/次のタブ』への移動であったのに対して、Vivaldiではそれらが『3および4』に割り当てられており、数字キーの1と2には別の機能(同じくタブ移動系の機能)が割り当てられている点。
しばらくはデフォルト設定のまま使ってみたけれど、個人的には『目に見えている通りの順番にタブ移動できる』の方がシンプルなので、数字キーの1,2を『前のタブ/次のタブ』に割当するのと、タブ設定の『タブサイクルの順番』を『タブの順序』に設定変更してみた。
■数字キー 1,2を『前のタブ/次のタブ』
■タブサイクルの順番を『タブの順序』に
本当は、タブバーを左側に配置してタブのサムネイルを非表示(Favicon&タイトルのみ表示)で使いたかったけれど、タブのサムネイルを非表示にする方法が見つからなかったので、ひとまずタブバーは画面上部に配置。
かつてOperaを使っていた頃は、タブバーをブラウザの左側に配置していたけれど、Webkitに移行した後のOperaではタブバーの配置変更がサポートされることがなかった。(少なくとも、自分が使っていた頃には)
Vivaldiの公式サイトで、
It is not perfect, far from it
意訳:Vivaldiはパーフェクトからはほど遠い。
とする通り、Vivaldiのテクニカルプレビュー版は、未実装の機能も少なくない。けれども、そんな中で、
・タブバーが左側に配置できる
・数字キー単独でタブ間移動ができる
・ブックマーク(およびフォルダ)にニックネームをつけてニックネームで呼び出しができる
・検索エンジンの追加時にニックネームを付けてニックネームから検索エンジンを切り替えることができる(これはChromeも対応している)
というような『Operaっぽい使い方』がサポートされており、個人的にはPrestoコアのOperaの開発終了に伴って発生した『Opera難民』がメインターゲットになるブラウザであるように感じる。
とは言え、自分自身もメインのWebブラウザをOperaからChromeに乗り換えて約二年が経過するし、Chrome向けの拡張機能などなども使う機会は増えているので、これを完全にVivaldiに代替できるのか。と言われると、それはそれでハードルが高そう。
VivaldiのWebサイトでは、Vivaldi自身を『高速、高機能で安定したブラウザを作ることにした』としているものの、テクニカルプレビュー版の段階ではお世辞にも『高速』以外の要素は実感できない。というのは率直な感想。
We must make a new browser. A browser for ourselves and a browser for our friends. A browser that is fast, but also a browser that is rich in functionality, highly flexible and puts the user first. A browser that is made for you.
ただ、前述の通り全体的に『Operaっぽい操作感』が実現されているほか、開発元のVivaldi Technologiesのメンバーを見てると、元OperaのCEOであるテッツナー氏がCEOを務めているだけでなく、元Operaの日本法人の代表である冨田龍起氏の名前がリストアップされており、独自エンジンを採用していた頃のOperaのメンバーがVivaldiの(多分)主要メンバーとなっていることがわかるので、Presto時代のOperaの使い勝手や思想が反映されたWebブラウザに仕上がることに、いちOperaファンとして期待したいところ。