クラウドSIMを採用するモバイルWi-Fiルータ「World Touch」が、クラウドファンディングサイト「Makuake」で出資者を募集、目標金額である50万円を1日で達成するなど、好調な滑り出しとなっているので、World Touchの本体価格や、世界WiFiの月額料金などなどを他社サービスと比較しつつ考察。
クラウドファンディングサイト「Makuake」でのWorld Touch紹介は以下にて。
家・外・海外で使える!速度制限も超緩和のポケットWiFiーWorldTouch! | クラウドファンディング – Makuake(マクアケ)
本体価格:一般予定価格25,920円は割高
World Touchの一般販売予定価格は25,920円(税込)。
クラウドファンディングサイト「Makuake」では、「世界WiFi」サービスの契約不要で本体のみを16,900円にて購入可能となっている。
モバイルWi-Fiルータ「World Touch」を「国内外で使えるSIMフリーのモバイルWI-Fiルータ」と位置づければ、Makuakeの先行価格である16,900円は他社製品と比較して平均的な価格と言える。一方、一般向けの予定価格25,920円には割安感は無い。
クラウドSIMを採用するモバイルWi-Fiルータのスペック比較は以下。
●クラウドSIM対応のモバイルWi-Fiルータスペック
項目 | World Touch | GlocalMe U2 | Skyroam |
---|---|---|---|
基本スペック | |||
販売価格 |
一般向け:25,920円 先行価格:16,900円 |
15,990円 | 10,580円 |
ディスプレイ | あり(詳細不明) | なし | あり(タッチ非対応) |
連続通信時間 | 14時間 | 13時間 | 8時間 |
バッテリ容量 | 6,000mAh | 3,500mAh | 2,900mAh |
モバイルバッテリー機能 | 不明 | × | なし |
最大接続台数 | 5台 | 5台 | 5台 |
サイズ |
115.6mm 64.3mm 17.9mm |
127mm 65.7mm 14.2mm |
106mm 59mm 13mm |
重さ | 約146g | 約151g | 約149g |
ネットワーク関連 | |||
通信速度 |
下り最大100Mbps 上り最大 50Mbps |
下り最大150Mbps 上り最大 50Mbps |
下り最大 42Mbps 上り最大 21Mbps |
FDD-LTE | B1/3/5/7/8/17/19/20 |
B1/2/3/4/5/7/ B8/9/17/19/20 |
非対応 |
TD-LTE | B38/39/40/41 | B38/39/40/41 | 非対応 |
W-CDMA | 2100/1900/900/850 | Ⅰ /Ⅱ/Ⅳ/Ⅴ/Ⅵ/Ⅷ/Ⅸ/XIX |
2100/1900/1700 900/850 |
GSM | 1900/1800/900/850 | 1900/1800/900/850 | 1900/1800/900/850 |
CDMA/EVDO | × | BC0 / BC1 | 不明 |
物理SIMスロット | microSIM * 1 | microSIM * 2 | なし |
※販売価格は3月8日時点での実売価格を記載。
上記で比較している機種をカンタンに紹介すると、GlocalMe U2およびSkyroamは共にクラウドSIMを採用、オンライン上に登録するアカウントからデータ通信料を支払いする方式で、世界各地でデータ通信が利用できる。
データ通信料金は、GlocalMeがエリア毎に様々なパッケージ料金が設定されており、渡航先にあわせたパッケージを購入できるのに対して、Skyroamはエリアを問わず1日(申込から24時間)あたり8米ドル(約900円)。
端末スペック面では、GlocalMeが4G LTEに対応する上、物理SIMカードスロットを内蔵しているのに対して、Skyroamは4G LTEに非対応、SIMカードスロットも内蔵しておらずシンプルなスペックと言える。
月額料金:月額3,220円で容量無制限は「期待通り」に使えるか?
Makuake上の説明を読む限り、World Touchの魅力は通信サービスの「世界WiFi」にあるように思える。
「世界WiFi」サービスは、Makuake上での支援者向けの料金として、二年契約で月額3,220円で日本国内でのデータ通信量が無制限(1日3GB以上で512kbpsの「速度を維持」に低速化される)となる。
Makuakeのページ上でのサービス紹介は以下にて。
月額3,220円(マクアケ支援者限定価格)の無制限プランの通信契約で、ネットヘビーユーザーを悩ます速度制限は驚愕の1日3GBで、さらに制限後も512kbpsの速度を維持(通常は3日で3GB、制限時は128kbpsの低速)します。
Makuakeのページ上でアピールされているように、ドコモ・au・ソフトバンクの回線を自動的に切替た上で、月額料金3,2220円で1日3GBまで高速データ通信が使えるのであれば、かなり魅力的なサービスであるように思える。
ただし、世界WiFiの国内向け通信については「ドコモ・au・ソフトバンクのエリア」という記載はあるものの、データ通信の実効速度がMNOの水準であるとは記載されておらず、通信可能なエリアは広くても通信速度はさほど期待できない。という可能性が十分ある点は注意が必要。
Makuakeのページを読む限り、世界WiFiサービスは一般向け価格が公開されていない上に、二年契約をしない場合の月額料金に関しても記載されていないので「サービスを1カ月お試しで使ってみる」という使い方ができるのか不明。
世界WiFiサービスに関するWebサイトを見てみると、世界WiFiの無制限プランは契約期間3年間、月額料金3,800円(税別)にて提供されているものの、これがWorld Touchを単体購入した場合でも契約可能なのかは不明。
■世界WiFi 無制限プランは3年契約で月額3,800円(税別)
海外料金:1日800円はWi-Fiルータのレンタルと同水準か、若干割高
海外で利用時の料金に関しては、1日(日本基準なのか、利用開始から24時間なのか不明)あたり800円。とだけ紹介されており、地域・エリアに応じたパッケージのようなものは提供されない模様。
また、Makuakeの紹介ページ上には「渡航前にメールで渡航先や滞在日数を連絡すること」となっており、World Touchを海外でも利用する際には、事前にメールにて連絡が必要とされている。メールでの連絡が渡航の何日前に必要となるのか、また渡航時に事前連絡をしなかった場合の料金体系はどうなるのかなど、詳細情報については掲載されておらず不明。
単純に「海外渡航時のデータ通信料が1日あたり800円」と考えると、モバイルWi-Fiルータのレンタル料金に近い水準(か、エリアによってはやや高い)で、類似サービスと比べると価格的には大きなメリットがあるとは言い難い。
とは言え、国内で普段使いしているモバイルWi-Fiルータに1日あたり800円を加えるだけで海外渡航時のデータ通信に関する心配から解放されるのは、海外渡航が年に数回。という方にとっては必要十分とも言える。
→逆に言えば、毎月海外に行く用事がある場合、その都度メールにて滞在日数や渡航先を連絡するのは煩わしいように思う。(急に渡航が決まったけれど、サービスが利用できるかわからない。というケースがあり得るのも不安。)
そんなわけで「世界中あちこちで使えるモバイルWi-Fiルータ」という用途をメインに考えるのであれば、前掲のGlocalMeなりSkyroamの方が手軽で使い勝手が良いように思える。