IIJmio meeting 19参加レポート、IIJがフルMVNOを始めた理由・ブロッキングに対する考え方など

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IIJが開催した「IIJmio meeting 19」(東京会場)の参加レポート。

当日の発表で使用された資料などなどは以下Blogにて公開されているので、当日参加できなかった方や、当日参加した方で復習をする方はご活用を。

てくろぐ: 2017年のスマホの話・MWC2018レポート・IIJフルMVNO徹底解説 (IIJmio meeting 19資料公開)

今回の「IIJmio meeting 19」の内容は、IIJが新たに開始した「フルMVNO」関連の話がメイン。その他、IIJが2017年に発売した端末や、バルセロナで開催されたMWC 2018の参加者による現地レポートなどなど。

個人的に興味深かったのは、フルMVNO関連の話。

堂前氏による「IIJmio meeting 19 IIJmio Updates」では、フルMVNOサービスについて「IIJのサービスに直ちに影響は無い」また、「IIJが個人から法人に軸足を移すことはない」と前置きしつつ、フルMVNOサービス参入の背景にある事情を説明。

現状のMVNOサービスにおける構造的な弱みとして、利用者が「スマートフォンを個人で使う」という用途に偏っているため、トラフィックのピークである平日お昼時間帯の速度低下が発生しやすい。

これを解決するために、ピーク時間帯にあわせた帯域追加を行うとドコモ等MNOへ支払する接続料が増加してしまうため、平日お昼のピーク時に十分対応できる帯域追加は現状のビジネス構造では困難。

■現状のMVNOサービスの課題
現状のMVNOサービスの課題
現状のMVNOサービスの課題

今後も同じ属性(スマホを使う個人)の利用者だけで成長していくと、平日お昼時間帯にピークが発生する点は変わらず、利用者増加にあわせた帯域追加がビジネス的に難しいため、現状とは異なる属性の利用者を新たに獲得してピーク時と非ピーク時のトラフィックの差を小さくし、MNOから借り受ける設備の範囲内で効率的に収益を上げる必要がある。

■異なる属性の利用者獲得が必要
異なる属性の利用者獲得が必要

■フルMVNOサービスにより異なる属性の利用者を獲得したい
フルMVNOサービスで異なる属性の利用者を増やしたい

こうした環境を踏まえて、ネットワークの新しい使い方(個人のスマホ利用以外のニーズ)を開拓し、非ピーク時間帯の余剰帯域を有効活用することで、MNOから借り受ける帯域の中で、収益性を改善する必要があるとした。

■IIJのフルMVNO化まとめ
IIJのフルMVNO化まとめ

ピーク時間帯以外の通信ニーズの開拓や、現在のビジネス構造では提供が難しい用途(1年間のうち一定期間のみサービスが稼働するなど)に向けたサービスをフルMVNOサービスによって提供する。という趣旨の説明は、「IIJmio meeting 19」の少し前に公開されたラジオ番組「石川温のスマホNo.1メディア」の中でも語られている。

ラジオ番組の中では、花粉の飛散量をモニタリングするためのセンサーなど、一年間で稼働する短いデバイスに向けに、稼働している時期のみサービスを活性化し、それ以外の時期についてはサービスを非活性化するなどのサービスが行いやすくなる。など、フルMVNOサービスの活用例が紹介されている。

2018.3.29・第183回「いよいよサービス開始! IIJのフルMVNO」

また、「IIJmio meeting 19」では、季節限定でニーズがある通信サービスの例として、冬季に稼働する除雪車向けの遠隔監視の例を紹介していた。(非稼働の夏の間はSIMを休止すればok)

■除雪車の遠隔監視
除雪車の遠隔監視

このほか、IIJの端末販売に関する取り組みを紹介する中では、2018年度は各種スマートフォンだけでなく「IoTデバイス」を取扱いする計画があることが明らかにされた。

■2018年の端末ラインナップに「IoTデバイス」が
2018年の端末ラインナップに「IoTデバイス」が
2018年の端末ラインナップに「IoTデバイス」が

取扱いする可能性があるデバイスの例として紹介されたのは、スマートスピーカー、GPSトラッカー、スマートウォッチ、ネットワークカメラなどなどで、これらのデイバスが2018年にはIIJmioから販売される可能性もありそう。

■IIJmioがIoTデバイスを取扱いか?
IIJmioがIoTデバイスを取扱いか?

フルMVNOサービスの個人向け第一弾として提供する、訪日外国人向けのプリペイドSIM「Japan Travel SIM」については、(おそらく)ピークシフトの面では効果は薄いものの、プリペイドSIMが販売店に在庫として存在している間にドコモに支払する料金や、SIMカードの発行手数料がライトMVNOサービスと比べて割安に抑えられるため、在庫の回転率が低い店舗などなどでも取扱いがし易くなることが紹介された。

■「Japan Travel SIM」とフルMVNO
「Japan Travel SIM」とフルMVNO
「Japan Travel SIM」とフルMVNO

■訪日外国人向けプリペイドSIM「Japan Travel SIM」
Japan Travel SIM(フルMVNO版)

実際に、主要空港で販売されているプリペイドSIMカードの動向を定期的にチェックしていると、空港内のコンビニエンスストアでのプリペイドSIMカード販売はどちらかと言えば縮小傾向にあるように感じており、ライトMVNOが提供するビジネスとしては、ハードルは高い模様。

成田空港で購入できるプリペイドSIMカードの情報は以下エントリにて。

【2018年4月版】成田空港で買えるプリペイドSIMカードをターミナル別に総まとめ – 音声通話対応SIMや容量無制限SIMカードも登場

一方で、フルMVNO化したとはいえ、AppleのApple Watch向けのサービス提供は難しいことが、質疑応答の中で紹介された。この点に関しては、あくまでもAppleと通信事業者との個別契約が必要となり、現時点ではAppleとそういった取り組みは行っていない模様。

蛇足ながら、参加者に配られたお菓子は、通常Androidのコードネームにあわせたお菓子が配布されていたけれど、今回配られたお菓子はワッフル。「フルMVNO」に掛けたとのこと。

■「フルMVNO」で「ワッフル」
「フルMVNO」で「ワッフル」

「IIJmio meeting 19 IIJ フルMVNO徹底解説」では、フルMVNOサービスとして提供中の「Japan Travel SIM」を利用開始する際に、具体的にどんな処理が走っているのか?が紹介された。

その中で、同プリペイドSIMを開通時に端末再起動が必要。とされている理由についても詳細が説明された。
※厳密には、LTE対応機種と非対応機種で挙動は異なり、LTE非対応機種の場合は端末再起動は必須ではないとのこと。ただし、フルMVNO版の「Japan Travel SIM」では一律で再起動をすることが手順として紹介されている。

利用開始の処理の中で、ネットワーク側から接続拒否を表す「Attach Reject」が端末側に返されてしまい、LTE対応端末ではネットワーク再接続が行われなくなるため、このタイミングで端末を再起動することで、再度「Attach Request」を走らせて再接続を行っているとのこと。
※実際に、LTE対応端末で「Japan Travel SIM」(フルMVNO版)で手抜きをして端末を再起動せずに開通を試みたものの、利用できなかった。
フルMVNO版、IIJの「Japan Travel SIM」を使ってみる。ライトMVNO版との比較も

■SIMライフサイクル管理/アタッチトリガー開通機能
SIMライフサイクル管理/アタッチトリガー開通機能
SIMライフサイクル管理/アタッチトリガー開通機能

フルMVNOサービスで提供したキャリア名変更機能(接続先の事業者名が「IIJmio」になる)では、「IIJmio」を「IIJ25周年 – IIJmio」へと書換するデモが行われた。25周年、おめでとうございます。

質疑応答:ブロックキングの話

質疑応答の中では、違法性の高いサイトへの接続について、政府からISPへ対してブロッキングを行うように働きかけがされる方針についてどう思うか?という質問もあった。

これに対して、『(回答として期待されているであろう)断固反対とか、政府が言うのであれば従う他ない。という趣旨の宣言は、現時点ではできない。』と前置きしながら『IIJとしての考えは業界団体の意見に含まれている。』というスタンスを説明。加えて、『ブロッキングを回避するための方法として流布されるであろう情報を元に、利用者がブロッキングを回避しようとした結果、フィッシングなどの被害にあう可能性が高まるなど、技術面でも課題が多い。』とスタンスを説明。

■ブロッキングの要請に対する考え方を説明
ブロッキングの要請に対する考え方を説明

最後に

IIJmio meetingで紹介される内容は、(特に技術的な内容の説明が)紹介された時点では完全に理解はできないことが多いけれど、後になって「あー。IIJmio meetingで説明されてた、アレね」という感じでリンクすることも多いので、ありがたいなと。

IIJmioのサービス紹介は以下にて。
IIJmioモバイルサービス