原油価格の値下がりを受けて燃油サーチャージの値下がりが続いており、2015年4月1日以降の発券分(2月中旬発表予定)に関しては『燃油サーチャージなし』となる可能性が高くなってきた。実際に、LCCのセブ・パシフィック航空やエアアジアグループ各社は燃油サーチャージの撤廃を発表しており、既に『燃油サーチャージなし』で航空券を販売している。
燃油サーチャージの値下げや撤廃によって移動に係るコストが安くなるのは嬉しいところだけれど、燃油サーチャージが値下げまたは廃止されると、利益確保のために航空運賃は値上げされる可能性がある。とロイターが報道。
アジア航空各社がサーチャージ引き下げ、運賃は値上げの可能性も | ビジネスニュース | Reuters
原油価格の下落を受け、アジアの航空各社が相次いで燃油サーチャージを引き下げる動きを見せている。ただ、利益確保のため航空運賃は値上げされる可能性も高い。
『燃油サーチャージ』は元々、航空運賃とは別に『燃料代の変動を吸収する』という目的で設定されている料金のハズなので『燃油サーチャージが廃止になった分を、運賃値上げで利益確保』とするのは、タテマエ的にはおかしな話ではある。
ANAの燃油サーチャージ徴収に関しては以下の説明がされている。
ANAグループ航空会社(ANA・エアージャパン)では、「燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)」および「航空保険特別料金」を設定し、航空燃油価格および航空保険料の高騰や、航空保安強化に関わる費用増の一部をお客様にご負担いただいております
タテマエはさておき、実際には燃油サーチャージが廃止されたとしても、前述の通り運賃の値上げなどが行われる可能性は高く、燃油サーチャージ廃止によって支払総額が劇的に安くなる可能性はそれほど高く無いように思う。というのは率直な予想。
前述の通り、LCCでは既にセブ・パシフィック航空やエアアジアなどが燃油サーチャージの別掲を廃止しており、航空券の価格に空港使用料や各種税金を加えた金額が(基本的な)支払総額となっているものの、燃油サーチャージが設定されていた頃と比べて、航空券価格が劇的に値下がりしたということは発生していない。
■セブ・パシフィック航空の成田 〜 マニラ:片道22,800円程度
関連エントリ:セブ・パシフィック航空が燃油サーチャージを廃止も、支払総額は値下がりせず | shimajiro@mobiler
ただし、例外としてはセブ・パシフィック航空が開催した『1ペソセール』で、『燃油サーチャージなしでフィリピンまで片道100円』というセールがあり、このセールでは確かに支払総額3,000円程度(運賃100円 + 手数料&空港使用料)で日本 〜 フィリピンの片道航空券を購入することができた。
関連エントリ:セブ・パシフィック航空『燃油込み』で成田 〜 セブ島が片道100円のセール!成田・関空・中部 〜 マニラも片道100円 | shimajiro@mobiler
セブ・パシフィック航空の『燃油込み片道100円』のようなセールを例外と考えると、燃油サーチャージの廃止によって支払総額は『従来よりも安くなる』可能性は十分あるけれど、『燃油サーチャージの廃止分がまるごと安くなる』という可能性は高く無さそう。
実際に、2009年7月 〜 9月には原油価格の下落を受けて燃油サーチャージが廃止されていたけれど、燃油サーチャージが設定されていなかった期間については運賃が値上がりしていたため、燃油サーチャージ廃止分が丸ごと運賃値下げとは言えない状況だったことが、Help PointさんのBlogエントリにてまとめられている。
燃油サーチャージが無くなると航空券は安くなる?飛行機と燃油の話 | Help Point
ではJALで日本-欧米を往復した場合、2008年10月1日発券分(サーチャージ無し)と、2009年7月1日発券分(片道33000円)で往復66000円もの差があったのか?と言われれば、答えはNO。
確かに差はありましたが、2万円~4万円程度。
その分運賃が異なり、例えば2008年には運賃が4万円だったチケットが、2009年には5万円、6万円になっていました。総額で計算すると結局6万円もの差は無く、エアラインや航空券の種類によっては、ほとんど差がない場合もありました。
そんなわけで、燃油サーチャージの値下げ&撤廃そのものは反対する理由が無いけれども、それによって搭乗者の負担が著しく小さくなる可能性は高く無いかも。(もちろん、そうなった方が嬉しいけれど)