Nexus 5Xがドコモとワイモバイルから、Nexus 6Pがソフトバンクよりそれぞれ発売されることが正式に発表された。
新しいNexusシリーズの機種は「SIMロック解除に関するガイドライン」の改定に伴い、全てのキャリアでSIMロック解除に対応している一方で、残念ながら全てのキャリアのNexus端末が「発売時点ではSIMロック」された状態で販売される。
■Nexus 5X/Nexus 6PはSIMロックされた状態で販売される
国内向けのNexusシリーズの機種としてはワイモバイルが過去に販売していた「Nexus 5」および「Nexus 6」が国内キャリアから発売される端末としては数少ない「発売時からSIMフリー」仕様で販売されており、2015年5月1日のガイドライン改定前からカンタンに入手できるSIMフリー端末であった。
改定された「SIMロック解除に関するガイドライン」では、原則として全ての機種がSIMロック解除に対応することを義務付けているものの、端末購入から一定の期間についてはSIMロック解除に対応しない「猶予期間」を設けることを認めており、新しく登場するNexusシリーズの機種もこのルールに則って「発売時点ではSIMロック」にて販売されるものと思われる。このため、ガイドラインに違反しているとは言えないけれど、Nexusシリーズの機種の特長の一つと言えた「発売時点からSIMフリー」が無くなってしまうのは残念。
※いちおう付け加えておくと、ドコモが過去に販売したGALAXY NEXUS(SC-04D)は発売時点ではSIMロックがされていた。(SIMロック解除には対応していた)
端末のSIMロック以外には、新たにSIMカードの互換性も問題も発生。ケイ・オプティコムの提供するMVNOサービス「mineo」は、KDDI系のMVNOとしては初めてVoLTEサービスを11月19日(木)より提供することを発表。サービス発表会の中で、同社の提供するVoLTE対応SIMカードを(MNOである)KDDIのVoLTE対応端末で利用するためには、KDDI端末側のSIMロック解除が必要となるため、SIMロック解除に非対応の機種ではmineoの提供するVoLTE SIMで動作しないことが明らかにされた。
これは、KDDI自身が提供するVoLTE対応SIMカードと、KDDIが発行するMVNO向けのVoLTE対応SIMカードが異なるためであり、ドコモとそのMVNOの間では発生しなかった種類の問題が新たに発生することになる。mineoのVoLTE SIMとKDDIのVoLTE SIMの互換性についてはmineoユーザ向けのコミュニティ「マイネ王」でも説明されている。
au VoLTE SIMとmineo VoLTE SIMの間には互換性がありません
ではVoLTE同士ならau/mineoの区別はないのでは?と考えるところですが、VoLTEに関してはそうではありません。
mineo VoLTE SIMをau VoLTE端末に挿しても、SIMロックがかかってしまい動作しません。ではどうすればau VoLTE端末を使うことができるか、というと「SIMロック解除」が必要になります。
掲載元:mineo VoLTE SIMが使える端末、使えない端末 | 王国通信 | マイネ王
従来のMNO端末 + MVNOのSIMカードの組み合わせでは「基本的に問題なし」(テザリングなど一部機能が利用出来ないケースはあり)が大半だったけれど、KDDIのMVNOが提供するVoLTE SIMをKDDIの販売するVoLTE端末で利用する場合は端末側のSIMロック解除が必要となるので注意が必要になる。
なお、解約済み端末を端末の購入者以外が行うSIMロック解除についてはKDDIのみが対応。KDDIが「端末の購入者本人以外でもSIMロック解除に対応する」とした理由は、SIMロック解除ガイドラインの改定に伴う対応を決定した段階で、MVNO向けのVoLTE SIMをKDDIのものとは別とすることを決定していた可能性も考えられる。
携帯電話各社のSIMロック解除対応
項目 | ドコモ | KDDI | ソフトバンクモバイル |
---|---|---|---|
180日制限 | 端末購入から180日以内はロック解除不可 | 端末購入から180日以内はロック解除不可 | 端末購入から180日以内はロック解除不可 |
解約済機種 | 解約日から3カ月以内ならロック解除可能(契約者本人のみ) | 対応可能 | 解約日から90日以内ならロック解除可能(契約者本人のみ) |
持込機種 | 対応不可 | 対応可能 | 対応不可 |
手数料(Web) | 無料 | 無料 | 無料 |
手数料(店頭) | 3,000円 | 3,000円 | 3,000円 |
KDDIがMVNO向けのVoLTE対応SIMを新たに発行する意図は不明ながらも、従来は基本的に問題の無かった「MVNOのSIMを(その)MNO端末で使う」ためにも、SIMロック解除が必要となってしまうのは複雑で手間がかかるのは残念なところ。
※ただ、これは技術的に解決が困難な問題が含まれているためにSIMカードを別にした可能性も考えられるので、一概にMVNOに対する「嫌がらせ」のような対応とは限らない。
2015年5月1日より改定された「SIMロック解除に関するガイドライン」に伴って、「SIMロックを解除してユーザが自由にキャリアを選べるようにする」ことはいちおう実現されたものの、改定に伴って従来は通信事業者からもSIMフリーで販売されていた機種にSIMロックがかけられて販売されるようになったり「MNOの販売する端末をそのMVNOのSIMで使う」ためにSIMロックの解除が必要となるなど、従来よりも複雑化した部分もあるのは、ガイドライン改定によるデメリットと言える。