「海外と比べて、日本はフリーWi-Fiが少ないので外国人旅行者が不便を感じている」という趣旨の発言を目にすることが多いので、観光庁および総務省が発表しているデータを確認してみた。
観光庁が公開している「訪日外国人消費動向調査(平成26年1-3月期)」では、東アジア(韓国・台湾・中国・香港)以外のエリアに関しては、無料Wi-Fiよりも交通手段に関する情報が不足している。というデータが公開されている。
■【国籍エリア別】 東アジアは無料Wi-Fi、他は交通手段が重要
※「訪日外国人消費動向調査(平成26年1-3月期)」P.3
観光庁の国籍エリア別のランキングでは、「日本滞在中にあると便利な情報ランキング」は、東アジアのみ「無料Wi-Fi」が1位になっており、その他のエリア(東南アジア/欧米/オーストラリア)では全て交通手段が1位になっている。
東アジア以外のエリアでも「無料Wi-Fi」は2位-3位にはランクインしているため、優先度が低いわけではないものの、東アジア以外のエリアでは交通手段が首位になっている。
また、紹介されてる国の数は少ないものの「訪日外国人による日本のWi-Fi環境の評価」によると、東アジアに分類される韓国および台湾の旅行客が日本のWi-Fi環境を低く評価していることがわかる。一方で、アメリカ、イギリス、フランス、中国からの旅行者は最低でも7割以上の旅行者が「満足した」という結果になっている。
■【参考】 訪日外国人による日本のWi-Fi環境の評価
全国的なWi-Fi環境の整備に向けた方策(案) P.7
観光庁および総務省が公開するデータによると、訪日外国人の無料Wi-Fiに対するニーズは特に東アジアエリアからの旅行客で高く、韓国・台湾からの訪日外国人は他のエリアと比べて無料Wi-Fiに関する満足度が低いことが理解できる。
韓国・台湾からの訪日外国人が無料Wi-Fiに対する満足度が低い理由としては、両国では各キャリアや自治体が提供するWi-Fiサービスが充実しており、日本に滞在中は自国で普段使っているようにWi-Fiサービスを使うことができない。という面で満足度が低い可能性が考えられる。
例えば台北では、台北市が提供する「Taipei Free」という公衆無線LANサービスがあり、台湾を訪れる旅行客以外でも利用が可能。多くのユーザが利用する一方で、サービス整備・運用に係る台北市のコスト負担が大きくなっているため、通信速度を2Mbpsに、1回の接続時間を30分以内に制限するなどの対応が行われる見通しとなっている。
「訪日外国人向けに無料Wi-Fi整備が必要」という主張が誤りだとは言わないけれど、公開されているデータから考えると、2014年時点での日本の無料Wi-Fiに対する満足度が低くない国も少なくないので、日本の無料Wi-Fiに対する満足度が高い国と低い国の理由を分析するなどして、より効果的な対応が行えると良いのかなと。