WILLCOMの新端末・新サービス発表会を取材してきたので、発表会中で一番気になった『だれとでも定額パス』について。
■WILLCOMの新サービス発表会を取材
写真にある端末は『イエデンワ2』
本体 + Android向け専用アプリで動作
『だれとでも定額パス』(WX01TJ)は『だれとでも定額パス』本体と、Android向けの専用アプリの組み合わせで動作する。
『だれとでも定額パス』本体そのものにはマイク/スピーカーの類は無く、通話はAndoridスマートフォン + 専用アプリを使うことによって実現されるため『だれとでも定額パス』は『Android向けPHSアダプタ』というようなイメージで、Androidスマートフォンとの間はBluetoothで接続される。
WILLCOMから発売された製品としては『だれとでも定額パス』と同じくBluetooth接続によりスマートフォンのヘッドセットとして、スマートフォン側の着信をWILLCOM端末で受けることができる『SOCIUS』(WX01S)があったけれど、PHS側の番号に対して発信された通話を『専用アプリをインストールしたスマートフォン側で通話』するのが『だれとでも定額パス』で、スマートフォン側の電話番号に対する音声通話の受発信をPHS端末で行えるのが『SOCIUS』となっている。
iOS向け対応は望み薄いか
『誰とでも定額パス』の対応OSがAndroidのみとなっているのは『だれとでも定額パス』本体 ⇔ スマートフォン間の通信に、独自開発されたプロファイル(PHS Voice Profile)を利用する必要があるためで、iOSでは仕様上対応することができないため、残念ながらiOS向けの対応の望みは薄い。
『だれとでも定額パス』の販売戦略から考えても『だれとでも定額パス』はWILLCOM以外のスマートフォンの音声通話にWILLCOM回線を使ってもらうことで、他キャリアの音声通話による収入を『だれとでも定額パス』経由にすることで、WILLCOMが奪う。
ということを目的にしていることを考えると、WILLCOMのグループ会社であるSoftBankの主力製品と言えるiPhone向けに対応する可能性はほぼ無さそう。
専用アプリを使って電話発信
『だれとでも定額パス』を使って通話するためには、専用アプリを使って電話発信を行う必要がある。
専用アプリは、
・電話発着信
・電話帳機能(本体電話帳と連携)
・通話履歴
・お気に入りからの発信
などの機能がある。
専用アプリは、アプリケーション一覧から起動するほか、システムに常駐するので通知領域からも起動することが可能になっているので『電話アプリ』として簡単に利用することができるように配慮されている。
個人的に『惜しいな』と思ったのは、専用アプリ以外からの電話発信の操作において、『だれとでも定額パス』専用アプリを連携して起動することができない点で、もしこの連携が可能となっていれば、『スマートフォンで調べたWebサイトに記載されている番号に対する発信』を『だれとでも定額パス』経由で行うことがカンタンになるので、今後のアプリのバージョンアップなどでの対応に期待したいところ。
今持っている端末の組み合わせで、『スマートフォンで調べたWebサイトの番号にPHS回線から電話』という操作を行う場合、スマートフォン側に表示されている電話番号を目視して『だれとでも定額』加入のSOCIUS(PHS回線)から電話をかける。という操作をする必要があり、この連携が『だれとでも定額パス』によってもっとスムーズになったらいいなぁ。と思う。
※当然、WILLCOMのスマートフォンからはカンタンにできる操作だけれど…。
『だれとでも定額パス』本体のPHS番号で着信すると、専用アプリが起動することで着信を受けることができる。
『だれとでも定額パス』とスマートフォンの間は、前述の通り専用のプロファイルを使って(暗号化)通信が行われるため、『だれとでも定額パス』を使った通話を、Android端末とBluetoothヘッドセットの組み合わせで利用することも仕様上不可能では無い(制限は行っていない)ものの、一部端末では正常に動作しないとのことなので動作保証外になる。という点は注意。
専用の料金プランで安価に利用が可能
『だれとでも定額パス』は月額490円の専用の料金プランで利用することができ、『だれとでも定額』を利用する場合は追加で月額980円の料金が必要となり、合計金額は1,470円となる。
標準的な使い方は、
(1)『パス専用プラン』基本料:490円/月
(2)『だれとでも定額』オプション:980円/月
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(1) + (2)合計金額 1,470円
となるけれど『だれとでも定額』を申込しない『パス専用プラン』だけの利用であれば、490円/月で『ウィルコム同士は24時間通話無料』が実現するため、非常に安価に『ウィルコム定額』が利用可能となるので、ウィルコム定額限定で利用する。という使い方もあり。
『他社の音声ARPUを奪う』ために考え出された製品
『ウィルコム定額パス』が面白いなと思ったのは『他社のスマートフォンユーザの音声ARPUを奪う』ために企画された製品であるという点で、そのために本体(アダプタ) + 専用アプリを使う。という少々トリッキーな組み合わせで実現されるサービスを、実際に商用サービスとして世の中に提供してしまおう。
というあたりに、新生WILLCOMのチャレンジ精神というか、逞しさを感じることができた気がしていて、世界的に流行するスマートフォンとは異なるベクトルの展開に、今後も期待したいなと(^ ^)