SIMロックの廃止が過度な販売奨励金の抑止に繋がるのか?

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ワイヤレスジャパン2014の講演の中で、SIMロック解除と販売奨励金に関するコメントがされている。

ワイヤレスジャパン2014:ユーザー獲得競争、求められる高度な接客、人材不足――悲鳴を上げるキャリアショップ (3/4) – ITmedia Mobile

SIMロックの解除を可能にすると、キャッシュバックを含む奨励金をキャリアが回収できないまま、ユーザーがMVNOなどの他社に移動してしまうこともありえる。つまり、SIMロック解除を可能にすることで、過度な販売奨励金を防ぐことができる。

「微妙なのは『月月割』『毎月割』『月々サポート』といった、2年間使うことを条件に実質端末負担金が0円になる、というようなプラン。これについては、SIMロック解除になったところで、割賦を組んで購入している人の端末の残債は残るし、契約を解除した時点で月々の割引の契約が切れるので、キャリアが端末代金を負担することにはならないはず。だから、月々の割引は残ると予想している」(北氏)

発言の中で『SIMロックの解除を可能にすると、過度な販売奨励金を防ぐことができる』としているけれど、実際にはSIMロックが解除可能な状態で販売されているドコモ端末でも、KDDIやソフトバンクモバイルから販売される端末と大きく変わらない(時期や端末によりけりという要素はあれど)販売奨励金が設定されていることは明らかだし、実際にキャッシュバックや端末の値引きなども、SIMロックに非対応の端末を販売しているKDDIやソフトバンクモバイルと比べて常に見劣りしている。ということは無い。

また、2014年5月現在の時点で、一般のユーザ向けのサービスとして利用されているMVNOサービスの大半は『原則SIMロック解除に対応』しているドコモのネットワークを利用した端末であり、『MVNOでの利用を防ぐことで、過度な販売奨励金を防ぐことができる』というのは、SIMロック解除を抜きにして考えても、現実に即しているとは言えない。

『月々サポート』などの通信料割引についても、販売する端末をSIMロック解除対応端末(iPhoneは例外)として販売しているドコモが、SIMロックを解除しても月々サポートが消えることは無い(これは一部端末でSIMロック解除に対応しているソフトバンクモバイルも同様)し、そもそもSIMロック解除の手続きにあたって、端末を販売している通信事業者の回線契約は必須にはなっていない。よって、例えばドコモの端末をオークションなどで入手した上で、ソフトバンクモバイルの回線で使うためにSIMロックを解除するなどの手続きは問題なく受付されている。

さらに、日本では数少ない『最初からSIMフリー』仕様で販売されているEMOBILEのNexus 5(EM01L)についても、時期によっては『MNPで端末代一括0円』などのキャンペーンが、オンラインショップを含むイー・モバイル販売店の施策として行われており、『SIMフリーによって過度な販売奨励金を防ぐことができる』という主張とは異なっているように思う。

イー・モバイル『Nexus 5』がMNP一括で0円になるキャンペーンを3月末まで延長/3月中旬からは新色レッドも発売予定 | shimajiro@mobiler

■MNP一括で0円で販売されていたNexus 5はSIMフリーモデル
Nexus 5 イー モバイル

そんなわけで、『過度な販売奨励金』が、どの程度の金額なのかは不明だけれど、少なくとも『SIMロックの解除』だけで『過度な販売奨励金』を抑止する効果を期待するのはムリがあるように思うし、仮に国内で販売される端末が全てSIMロックの解除に対応あるいはSIMフリーモデルになったとしても、通信事業者ごとに利用する周波数が異なっているなどの点も含めて、ユーザメリットに直結する。とは一概には言えない。

個人的には、SIMロック解除に非対応で販売される端末の多くが、SIMロック解除が可能(あるいはSIMフリー)となっている海外モデルとほぼ変わらない価格であるのは不満があるので、その点は何らか改善があるといいなとは思うところ。

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