LCCの『バニラエア』は2014年冬ダイヤ(10月26日以降)の運賃を発表し、バニラエアの運賃の中で標準運賃と言える『シンプルバニラ』に含まれていた20kgまでの受託手荷物を有料化する一方、ベースとなる運賃を値下げすることを発表。合わせて支払手数料が200円/区間 ⇒ 400円/区間に値上げされることが発表された。
バニラエアの新運賃については以下より。
冬期スケジュール(10/26以降)から一部の運賃ルール、手数料が変わります
冬ダイヤにおける支払手数料の値上げについては、特に値上げの理由などは説明されておらず、運賃の値下げに対する収入を補填する目的で、セール価格などに表示されない『支払手数料』として請求するだけ。というのが正直なところかもしれない。(決済手数料が割高であるコンビニ払いとカード払いが同じ価格となっていることも含めて)
バニラエアの『シンプルバニラ』の最低価格を元に、運賃に対する支払手数料の割合をまとめると以下。
バニラエア『シンプルバニラ』の最低運賃に対する支払手数料の割合
搭乗区間 | 旧料金 |
支払手数料の割合 (200円/1区間) |
新料金 |
支払手数料の割合 (400円/1区間) |
---|---|---|---|---|
東京(成田) 〜 札幌(新千歳) | 6,500円 | 3.0% | 4,800円 | 8.3% |
東京(成田) 〜 沖縄(那覇) | 8,500円 | 2.4% | 5,900円 | 6.7% |
東京(成田) 〜 奄美大島 | 8,000円 | 2.5% | 5,500円 | 7.2% |
東京(成田) 〜 台北(桃園) | 10,000円 | 2.0% | 7,000円 | 5.7% |
東京(成田) 〜 ソウル(仁川) | 7,500円 | 2.6% | 4,000円 | 10.0% |
2014年夏ダイヤまでは高くても3%以下になっていた運賃に対する支払手数料の割合が、2014年冬ダイヤでは最低でも約2倍の5.7%、最高では運賃の10%を支払手数料として払う必要があり、航空運賃に対する割合としては非常に高く設定されている様に感じる。
日本国内線に就航しているLCCでは、Peachやジェットスターも支払方法によって330円 〜 550円の支払手数料を設定しており、当然ながら運賃が安ければ安いほど、支払総額に占める支払手数料の割合が大きくなる。利用者として残念なのは、バニラエアが支払手数料を2倍に値上げしたように、基本的に支払手数料は各社共に値上げされる方向にある。
一方で、海外ではオーストラリアのLCC、ジェットスターとヴァージン・オーストラリアが広告で訴求している航空運賃に含まれていない支払手数料が、誤解を招く虚偽の広告内容であるとして、消費者団体が両社を訴訟する事態に発展している。(実際、紹介されているようにオーストラリアの国際線の予約手数料はかなり高いように思う)
オーストラリアでの訴訟については、Help PointさんのBlogエントリが詳しいのでご紹介まで。
LCCの支払い手数料は違法?時代に逆行している気がしないでもないオーストラリアのLCC | Help Point
支払手数料の一部を利用者負担にすることで運賃を安くできる。という考え方そのものは否定しないものの、あくまで『支払手数料』なのであれば、本来は支払総額に占める割合の上限が設定されていなければおかしいようにも思う。
今後も支払手数料が値上がりしていくと『運賃そのものは安いけれど、各種手数料を含めると安く無いし、各種手数料の設定が不透明』という状況が発生することで、結果的に利用者が離れていったり、LCCに対する信用が失われていくことも十分に考えられるので、日本国内のLCCには利用者に信頼されるべく料金設定をして欲しいなと願うばかり。