ドコモが2014年冬〜2015年春モデル発表会にて発表したモバイルWi-Fiルータ『L-01G』および『HW-02G』のスペック比較。
ドコモのモバイルWi-Fiルータ L-01G、HW-02Gのスペック比較
機種名 | L-01G | HW-02G |
---|---|---|
発売日 | 2015年3月予定 | 2015年2月予定 |
メーカー | LG | Huawei |
LTE-Advanced対応 | ○ | ○ |
通信速度 |
下り最大:225Mbps 上り最大:50Mbps |
下り最大:225Mbps 上り最大:50Mbps |
モバイルネットワーク |
FDD-LTE 2100(B1)/1800(B3) 1500(B21)/800(B19) MHz TD-LTE 3G GSM |
FDD-LTE 2100(B1)/1800(B3) 1500(B21)/800(B19) MHz 3G |
Wi-Fi |
WAN側 IEEE802.11 b/g/n(2.4GHz) LAN側 |
WAN側 IEEE802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz) LAN側 |
公衆無線LAN接続 | ○ | ○ |
サイズ |
高さ:106.8mm 幅:65mm 厚さ:20.4mm |
高さ:58mm 幅:95mm 厚さ:14.2mm |
重さ | 約195g | 約130g |
バッテリ容量 | 4,880mAh | 2,400mAh |
連続通信時間 | 未定 |
LTE:8.3時間 ※CA環境で7時間 |
クレードル連携 | 非対応 | 対応 |
Bluetooth連携 | 非対応 | リモート起動(スリープからの復帰)が可能 |
■ドコモの新機種でLTE-Advancedに対応するのはモバイルWi-Fiルータのみ
国内のモバイルネットワーク対応という点では、両機種共にLTE-Advancedに対応し、下り最大225Mbpsの通信速度で利用可能となる。ドコモの2014年冬〜2015年春モデルのうち、LTE-Advancedに対応する機種はモバイルWi-Fiルータ2機種のみとなっており、同時期に発売されるスマートフォンと比べて、より快適な通信速度となることが期待できる。
当然、今後はLTE-Advancedに対応するスマートフォンが登場することは間違い無いものの、今回発表されたモバイルWi-Fiルータは従来モデルと比べてバッテリ容量が大きくなっており、LTE-Advancedへの対応などによって技術的な課題が残っている可能性も考えられる。
※とは言え、KDDIは既にキャリアアグリゲーション対応のスマートフォンを投入しているし、グローバル端末でもキャリアアグリゲーション対応機種が大容量バッテリを搭載しているという事は無いのだけれど…。
■Wi-Fiはより高速なIEEE802.11acに対応
L-01G、HW-02Gの両機種は共にIEEE802.11acに対応しており、従来の2.4GHz帯を利用したWi-Fi接続と比べて、通信品質が安定することが期待できる。なお、両機種共に2*2のMIMOに対応するため、Wi-Fi接続の通信速度は最大で866Mbpsまで引き上げられる。
ドコモから発売されたモバイルWi-Fiルータでは、HW-01Fが5GHz帯のWi-Fiをサポートしていたものの、IEEE 802.11acには非対応となっていたため、同規格に対応するモバイルWi-Fiルータは今回発表された両モデルが初めてとなる。
Wi-Fi側で5GHz帯が利用可能となることで、2.4GHz帯を利用した際よりも通信がより高速に行えるようになるのは、モバイルネットワーク側の通信速度アップと比べれば地味ではあるけれど嬉しいところ。
■端末サイズは共に大型化/バッテリ容量や重量が前モデル比で増加
L-01GおよびHW-02Gは、バッテリサイズや重量が前モデルと比較して増加している。例えばバッテリ容量は
L-02F 3,600mAh ⇒ L-01G 4,880mAh
HW-01F 1,780mAh ⇒ HW-02G 2,400mAh
と、両モデル共にバッテリ容量が約35%アップしている。
当然ながら、バッテリ容量が大きくサイズが大きくなることで重量も増しており、L-01Gでは約195g、HW-02Gでは約156gと、スマートフォンを1台持つのと変わらない(かそれ以上)の重さになってしまっている。
特に、HW-01Fは前モデルが比較的コンパクトかつ軽量なモバイルWi-Fiルータであっただけに、LGとHuaweiの両方が揃って大型化してしまうのは残念に思う。
続いて、端末ごとの特長と考察。
L-01G:国際ローミングはTD-LTEにも対応/クレードルは非対応に
LG製の『L-01G』は、前モデルのL-02Fと同様に『バッテリが大容量で連続通信時間が長い』という方向性のモバイルWi-Fiルータで、4,880mAhのバッテリはドコモのモバイルWi-Fiルータ史上最大容量。
前モデルでは対応していたクレードルとの連携には非対応となってしまったものの、Wi-Fi側がIEEE802.11acに対応している他、TD-LTEの2600MHz帯(Band 38)にも対応しており、国際ローミングでは中国の一部エリアなどでTD-LTEが利用可能。
L-02FおよびHW-01Fなど、LTE国際ローミングに対応しているドコモのモバイルWi-Fiルータは、SIMロックを解除(税別3,000円)して使うと、ドコモ以外のSIMカードを入れてもLTE通信が利用可能となるため、L-01GのTD-LTEについてもSIMロックを解除して使えば、ドコモ以外のSIMカードを入れてもTD-LTEの2600MHz帯は利用可能と思われる。
後述するHW-02GでGSMがサポートされなくなった事を含めて、国際ローミングで使うことが多い場合はHW-02GよりもL-01Gの方が使い勝手が良さそう。(L-01Gは引き続きGSMもサポートしている)
HW-02G:クレードル連携やBluetooth利用のリモート起動に対応
HW-02Gは、前述の通りキャリアアグリゲーションやWi-Fi側のIEEE802.11ac対応による高速化でベースのスペックアップが図られている上に、クレードル連携やBluetoothを利用したリモート起動(スリープからの復帰)など、付加機能が強化されている。
ただし、クレードル連携時はクレードル側のWi-Fiが有効となり、HW-02Gが対応する5GHz帯のWi-Fiは無効になる。クレードル接続は接続台数が20台に拡張されるほか、Wi-Fi側の出力もHW-02G本体よりも強くなるというメリットがあるものの、サポートしているのが2.4GHz帯のみとなるのは少々残念なところ。
L-01Gでは未定となっている連続通信時間は、LTEのCategory 4接続時(非CA)で8.3時間となっており、前モデルにあたるHW-01Fの約7時間と比べると、約20%連続通信時間が延長している。(なお、CA環境では約7時間となる見込み)
HW-02Gが対応する機能でユニークなのはBluetoothを利用したリモート起動(スリープ状態からの復帰)で、Huaweiの専用アプリを使うことでHW-02Gをスリープ状態からリモート復帰することができる。
HW-02Gは、前モデル(HW-01F)と比べて連続通信時間が延長されているものの、連続通信時間は昨今のモバイルWi-Fiルータの中ではやや短い部類に入るので、通信を行わない状態はスリープ状態で待機し、Bluetoothでリモート起動することでバッテリの消費を抑えつつ、モバイルWi-Fiルータを使って通信を行いたい時はすぐに通信が行えるようになれば利用する価値は高そう。
ただし、スリープ中のバッテリ消費度合いや、Bluetoothでリモート起動する際の手順、および待ち時間などは実際に使ってみないと何とも言えない部分なので、現時点で過度に期待しても仕方が無い部分かなと思う。
特長の別れた両モデル、スペック的にはL-01Gが良さそう
過去最大容量のバッテリを搭載したL-01Gと、バッテリ容量はL-01Gの半分以下に抑えつつ、連続通信時間は8.3時間(非CA時)のHW-02Gが想定する使い方が異なる。という点は理解しつつ、どちらか一方を選ぶということであれば、スペック的にはL-01Gの方が使い勝手は良さそう。というのが個人的な見解。
L-01Gの最大のネックは、重さが195gと重くなっている点だけれど、その分バッテリ容量は大きくなっており、前モデルのL-02Fよりも更に連続通信時間が長くなっていることが期待できる。
前モデルのL-02FはLTE接続時の連続通信時間が約13時間で、バッテリ容量が大容量化することでL-01Gでは更に長時間の連続通信が可能となれば、HW-02G対応する『Bluetoothでのリモート復帰』などバッテリ消費を抑えて使うための機能がそもそも不要となり『ずっと電源ONでも1日以上使える』というルータになるかもしれない。(L-02Fがほぼそんな感じで使えているし)
対応するモバイルネットワークの面でも、TD-LTEに新しく対応しているだけでなく、従来モデルで対応しているGSMについても引き続きサポートされており、国際ローミングでの利用や、SIMロックを解除してドコモ以外のSIMを挿して使う用途で考えてもHW-02Gよりも心強いことは確かで『細かいこと心配をせずに使うことができる』モバイルWi-Fiルータになりそう。という点で期待ができる。
ただ、大型化してしまった本体サイズと、200gに近い重量というのがモバイル用途でどのぐらいの負担になるのか。という点は実際に発売されてから試してみないと何とも言えないところではあるので、この点は発売されてから試してみる予定。