総務省、SIMロック解除の無償対応を義務付ける新ガイドラインを正式発表 – 2015年5月1日以降の発売機種に

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総務省は、国内の携帯電話事業者に対するSIMロック解除対応を原則義務化、手数料については原則無料とする方針の『SIMロック解除に関するガイドライン』を発表。2015年5月1日以降に発売される機種については利用者の求めに応じて迅速、容易かつ利用者の負担無くSIMロック解除に対応することが原則義務化され、携帯電話事業者がこれに応じない場合、業務改善命令を受ける可能性がある。とした。

改正版のガイドラインでは『迅速にSIMロック解除を行うことを義務付ける』とされているものの、端末の割賦代金を支払わずにSIMロックを解除 ⇒ 海外への販売・盗難などを防ぐために“最低限必要な期間SIMロック解除に応じないことは否定されるものではない。”としながらも、この期間については“最長でも数ヶ月程度”であり、端末の割賦代金支払が完了するまでをこの期間とすることは適当ではない。とされている。
※「SIM ロック解除ガイドライン」改正案に対する意見及び総務省の考え方 P.20より。

『SIMロック解除対応の例外』として例が挙げられているのは『M2M』や『組込型端末』など、特定の事業者の通信方式・周波数に対応している端末であり、SIMロック解除を行わなくても公正な競争や利用者の利便性を大きく損なうものではない。と考えられる機種が対象であり、通信事業者が恣意的にSIMロック解除対応/非対応機種を選定することはできなくなっている。

このため、一般の消費者が購入するスマートフォン・タブレット・モバイルWi-Fiルータ・USBモデムについては、基本的に例外無く、かつ利用者負担の無い形でSIMロック解除対応を義務付けるガイドライン改正となる。

総務省の『SIMロック解除に関するガイドライン』の改正については以下より。
総務省|「SIMロック解除に関するガイドライン」の改正

スマートフォン等の移動端末設備に設定されているSIMロック解除については、「ICTサービス安心・安全研究会」及び「情報通信審議会2020-ICT基盤政策特別部会」の議論において、「利用者の求めに応じて迅速、容易かつ利用者の負担なく解除に応じることが適当」とされています。

SIMロック解除に関するガイドラインの改正案に対して寄せられた意見と、それに対する総務省の考え方については以下PDFにて公開されている。

「SIM ロック解除ガイドライン」改正案に対する意見及び総務省の考え方
総務省|「SIMロック解除に関するガイドライン」の改正

資料は全83ページと、比較的量の多い資料となっているけれど、SIMロック解除に関する各事業者の考え方や懸念が公開されているのは興味深い。

上記資料の中で気になった箇所を引用してご紹介。

代表取締役社長が『SIMロックを解除すると端末代が40,000円高くなる』という趣旨の主張を長い間行っていたソフトバンクモバイルは『SIMロック解除対応端末かどうかは、キャッシュバック額とは関係が無い。と主張。

販売奨励金は、基本的には顧客獲得のために代理店等に提供されるものであり、実際の販売においても、弊社及び他社ともに SIM ロック解除可能端末か否かでキャッシュバックの額に多寡は設けられてはいないと認識しています。したがって、各社において、利用者が購入する端末の SIM ロック解除の可否と販売奨励金の額との間に関係性はないことから「SIM ロックが多額のキャッシュバックの一因」という本ガイドライン(改正案)の記述は利用者へ誤解を与えかねず適切ではないと考えます。
【ソフトバンクモバイル(株)】

『SIMロック解除に係る手数料などを、SIMロック解除を行う利用者が負担すべきである』という携帯電話事業者各社の主張に対しては、“専ら事業者側の事情によって利用者の端末の機能を制限するもの”であるとし、原則、利用者の負担無くSIMロック解除に応じることが適当。とされているため、現在設定されているようなSIMロック解除手数料(3,000円税別)は撤廃される見込み。

(2)SIM ロック解除に関する手続 – P.15より

なお、SIMロック解除にかかる費用を全てのお客様が負担するのではなく、SIMロ
ック解除を希望されるお客様に個別に負担していただくことが合理的であると考えます。
【(株)NTTドコモ】

端末の割賦代金等を支払わない行為又は端末の入手のみを目的とした役務契約その他の不適切な行為を防止するために事業者が販売時に SIM ロックを設定することは一概に否定されるものではないが、SIM ロックは、専ら事業者側の事情によって利用者の端末の機能を制限するものであるため、利用者の求めに応じ、原則、利用者の負担無く解除に応じることが適当と考える。

また、現時点でSIMロック解除に多くの端末が可能となっているドコモから販売される機種において、テザリング機能の実効はドコモのspモードなどの契約が必要となっているため、ドコモのMVNOでの利用時またはSIMロックを解除して海外で使用する際にテザリングが利用出来ないことがある件については、事業者による説明が必要である。とはコメントされているものの、該当の機能制限そのものの撤廃を義務付ける方針ではない。としている。

意見5-7 利用者への説明に APN ロックに関する説明も加えてほしい。 (P.32)

■ 2「SIM ロック解除に関するガイドライン(改正案) 5(1)利用者への説明」に APN ロックに関する説明も加えてほしい。
【個人】

■ 御指摘のテザリングに関する一部機能制限は、本改正案「5.(1)利用者への説明」で示した「他の事業者のSIMカードが差し込まれた場合の一部制限」であり、利用者へ説明すべき事項に含まれており、特段の修正は不要と考える。

2015年5月1日以降に新たに発売される機種だけでなく、既存の機種についてもSIMロック解除対応を行うべきであるという意見(主に個人から)については、既存端末に新しいガイドラインを適用することは適当では無い。としており、既存機種でのSIMロック解除対応の可能性は低そう。

7.本ガイドラインの適用等(P.44)

既存端末については、SIM ロックを解除する前提で設計・製造が行われておらず、また、他事業者のサービスの利用に必要な技術基準適合証明等を受けていない場合もある。したがって、改正ガイドラインの適用については事業者が十分な対応を行えるよう一定の準備期間を設けるべきであり、既存端末に対してまで改正ガイドラインを適用することは適当ではないと考える。
なお、既存端末であっても対応可能な端末については、改正前のガイドラインの趣旨に沿い可能な限り、事業者が SIM ロック解除に応じることが期待される。

個人的には、国内携帯電話事業者から販売される機種に対するSIMロック解除には賛成ではあるけれど、それを以て『好きな会社のSIMカードで使える』とするのは、端末毎に対応している周波数帯が異なることや、利用できない機能が残ることを考えれば、やや乱暴であるように思う。