LCCの拡大によって国内外の移動が従来よりも気軽になった。というのは間違い無く事実であり、自分自身もその恩恵を受けているけれど、直近の動向で言うと支払手数料の値上げ・空港使用料の設定に伴って、特に国内線ではLCC利用のメリットが以前と比べてかなり薄れてきたように感じている。
例えば、ジェットスターが開催中のセール(関連エントリ)では『国内線全線が片道1,990円』とされており、実際に曜日や便によっては片道1,990円の運賃で往復予約が可能。ただし、預け荷物や座席指定など、一切のオプションを省いた場合でも支払総額は5,600円となり、往復運賃の3,980円に対してその半額以上の『諸費用』が加算されている計算となる。
■片道1,990円で往復予約しても、支払総額は5,600円に
上記の『往復総額5,600円』の内訳は以下。
■支払明細
航空運賃:1,990円
支払手数料:430円(クレジットカードの場合)
空港使用料:380円(4月8日以降)
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支払総額:2,800円/片道
記憶している限りで最も安いジェットスターの支払手数料(クレジットカード)は2013年3月時点での200円で、この頃と比べると支払手数料は2倍に値上がりしている。支払手数料の値上がりに関して、値上がり理由などは特にアナウンスされていない。
セールの告知内容を見てもわかる通り、ジェットスター以外のLCCでも『支払手数料』を含めた支払総額は広告などに掲載しておらず、この点については率直に言えば『運賃として広告などで見えにくい部分を値上げする』という方針なのかなと思う。
(ちなみに、各種手数料の値上げはバニラエアについても同様に実施している)
なお、国内線に就航しているLCC各社の支払手数料は以下。
■クレジットカードでの支払手数料
ジェットスター:430円
Peach:330円(PC) / 440円(モバイル)
バニラエア:500円 (※3月29日より)
春秋航空日本:430円
※1人あたり、1区間
支払手数料以外には、成田空港に2015年4月より開業する『第3ターミナル』の開業に合わせて、従来は搭乗者負担が無かった『施設使用料』が、第3ターミナル利用時は片道380円、第1・第2ターミナルを使用時は片道440円設定される(国内線の場合)。この料金については航空会社側で自由に定められるものではないとしても、乗客としては費用負担が増加することとなり、運賃が安いLCCで考えると負担は小さく無い。
例えば、セールでは無いジェットスターの最も安い運賃では、東京(成田) 〜 大阪(関空)の運賃が3,290円(2015年夏スケジュール)に設定されているけれど、最低限支払が必要になる支払手数料&空港使用料を含めて考えると、支払総額は4,100円となる。
■ジェットスター:成田 〜 関空の最低価格
航空運賃:3,290円
支払手数料:430円
空港使用料:380円
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支払総額:4,100円/片道
※航空運賃は『HOT FARE』の最も安い価格を設定
加えて、中心部 〜 空港の間の移動にも費用がかかり、その費用をざっくりと片道1,000円とすると、首都圏から成田空港へ移動、その後空路で関空へ、関空へ到着後大阪市内へ移動することを考えると、支払総額は6,000円を超え、航空運賃以外に2,810円の料金が必要となる。
航空券代合計:4,100円/片道
都心 ⇒ 成田:1,000円/片道
関空 ⇒ 大阪:1,000円/片道
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支払総額:6,100円/片道
東京都心部から大阪市内へ移動することを考えると、LCC以外の選択肢としては深夜バスなどを含めた路線バスが多数設定されており、いわゆる『4列バス』であれば安いもので4,000円前後から、『3列バス』でも6,000円前後で購入が可能。実際に、少し前に利用した大阪 ⇒ 東京の夜行バスは平日であれば片道5,500円で購入することができた。(週末はもう少し高い。ということは付け加えておく)
■大阪(梅田) ⇒ 東京(新宿)高速バス(3列)が片道5,500円
夜行バスなど、高速バスでの移動はLCC利用に比べて移動時間はかかるけれど、LCCで必要となる
・都市部から空港までの移動
・空港到着後のチェックイン手続き(Webチェックイン可能な航空会社もあり)
・セキュリティーチェック
・航空機への移動
・飛行中のインターネット接続不可
・着陸後の都市部までの移動
(東京 ⇒ 大阪の移動を想定)
などなどの手間はなく『出発時刻に間に合うようにバスの出発場所に行けば乗れる』というのは、LCCでの移動と比べると非常にシンプル。
そんなわけで、個人的には以前と比べて国内線のLCC利用はかなり割高になってきたと感じているし、その理由が航空運賃の値上げではなく、支払手数料の値上げや、空港施設使用料の設定など、費用を負担する乗客にとっての対価が何なのかがややわかりにくい名目での料金負担が増えている。というのは最近の国内LCCの動向として残念なところ。
※唯一、改善される点としては成田空港第3ターミナルの『国際線』利用は、空港使用料が従来よりも割安になる。
支払手数料の値上げや空港使用料の設定後も、全体的な傾向として目に見える形でLCCの利用者数が減ることは無いとは思うけれど、個人的には大阪都市部に用事がある場合には、東京(成田) 〜 大阪(関空)でLCCを使うことはかなり減るだろうし、他の路線でもLCC以外の選択肢を検討するキッカケになりそう。