都内4区で広域利用実験が開始されたコミュニティサイクルを試して感じた課題

スポンサーリンク
本Blogのエントリには、アフィリエイト広告が含まれています。

千代田区、港区、中央区、江東区の東京4区は、各区が運営するコミュニティサイクルサービスを相互に乗り入れを目指した広域実験を2月1日より開始。これに伴い、千代田区の「ちよくる」で借りたレンタルサイクルを他の3区でも返却、またはその逆が可能となった。

■都内4区のコミュニティサイクルが相互利用を目指した広域実験を開始
都内4区のコミュニティサイクルが相互利用を目指した広域実験を開始

4区合同の広域実験に関するドコモのプレスリリースは以下より。
報道発表資料 : 東京都内における自転車シェアリング「広域実験」の実施について | お知らせ | NTTドコモ

■コミュニティサイクルサービスの料金は以下。
月額会員:月額2,000円/月 最初の30分間は無料、以降30分毎に100円
一回会員:月額0円/月 最初の30分間 150円/回、以降30分毎に100円
1日パス:1,500円/日 (有人窓口での購入は専用ICカード代が+500円)

コミュニティサイクルサービスは、千代田区の「ちよくる」を過去に使っていたことがあるので、今回も「ちよくる」を利用しようと、利用開始を予定していた当日に会員種別を「一回会員」から「月額会員」に変更。すぐに利用できるものと思いこんでいたけれど、会員種別の変更は「翌日から」または「翌月から」の二択となっているため、当日中に「月額会員」と成ることができなかった。

「当日中には会員種別変更が適用されない」という事を知り、当初の予定が崩れたために半ば諦めかけていたところで思いついたのが、他区のコミュニティサイクルにサービス登録(月額会員登録)した上で、千代田区の「ちよくる」のポートで借りるという方法。この方法であれば「新規会員」として当日から「月額会員」としてサービスを利用することができる。

そんなわけで、他区のコミュニティサイクルのサービスにて「月額会員」登録を行い、サービスを再び利用開始してみたので思ったことを。

過去に「ちよくる」を使っていた際にも感じていたけれど、レンタル時の基本的なフローは以下。

(1)Webサイトから駐輪場を検索する
(2)Webサイトからレンタルする自転車を選択する
(3)自転車の操作パネルでレンタル用のパスコードを入力する
※または「自転車を指定する」メニューで自転車番号を入力してのレンタルも可能

テキストにすると何ら難しいことは無いように思えるけれど、実際にはレンタルするポートが何区にあるのかなど、だいたいの住所を認識しておく必要があり、普段から行き慣れている場所であればともかく、レンタルサイクルを使ってみて初めて訪問した土地でポートを探すのはなかなかに難しい。特に、今回新たに始まったように広域での利用が可能になればなるほど「たまたま行ってみた土地勘のないエリアで返却」という使い方も増えるかと思う。

「事前に利用手続が必要になる」という意味では、乗降時などに運賃を支払うだけで面倒な手続無く利用できる電車・バス・タクシーよりも面倒で、個人的なイメージとしては等距離のバスや鉄道、飛行機などの予約に近い煩わしさを感じる。

ただし、この手続については自転車をレンタルする際に専用のICカードまたはおサイフケータイなどのFeliCa対応カードを事前登録の上使えば、予約時の手続は省略できるので、頻繁にレンタルする方は何らかのFeliCa対応デバイス(カードまたはスマートフォン)を登録しておくことを強くオススメ。

■専用のICカードまたはおサイフケータイでもレンタル可能
登録したICカードで借りる

■登録済みのスマートフォンでレンタル開始

広域実験で使えるサイクルポートについては、GoogleMaps上に表示が可能ではあるけれど、Webサイトからレンタルを行う画面では現在地からの距離などが表示されないのが不便に感じた。「地図でポートを表示」することはできるものの、「地図で表示したポートの自転車をレンタル」できない仕様になっている。

なお、広域実験で使えるポート(4区合同)についてはGoogleMapsにて表示可能。
自転車シェアリング 広域実験ポートMAP

よって、GoogleMaps上でレンタルポートの場所を確認した後、Webサイトに戻ってレンタル手続を行う必要がある。この操作が分断されているため、

(1)GoogleMapsの上でポートの位置を確認し、ポートの名前を覚える
(2)ポート一覧から該当のポートを見つけ出して選択
(3)レンタルする自転車を選択する

という操作が必要になる。このとき面倒なのは、ポート一覧に表示されるポートの名前などなどを覚えないと目的のポートをリストから探すことが出来ない点と、レンタル可能な自転車があるかどうかは、ポート一覧で表示しないと確認することができない。

■広域実験で利用可能なポートの表示は一覧可能、しかしここからレンタル操作ができない
広域実験で利用可能なポートは一覧表示可能

■貸出可能なサイクルがあるかは、ポート一覧で確認する必要がある
貸出可能なサイクルがあるかは、ポート一覧で確認する必要がある

この点、台湾の台北市などで利用可能な「YouBike」では、一度サービスの登録手続さえ済ませておけば、自転車のポートに行ってレンタルする自転車を目視で選択し、ポートにあるリーダーに悠遊卡(EasyCard)をかざすだけでレンタルすることができる。レンタルの都度事前手続が不要なので、非常にカンタンにレンタルすることができる。

事前にFeliCa対応端末を登録しておけばWebサイトからのレンタル手続が不要になる。という意味ではちよくるなどのサービスも同じだったので修正。

■台北YouBike:レンタルするバイクのリーダー部分にEasyCardをかざすだけでレンタル可能
EasyCardをかざすとレンタル開始

また、台湾のYouBikeで提供されているアプリケーションでは、地図上にポートの位置やレンタル可能な自転車の台数などが表示され、外国人であっても一目で状況が把握できる。近くのポートにレンタル可能な自転車が無い場合、次点で別のポートまで移動するか?なども判断し易い。

■YouBike:アプリケーション上で近隣のポート情報などを表示可能
YouBike:ポートの位置やレンタル状況をアプリで把握可能

コミュニティサイクルにおける「レンタル前に手続を行う必要がある」のが面倒な理由は、手続そのものが面倒であるだけでなく、レンタルした自転車(電動アシストつき)のバッテリーが少なくなっているケースもあり、目的地に到着するまでに十分なバッテリー残量があるかどうかは現地で自転車を見てみないとわからない点もあげられる。

■運が悪いとバッテリーが少ない自転車にあたることも(写真では7%)
運が悪いとバッテリ残量の少ない自転車にあたることも

バッテリ残量が少ないためにレンタルする自転車を変更する場合、

返却手続 → バッテリーが十分ある自転車を探す → 再度レンタル手続をWebから行う → 自転車をレンタルする

というフローが必要となってしまうため、余計に手間が大きくなる。
※レンタル手続をWebサイトから行う場合を想定。

例え複数台の自転車がレンタル可能であったとしても、その全てがバッテリーの残量が十分でないケースもありえるが、これは実際に現地に行って自転車を目視で確認しない限りは知る術が無いのは難点。

FeliCaカードなどを登録しない場合の「Webサイトからレンタルするまでのフロー」にはかなり改善の余地があるように思えるコミュニティサイクルだけれど、レンタル可能な自転車は電動アシストつきで、かなり快適に移動することができる。利用可能なポート数が増え、現在利用可能な中央区、千代田区、江東区、港区以外でもサービスが拡大すればより便利になることは間違いない。

それ故に、レンタル時にWebサイトからの手続が必要な現状のままでは多くの利用者が獲得できるようになるとは思えないのが残念。先に紹介したように、台湾の台北市(および新北市など)では「YouBike」が市民の足として機能しており、市内の至るところにYouBikeのポートがあり、外国人であっても気軽に利用することができた。ただし、自転車そのものは普通の自転車で、電動アシストなどは無い。

■台北市内などで使えるレンタル自転車サービス『YouBike』
台北市内出気軽に使えるレンタル自転車サービス『YouBike』

都内4区で提供されているコミュニティサイクルは「電動アシストつき」となっており「自転車そのもの」はYouBikeよりも非常に優れた手段と言えるのに、それ以外の部分(レンタル時の手続のカンタンさや、ポート数など)では圧倒的に不便であるように思えるのは、個人的には少々寂しく思うところ。

そんなわけで、レンタル時の手続が簡素化されることを強く希望しつつ、今後のサービス拡大を緩やかに期待したいなと。

掲載している内容は公開時点の情報です。Webサイトやサービスの内容変更などにより、情報が古くなっている場合もありますので、ご注意ください。
スポンサーリンク

運営者をフォローする