日本経済新聞は、ワンセグ(およびフルセグ)機能つきの携帯電話のみを所持しており、いわゆる据置型のテレビを設置していない場合にはNHKとの受信契約が不要となるように、総務省がNHKへ要請を行う方針であると報道。
総務省による要請に関しては法的な強制力は無いものの、従来は「ワンセグ(フルセグ)機能つきの携帯電話を所有している場合も受信契約の対象」としていたNHKの方針が今後変更となる可能性も考えられる。
日本経済新聞による報道は以下。
「ワンセグのみ」なら受信料免除 総務省、NHKに要請へ :日本経済新聞
総務省はNHKに対して、ワンセグ機能付き携帯電話だけを持っている世帯の受信料を、事実上免除するよう求める方針だ。テレビを持たず、ワンセグ放送も見ていない人から不満が出ているため。総務省の要請に強制力は無い。NHKはこれまで徴収する方針を示しており、今後どう対応するかが焦点になる。
ワンセグ機能つき携帯電話などの所持によってNHKとの受信契約の契約が必要になるか?を争った裁判では、さいたま地裁が2016年8月26日にワンセグ機能つきの携帯電話の所有は、受信契約が必要となる受信設備の設置にあたらない。という趣旨の判決が出された。
NHKは判決に対して控訴し争う構えを見せており、総務省としてもワンセグ携帯を所有している場合は受信契約が必要になると考えている旨を高市総務大臣がコメントしていた。
総務省|高市総務大臣閣議後記者会見の概要(平成28年9月2日)
ワンセグ付き携帯電話のNHK受信料
問:
朝日新聞の上栗です。先日さいたま地裁でNHKの受信料について、ワンセグに対しては受信料が発生しないという判決が出ましたけれども、大臣の受け止めと、今後のNHKの料金徴収に与える影響について、お考えをお聞かせください。
答:
この判決に対しまして、NHKは直ちに控訴するというコメントを出しておられますので、総務省としては、訴訟の推移を見守ってまいりたいと思っています。
これまでは、総務省として、「受信設備を設置」するということの意味を使用できる状態にしておくことと規定した「日本放送協会放送受信規約」を、昭和37年3月30日に認可していますから、従来から、ワンセグ付き携帯など携帯用受信機も、この受信契約締結義務の対象であると考えています。
いずれにしましても、今後、訴訟の推移はしっかりと見守ってまいります。
ただし、上記の高市大臣のコメントに関しては、後日総務省の広報より「先の大臣発言はさいたま地裁の判決に反論する趣旨ではない」という旨を報道関係者に対してメールにて連絡するなど、さいたま地裁判決後の総務省としても方針転換が行われた模様。
総務省広報からメール。「『ワンセグ付き携帯電話に対するNHK受信料に関する報道について』は、取り消します。関係の皆様にご迷惑をおかけしました。なお、高市大臣が地裁判決に反論したとの誤解が広がっているようですが、高市大臣の会見での発言は、そのような趣旨ではないことを申し添えます」
— 志田義寧@ロイター (@y_shida) 2016年9月5日
ワンセグサービスは2006年に提供が開始されており、ワンセグサービスの開始後は総務大臣やNHKの方針としてワンセグ対応機種を所有している場合はNHKとの受信契約締結の義務があると主張していた。
ワンセグ・フルセグなど移動体端末を所有しているだけではNHKとの受信契約は不要であると総務省が主張するのは今回が初めて。実際にNHKの方針変更に繋がるのか、あるいは法改正を経てワンセグ(およびフルセグ)対応携帯電話の所有は受信契約の義務が発生しないと明文化されるのか、今後の動きを注目したいところ。