総務省:SIMロック解除を義務化、キャッシュバックや契約自動更新などの規制は見送り

総務省は、10月10日付けで『ICTサービス安心・安全研究会』における報告書案を作成し、これに対する意見募集を開始している。(意見提出期限は11月10日まで)

総務省では、提出された意見を踏まえて報告書をとりまとめる。としている。

総務省のICTサービス安心・安全研究会の報告書案および意見募集については以下より。

総務省|「ICTサービス安心・安全研究会 報告書~消費者保護ルールの見直し・充実~~通信サービスの料金その他の提供条件の在り方等~」(案)に対する意見募集

報告書案に記載されている主な内容は以下。

(1)SIMロック解除の義務化
(2)キャッシュバックの直接的な規制は行わない
(3)通信契約についてはクーリングオフを導入、端末は対象外
(4)定期契約(主に二年)の自動更新、解除料設定に関する規制は行わない

SIMロック解除の義務化

SIMロックの解除については、総務省が2010年に定めた『SIMロック解除に関するガイドライン』にて、通信事業者の主体的なSIMロック解除を求めたものの、その取り組みが限定的であることから、最初からSIMロックをかけないか、一定期間(具体的な期間不明)経過後は、利用者の求めに応じて利用者の負担なくSIMロック解除に応じることが適当。としている。

携帯電話事業者が利用者の端末にかけているSIMロックについて少なくとも一定期間経過後は、利用者の求めに応じ迅速、容易かつ利用者の負担なく解除に応じることが適当

同報告書では、『SIMロックによる顧客囲い込み一因となって高額なキャッシュバックや通信料金の高止まり等の問題が発生』としているものの、既に多くの端末でSIMロック解除に対応しているドコモや、Nexus 5などをSIMフリーのまま販売しているワイモバイルの事例を見るに、SIMロックの解除対応の有無によってキャッシュバックや通信料が異なるということは無いように思う。

なお、ワイモバイルではソフトバンクグループ以外からのMNP転入であれば、端末購入を伴わないSIMカードのみの契約でも10,000円をキャッシュバックするキャンペーンを開催中。

ワイモバイルからおトクな音声付きSIM登場! |Y!mobile

国内におけるSIMロック解除の実績は、ドコモがSIMロック解除対応端末を販売開始後の3年間で累計約20万件となっており、2011年4月 〜 2014年3月末までに販売された携帯電話などの台数6,700万台を母数として考えると、SIMロック解除のリクエストがあった端末の割合は0.3%と計算ができる。
※この販売台数には、SIMロック解除非対応端末も含まれている。
関連エントリ:ドコモのSIMロック解除実績は3年間で累計約20万件 | shimajiro@mobiler

今回の報告書の内容では、SIMロック解除に対する具体的な運用方針、スケジュールなどは触れられておらず『ガイドラインの実効を確保することを前提とした検討が必要。』とされるに留まり、具体的なSIMロック解除に関する運用方法およびスケジュールなどは未定。

キャッシュバックの直接的な規制は見送り

携帯電話サービスの契約時に多額のキャッシュバックが提供される点については、

①携帯電話事業者間の競争を歪めるとともに、②キャッシュバックによる顧客獲得が困難なMVNOの新規参入・成長を阻害する点で問題。

および、

携帯電話番号ポータビリティ等により頻繁に事業者・端末の乗り換えを行う利用者と、キャッシュバックの恩恵を受けずに毎月の通信料金を支払っている長期利用者との間の不公平性が拡大する点においても問題。

としながらも、直接的な規制せずに『SIMロック解除等の競争環境整備を通じて適正化を促すことが適当』としている。

同報告書では、販売奨励金等の状況について携帯電話事業者から総務省に対して定期的な報告を義務付けると共に、キャッシュバック等に必要となる条件については適切な説明を行うことが適当。としている。

販売奨励金等の状況について、携帯電話事業者に定期的な報告を求めるとともに、利用者がその条件を正確に理解できるよう、キャッシュバック等に必要となる条件について、適切な説明を行うことが適当。

なお、直近ではキャッシュバック競争は一時期と比べて落ち着いたように見える一方で、iPhone 6/iPhone 6 Plus発売後から各キャリアが『下取り』によってキャッシュバックに似た販売施策を行っており、各社の下取りキャンペーンが、総務省に報告すべき内容に含まれるのかは不透明。

通信契約をクーリングオフの対象に、端末購入については対象外

クーリングオフについては、

・電気通信サービス(通信契約)はクーリングオフの対象に
・購入した端末についてはクーリングオフの対象外に

することが適当とされた。

電気通信サービス(通信契約)をクーリングオフ対象とすべきとした理由については以下のように説明されている。

①契約内容が複雑となっていること、
②通信速度がいわゆるベストエフォート型であることや具体的なサービスエリアは実際に利用しないと品質等を十分に把握できないといった電気通信サービスの基本的特性を踏まえ、販売形態によらず、初期契約解除ルールを導入することが適当。

前述の通り、通信契約と端末の販売については別々に扱われ、購入した端末についてはクーリングオフの対象外とし、返品を受け付けない方針とされた。

④ 初期契約解除ルールに伴う端末等の取扱い
⇒ 電気通信サービスの提供に係る契約の初期契約解除ルールと携帯端末・付属品等の物品の販売契約は区別することが適当と考えられる。端末等の物品に関する初期契約解除ルールの取扱いについては、主要事業者で試用サービスが実施される方向であること等を踏まえ、店舗販売の場合における端末等の物品に係る制度化は、現時点では行わないこととし、当面、SIMロック解除等の推進の事業者の取組状況等を注視することとする。

『契約してみないと実際のエリアなどなどがわからない』という点には納得できるものの、通信契約だけがクーリングオフの対象となり契約解除が可能になっても、購入する端末については大半のケースで割賦支払を組んでいると仮定すれば、端末だけを引き続き何らかの用途で使う。というケースが多いとは考えにくく、実際にクーリングオフを適用して契約解除をする利用者は多くは無いのではと思う。なお、クーリングオフを適用して契約を解除する場合、契約解除までに利用した通信料金などなどは利用者負担となる。

ただし、端末が返却可能となったとしても端末は中古品となってしまうため、再販時の価値が低くなってしまうという問題もあるので、個人的にはUQコミュニケーションズが提供しているような『Try WiMAX』(無料でWiMAXサービスを最大2週間試せる。端末は返却可能)のような取り組みが普及するのも一つの解決策かなと思う(今回の報告書ではそのような形にはなっていないけれど)

定期契約型の解除料および自動更新に関する規制は見送り

二年契約を中心とした定期契約型の料金プランの契約解除料および自動更新に関する規制については、通信契約におけるクーリングオフの導入の効果や、契約更新タイミング(解除料が発生しないタイミング)を事業者が利用者に対して通知するなどの効果を見るとし、現時点で直接的な規制は行われない方針となった。

(一社)電気通信事業者協会から、電気通信事業者が、契約解除料を支払うことなく解約が可能な期間の延長と、更新時が近づいた時点でデフォルトでのプッシュ型の通知を行う方向で検討中との表明があったこと等を踏まえ、事業者による自主的な取組の効果や、初期契約解除ルールの導入の効果等も見ながら、以下の点に関する改善状況を本研究会等の場で検証し、必要に応じ、更なる対応についての検討を行うことが適当。

総務省の研究会では、様々な内容が検討されているものの、義務化されたSIMロック解除についても、既にドコモが原則としてSIMロック解除に対応してから3年が経過していることを考えると、研究会が期待しているような競争促進に大きく貢献するのか?は個人的には疑問。

ただし、携帯電話サービスの契約やサービス内容が複雑化しており、結果として利用者にも販売店にも負担が大きくなっている点は課題とは思うので、今後効果的な制度改善が行われることには期待したいところ。