総務省のスマホ実質0円販売禁止と、通信事業者の終わらない「抜け穴」探し – 一般ユーザは置いてけぼり?

総務省は、2016年11月18日(金)に新ガイドラインとなる「モバイルサービスの提供条件・端末に関するガイドライン」(案)を発表。従来の「SIMロック解除に関するガイドライン」及び「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」の二つのガイドラインの内容が改正され、新ガイドラインに一本化される。

新ガイドラインでは、スマートフォン購入補助の適正化に関するガイドラインの中で定められた「スマートフォンの実質0円販売の禁止」の「抜け穴」を防ぐべく、規制が強化される方針。

SIMロック解除の条件緩和、端末の実質価格に新基準――改正ガイドラインの影響は? (1/3) – ITmedia Mobile

フォローアップ会合では、実質0円禁止のガイドラインに抜け穴があることが問題視された。第1回の会合でヒアリングされたドコモの取締役常務執行役員 大松澤清博氏は、期間限定の販売奨励金や高額なプランへの加入を条件とした販売奨励金を挙げ、「ガイドラインの抜け道はふさぐべき」と主張している。

総務省が「実質0円販売の禁止」を強化する一方で、そもそもガイドラインの中で規制対象とされていないMVNOは、堂々と「実質0円」での販売を継続している。

UQ mobile:iPhone 5sを「実質0円」に値下げ

一例を挙げると、UQ mobileはiPhone 5sの本体価格を値下げ、本体代から毎月の通信料を割り引いて考えるいわゆる「実質価格」を0円(厳密には100円)に設定して販売を行っている。

■UQ mobile:iPhone 5sをほぼ「実質0円」で販売
UQ mobile:iPhone 5sを「実質0円」に値下げ
掲載元:マンスリー割|UQmobile|格安スマホ・格安SIMのUQmobile

●UQ mobile:iPhone 5s本体代金&月額料金の詳細
iPhone 5s本体代金:43,300円
購入時支払金:100円
本体代割賦金:1,800円/月 (総額 43,200円)
マンスリー割:▲1,800円/月 (総額 43,200円)
月額料金:1,980円/月 (ぴったりプラン契約時、1年目)
※各種価格&料金は税別

UQ mobileはKDDIグループに属するものの、MVNOのためガイドラインの対象外となるため、ガイドラインに照らし合わせても特に問題はない。

ワイモバイル:自社端末以外を「活用」することで本体価格を大幅割引

MNOでガイドラインの「抜け穴」をついた(と言えなくもない)販売を行っているのはワイモバイルで、ワイモバイルでは音声SIMカードを契約すると最大で20,000円のキャッシュバックを行っている。
※通常のキャッシュバックは最大で1.5万円、これが週末限定で2.0万円に増額されている。

ワイモバイルオンラインストアでの音声SIMカード販売は以下にて。
※申込プランをスマホプランMまたはLにすると2万円還元が適用となる。

音声USIMカードを購入 – ワイモバイルオンラインストア
ワイモバイル:音声SIM契約で最大20,000円キャッシュバック!

スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドラインにて規制対象となっているのは、基本的に「スマートフォンの購入」が対象となっているため、通信事業者によるスマートフォンの販売を伴わない場合は規制の対象外となる。このため、ワイモバイルではあくまで「本体を販売しない」販売方式として、音声SIM契約でキャッシュバックを行っている。

さらに、ヨドバシカメラなどの家電量販店では、ワイモバイルが販売していないSIMフリースマートフォンとワイモバイル回線の同時契約により本体代が大幅に割引されるキャンペーンが行われており、本体代は一括で1,111円など一括0円に近い値付けがされている機種も多くなっている。

これについても回線の提供元はワイモバイル(ソフトバンク)でありながら、端末に関してはワイモバイルが販売しているわけではないので、ガイドラインによる規制の対象外となっている。

■ワイモバイル同時契約でP9 liteが本体代一括1,111円
Huawei P9 liteは一括1,111円に

ガイドラインによって、通信事業者自身によるスマートフォンへの過度な割引が規制されるなかで「自社で販売している機種では無い」という抜け穴をうまく活用するワイモバイルの展開は、総務省のガイドラインの一歩先をいっているように思う。

ドコモ:規制対象外のタブレットや激安スマホを安売り

通信事業者自身が「実質0円」以下または「一括0円」に近い価格での販売を行う事例としては、ドコモの「dtab Compact」が端末購入サポート + 月々サポートの割引によって「実質マイナス2.2万円」に、また新発売のスマートフォン「MONO」も端末購入サポートによって割引後の販売価格が「一括648円」と、ほぼ一括0円に近い価格にて販売予定。

dtab Compactはスマートフォンではなくタブレットのためガイドラインによる規制の対象外となっている。(割引によって本体価格は一括約1万円、月々サポート総額が3.2万円で、実質価格はマイナス2.2万円)

ドコモオンラインショップでのdtab Compact販売ページは以下にて。
dtab Compact d-02H – ドコモオンラインショップ

■dtab Compact d-02Hの本体価格&各種割引
本体価格:49,896円
端末購入サポート:▲39,528円
月々サポート:▲32,400円 (▲1,350円/月)
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実質価格:▲22,032円 ▲(918円/月)
※各種価格は税込
※月々サポートの割引はシェアパック10~30、ウルトラシェアパック50などを契約時の割引価格を記載。シェアパック5など、容量の小さいパケット定額オプションを契約時は月々サポートが432円/月(総額10,368円)減額される。

本来はガイドラインによる規制対象となる「MONO」は、通信事業者から販売代理店への卸価格が30,000円以下の「廉価端末」となるため、ガイドラインによる規制の対象外となっている。(廉価端末がガイドラインによる規制対象外となる旨は、ガイドラインに明記されている)

MONOの販売価格についてはドコモオンラインショップにて。

MONO MO-01J – ドコモオンラインショップ
ドコモ:MONO MO-01J

●MONO M-01J販売価格
本体価格(割引前):32,400円
端末購入サポート:31,752円
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支払金額:648円 (一括)

まとめ:規制強化と続く「抜け穴」探しで一般ユーザは置いてけぼり?

総務省がガイドラインによってスマートフォンの実質0円販売を禁止する一方で、通信事業者は様々な「抜け穴」を活用してスマートフォン(など)を販売する実態は大きく変わっていないように思う。

一方で、各種議論のスタート地点であるハズの「家計における通信費の負担を引き下げること」はあまり顧みられることなく、通信事業者によるスマートフォンの販売価格規制や、SIMロック解除などの点に議論が集中しており、一般ユーザがスマートフォンを割安に使うためのルール作りが行われているようには(個人的には)あまり思わない。

もっとも、現時点でもMVNO各社のサービスは十分に割安な水準と思うので、毎月の通信料を節約したい。という方はMVNOのサービスを活用するだけで十分なメリットがあるように思うところ。