シェアバイクにおける奈良市と奈良県の不毛な争い

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奈良市内では、東京都内9区などでサービスを提供中の「ドコモ・バイクシェア」による「奈良バイクシェア」と、中国発の大手シェアバイク「Mobike」の二つのシェアバイクサービスが提供されている。

ドコモ・バイクシェアによるシェアバイクサービスと、中国系のシェアバイクが提供されている都市は(おそらく)奈良市が日本で唯一。どちらのサービスも、奈良市内では2018年3月より提供されている。

■「奈良バイクシェア」(ドコモ・バイクシェア)
「奈良バイクシェア」

■「Mobike」
「Mobike」

奈良県はドコモバイクシェア、奈良市はMobike推し

「奈良バイクシェア」も、奈良市における「Mobike」も、サービスが開始されてから日が浅く、自転車台数やポート数がそれほど充実していない点は同じで、サービスの拡大については今後の展開に期待。

という点を前提としつつも、奈良市におけるシェアバイクサービスについては、奈良県が「奈良バイクシェア」を、奈良市が「Mobike」の導入をそれぞれ推進している。どちらも奈良市内にて同じ時期に開始されたサービスにも関わらず、駐輪場についてはお互いに完全に別個に駐輪場を提供している。

■「奈良バイクシェア」のポートマップ
「奈良バイクシェア」のポートマップ

奈良県が推進している「奈良バイクシェア」は、「平城宮跡歴史公園」の開園日(2018年3月24日)にサービスがスタートし、同公園内や、世界遺産である春日大社の駐輪場などに、自転車をレンタル・返却するためのポートを設置している。

■「奈良バイクシェア」のポート(春日大社)
「奈良バイクシェア」のポート(春日大社)

これに対して、奈良市が推進している「Mobike」は、奈良市役所のほか、JR奈良駅近くの「なら100年会館」、JR京終駅前の市営駐輪場などに自転車をレンタル・返却するためのポートを設置している。

■「Mobike」のポートマップ
「Mobike」のポートマップ

■JR京終駅前の「Mobike」駐輪場
JR京終駅前の「Mobike」駐輪場

2018年5月29日時点では、「奈良バイクシェア」のポートが9箇所、「Mobike」のポートが約20箇所と、ポート数については「Mobike」が先行しているものの、どちらのサービスも「どんな目的地の近くにも、たいていポートがある」という状況では無く、ポート拡大・充実については両サービスにとって今後の重要課題と言える。(ポート拡大が重要なのは奈良市内に限った話ではない。)

Webサイトでもお互いを無視?

駐輪場(ポート)に互換性が無いだけでなく、奈良県と奈良市のWebサイトを見ても、奈良県のWebサイトでは「奈良バイクシェア」のみ、奈良市のWebサイトでは「Mobike」のみが紹介しており、同一エリア内で提供される類似サービスながら、お互いの存在を無視しているかのような印象を受ける。

■奈良県のWebサイトでは「奈良バイクシェア」を告知
奈良県のWebサイトでは「奈良バイクシェア」を告知
掲載元:大人も子どもも楽しめます!「平城宮跡歴史公園」オープン

■奈良市のWebサイトでは「Mobike」を告知
奈良市のWebサイトでは「Mobike」を告知
掲載元:市長の動き(3月分) – 奈良市

小倉の「ofo」は既存サービスとポート共有

奈良市における「奈良バイクシェア」と「Mobike」が一切の協力を拒否しているように見える一方、既存の自転車シェアリングサービスのポートをそのまま転用する形でサービスを提供しているのが、小倉(北九州市)エリアの「ofo」。

北九州市小倉区では、従来よりシェアバイク「シティバイク」サービスが提供されており、同サービスのポート(区内約20箇所)の一部を「ofo」に転用。小倉駅前やモノレール駅前など、公共交通機関との連携を前提に(従来より)ポートが設置されている。

■小倉エリアの「ofo」は、従来のシェアサイクルとポートを共有している
小倉エリアの「ofo」は、従来のシェアサイクルとポートを共有している
(小倉市中心部の駐輪場、手前が「ofo」、奥が「シティバイク」)

競争は必要だけど…

サービスが健全に発展していくために必要な競争があることは理解しつつも、現時点では「奈良バイクシェア」も「Mobike」も十分な規模でサービスを提供できているとは言い難い状況。

奈良市に限った話ではないけれど、各地で互換性の無い駐輪ポート設置が陣取り合戦のように進んだ結果、どのサービスもイマイチ使い勝手が良くない→利用者低迷→サービス縮小・撤退なんてことにならないかと心配。