docomoのMVNOキャリアとしてb-mobile SIMなどのサービスを提供する日本通信が、携帯キャリアの行っている『過度なMNPインセンティブ』に対する公開抗議の発表および、契約から1年未満の解約について10,500円の違約金を設定したことを明らかにした。
日本通信、携帯キャリアの過度なMNPインセンティブに対する公開抗議|日本通信株式会社
プレスリリース文から概要を引用。
携帯キャリアは、事業者間競争が激化する中、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)による転入に対して、キャリアショップ等と連携して1回線あたり3万円から7万円程度のキャッシュバックを支払っています。一方、当社は、音声付きSIMサービスの中に、最低利用期間がないものを設けています。
ところが、この状況を利用することにより、最低利用期間がない当社のSIMを申し込み、直後にMNPで携帯キャリアに移動し、それを即座に解約することで、1回線あたり数万円のキャッシュを手に入れることができてしまいます。
当社としては、最低利用期間の定めのないSIMについても、ルールに則った契約事務手数料、通信料、及びMNP手続き手数料を頂戴しているため、短期間でのMNPによる転出があっても、経営的には問題ありません。
しかしながら、当社は、通信業界の健全な発展に貢献するためにMVNO事業モデルを実現し、この事業モデルによって今後の成長戦略を推進していく企業として、本件のような通信業界の問題についても、適切に問題提起し、解決を訴えてまいります。
プレスリリースにあるように、日本通信としては契約時には契約事務手数料、利用した分の通信料、MNP転出に伴う手数料を設定しているため、短期間でMNP転出があった場合でも経営的に問題があるわけではない。
としながらも、他社の『過度なMNPインセンティブ』に対する『業界の健全な発展への貢献』のために、契約から短期間の解約に対する手数料を設定したとの事。
この趣旨については特に反対はしないのだけれど、一つだけおかしいなと思っているのが『過度なMNPインセンティブに対する警告および、業界の健全な発展』が目的であれば、契約から1年間以内の解約に対して違約金が10,500円発生するのではなくて、契約から1年以内のMNP転出手数料を10,500円値上げする形にすれば、『過度なMNPインセンティブへの警告』の趣旨に対して全くブレないのだけれど、今回設定されたMNPでの転出に限らず、契約から1年以内の解約に違約金設定の形だと、MNPで他社に転出する意図が全く無いユーザへも負担となってしまうので、実はどさくさにまぎれて短期間での解約防止を図る意図が、無きにしも有らずなのでは?と思ってしまうのは、穿った見方かなぁ…。
短期間でのMNP転出のハードルをあげるという意味では、SoftBankのプリモバイルだったり、auのぷりペイドについても似たような施策が行われる事が発表されており、まもなく開始される予定だけれどSoftBank、au、日本通信の3社で比較すると、『MNPの転出ハードルのみを高くする』という面で一番まっとうなのは、SoftBankのプリモバイルが行う『契約開始から1年以内のMNP転出または解約に、手数料を9,975円設定する』というルールになっており、SoftBankのプリモバイルは解約しなくても基本料金などなどは発生しない(待受利用であれば)ので、MNP目的以外で普通にサービスを使いたいユーザにとってはリスクが小さくて、『短期間でのMNP転出を防ぐ』という趣旨に対して全くブレが無くて違和感を感じない。
*解約手続き数を減らすことで、契約数を稼ぎたいという目的があるかもしれないけれど…。
普段はあまり行儀の良くないキャリアであるSoftBankが、本来の意図(短期間でのMNP転出の防止)に一番合致したルールを設定しているのに対し、追従したau、日本通信についてはMNP転出を行わないユーザにも負担のあるルール設定となっているのは意外で興味深い。