iPad向けに配信されたキャリアアップデート(ドコモ16.2)を適用すると、SIMフリーのiPadにて、MVNOキャリアのSIMカードを挿した状態ではテザリング利用が利用できなくなる現象が発生している。
■SIMフリーのiPad:ドコモのキャリアアップデートでMVNOでのテザリングが利用不可に
SIMフリーのiPadにキャリアアップデート(ドコモ16.2)を適用した状態でのテザリングについては、ドコモのMVNOとしてサービスを展開しているIIJの動作確認が詳しいのでご紹介。
iPadに、5/31から配布が開始されたキャリア設定(ドコモ16.2)を適用すると、テザリング可能な全てのiPadにおいてテザリングができなくなることを確認しましたので、動作確認済み端末を更新しました。https://t.co/UjHw9pQRGc
— IIJmio (@iijmio) 2014, 6月 2
キャリアアップデートによって、MVNOのSIMカードを使ったテザリングが利用できなくなったのは、ドコモがiPad Air/iPad mini Retinaの販売開始するにあたり、同社の提供するISPサービス『spモード』でのみテザリングを可能とするように、アップデートで仕様変更を行った結果と予想される。
Apple製品のアップデートによって、従来利用可能だった機能が利用できなくなった例としては、iOS 6.1へのアップデートでも、従来は利用可能だったドコモ回線でLTE接続ができなくなった事例がある。
その他にも、ドコモからも販売されているiPhone 5s/5cの両モデルについては、SIMフリー版を含めて、MVNOキャリアでのテザリングが利用できなくなっており、Apple製品を取り扱うMNOキャリアの状況によって、MVNOキャリアでの利用が制限される事例があった。
現時点でSIMフリー版のiPad Airを使っているユーザが、アップデートによってテザリングを利用できなくなってしまうのは不便だし、SIMフリーモデル + MVNOで使っているユーザとしては、ドコモからiPadが発売されても特にメリットがあるわけではないので、この点については、任意のAPNでテザリングが可能になるなど、iPadを販売するキャリア以外のネットワークを利用した際にも使いやすくなるように改善があれば、ユーザとしては有り難いのに。とは思う。
iPadでMVNOキャリアのテザリングが利用できなくなった今回の問題は『端末の販売元が動作保証をしていないMVNOの回線での利用』については、一部機能が制限されたり、通信自体ができなくなる可能性がゼロではない。というリスクが実際にユーザに影響のある形で現れたものと思う。
※ちなみに、MNOであるドコモのmopera Uでもテザリングが利用できなくなっている模様。
MVNOキャリアを使うことによって発生する機能の制限については、MVNOのデータ回線のうち、SMSに非対応となっている回線を利用した際に、スマートフォンの電池の減りがはやくなったり、電波強度が正しく表示されない『セルスタンバイ問題』と呼ばれる現象があり、この問題に対応するために、MVNO各社がデータ通信サービスでも、SMS対応をオプションとして提供するなどの流れが過去にあった。
セルスタンバイ問題については、IIJのエンジニアの方のBlogエントリが詳しいのでご紹介まで。
てくろぐ: アンテナピクト問題・セルスタンバイ問題とは何か
そんなわけで、SIMフリー端末の選択肢の広がりであったり、MVNOによる格安回線の選択肢が広がりつつあることは個人的には歓迎だし、今後も広まっていくものとは思うけれど、通信キャリアが動作保証をしていない端末については、今後も一部機能が使えなくなるなどの問題が発生するリスクがある。という点は認識しておいた方が良いかなと。