日本の携帯電話会社の本体代金『実質0円』に思ったこと

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日本の通信事業者各社が取り入れている、本体代を割賦払い + 通信料からの割引の組み合わせによる、いわゆる『実質0円』について『おや?』と思った事例が続いたので思ったこと。

1つ目はソフトバンクの2015年度 第1四半期の決算発表会における孫社長の『iPhoneは二年契約と共に無料』としたコメント。

少々長いけれど、該当箇所をケータイWatchの記事から引用。

孫氏、SIMロック解除義務化は容認、純増数は「形骸化」 – ケータイ Watch

孫氏
 「今も以前もSIMロックが解除された、高い端末をあえて欲しい人がそんなにたくさんいるとは思えない、という考えは変わっていない。現にアップルからSIMロックが解除されたiPhoneが販売されているが、ほとんど売れていない。わざわざ6万~8万も出して(SIMロックフリーの)iPhoneを買いたいというユーザーは日本にはほとんどいないという実績が出ている。なぜならば我々は事実上、2年契約とともに無料でiPhoneを提供している。iPhoneに限らずAndroidでもおそらく同じ。ただしSIMロック解除という制度自体については別に反対するものではありません」

ソフトバンクによる動画配信では以下。

2015年3月期 第1四半期 決算説明会 | ソフトバンク
※該当の質疑応答は、56分25秒 〜 59分30秒前後。

iPhoneの提供価格について『二年契約と共に無料でiPhoneを提供している』と言い切ってしまっているのが非常に印象的。

実際にはソフトバンクのiPhone 5sの本体価格(定価)は以下のように設定されている。

■iPhone 5s本体代(ソフトバンクモバイル)
16GBモデル:70,080円
32GBモデル:80,400円
64GBモデル:90,720円
※税込表記

■iPhone 5s本体代一覧&月月割適用額
機種代金 ホワイトプランご利用時 料金プラン iPhone モバイル ソフトバンク
引用元:機種代金(ホワイトプランご利用時) | 料金プラン | iPhone | モバイル | ソフトバンク

iPhone 5sの価格をざっくりと説明すると、およそ70,000円 〜 90,000円(容量によって異なる)の端末代に、通信料からの割引である『月月割』を差し引いて考えるいわゆる『実質価格』が0円 〜 約35,000円となっているものの『端末代の支払総額が無料(0円)』となることは、基本的に無い。
※MNPの契約で端末代を大幅に割り引き、端末代が0円になるケースは存在しないわけではないけれど『一般的なケース』としては言い難いので、ここでは割愛。

原則として、設定されている端末代(iPhoneでは70,000円 〜 90,000円)を支払しない方法は存在しない(割賦代金を支払わないなどを除く)ので、ユーザとしてはあくまでも本体代は全額支払うことが前提。

その上で、端末代の総額に近い割引を『通信料からの割引』として受けることが可能になっているので、例えば契約から1年間で何らかの事情によって解約をしようとした場合は、『通信量からの割引』の残り1年間分は受けることができなくなくなる。

この時、端末代を一括で支払いしていれば、解約に伴う追加の支払は特に無く、今後1年間受けられるハズだった通信料に対する割引が受けられなくなるのみだけれど、端末代を分割払いしている場合は、端末代の残債を一括で精算(支払)するか、割賦契約を続けるかを選ぶ形となる(精算方法は厳密にはキャリアによって異なるかも)

いずれにせよ、端末代は全額支払う以外の方法は原則無い。という点は共通しているものの、通信キャリアとしては本体価格(総額)をほとんど意識していないのでは。と思える。

同様の発言は、ソフトバンクモバイルから発表されたAQUOS CRYSTALの発表会でもあった。
※たまたま直近の事例として、ソフトバンクモバイルの関係者の発言があったので紹介しているけれど、最近の端末代が高い傾向にあるのはどちらかと言えばドコモで、特別にソフトバンクが悪質。と主張したいわけではない。

Sprintと初めての共同調達モデルとされ、販売価格が割安となることが期待されたAQUOS CRYSTALの販売価格に関して、質疑応答で以下のやりとりがあった。
※この発表会は、ソフトバンクのWebサイトで動画配信がされていない。

フリーランス サノ:
料金は現在のところ未定とのことですが、日本とアメリカでのだいたいの価格帯はどのくらいを想定しているのでしょうか?

A:
日本では、AQUOS CRYSTALは新規MNPで実質ゼロ円で提供します。定価の方は後ほど広報から。

引用元:ソフトバンクモバイル新商品発表会でスマートフォンの新戦略&新機種発表へ、質疑応答もアリ – GIGAZINE

上記の質疑応答では、いわゆる実質価格については『実質0円』と返答できたものの、本体代総額については認識しておらず、広報に確認してからの回答となった。

実際には、日本でのAQUOS CRYSTALの販売価格は、スピーカーとセットで本体価格は54,480円(税込)となっており、AQUOS CRYSTALの本体単体(スピーカーなし)では購入することができなくなっている。

AQUOS CRYSTALは、通信料金からの割引である『月月割』がMNPで最大63,120円、新規契約で最大54,480円、機種変更で51,120円設定されており、新規契約時はいわゆる『実質0円』となっており、端末の発表会における『実質0円』はこの価格のことを意味している。
※月月割はバリュープログラムの増額分を含んだ価格。

■AQUOS CRYSTAL機種代金&月月割適用額
AQUOS CRYSTAL 料金 機種代金 SoftBank スマートフォン 製品情報 モバイル ソフトバンク
情報元:AQUOS CRYSTAL 料金・機種代金 | SoftBank スマートフォン | 製品情報 | モバイル | ソフトバンク

一方で、ソフトバンクの子会社である米国の通信事業者スプリントでは、AQUOS CRYSTALの本体価格がUSD 239(約25,000円)に設定され、日本と異なりスピーカーが付属しないとは言え、本体価格は日本円換算で約30,000円ほど安く、価格としてはミッドレンジの価格に設定されている。

話を国内に戻すと、端末発表会では『新規契約で実質0円』と紹介されたAQUOS CRYSTALは、本質的には約55,000円の本体代を支払う前提での『実質0円』であり、米国版と比べるとかなり割高な印象。仮に、日本国内でも同価格帯で販売されていれば、スピーカー無しで本体総額24,000円、端末代は月額1,000円を分割支払い。とすれば、価格的にはインパクトがあったように思える。(仮に同じ『実質0円』だとしても)

通信事業者のこれらの発言や価格設定を考えると、多少言葉は乱暴ながらも、本体の総額価格と、通信料割引の総額の関係を深く意識せずに『実質0円ならいいか』という感じで、端末を購入しているユーザが多く、キャリア側も『実質0円』であれば販売価格として高額ではない。と安直に考えているのでは。と思える。

そんなわけで、本体代総額と通信料割引を高額に設定することで『実質0円』とするよりも、端末代は端末代として適正な価格設定を行った上で、通信料の割引額を縮小または撤廃するなど、健全な方向へシフトしていくことを願うばかり。