加熱していた携帯電話各社のMNP新規契約者向けのキャッシュバックが、2014年の3月末をもって一段落した模様。
MNP契約者向けのキャッシュバックの終了が、総務省の指導によるものなのか、単純に各キャリアの営業施策の転換によるものなのかは不明だけれど、3月17日付けのITmediaの記事では、総務省からは各社に対して正式な指導などは行われいない。とされており『総務省の指導』によって、3月末のタイミングでMNP契約者向けのキャッシュバックが終了したのかは不明。
『総務省の指導』に関する、ITmediaの記事は以下より。
総務省の指導で“MNPキャッシュバック”が終了?――詳細を確認した – ITmedia Mobile
総務省 総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課に3月17日に確認したところ、「指導をした事実はない」とのこと。「指導をするとなると、文書を起こして稟議(りんぎ)を通す必要があるが、そのようなことは行っていない」(担当者)
理由はともあれ、一旦落ち着いたように見えるMNP契約者向けのキャッシュバック競争だけれど、MNP契約者へのキャッシュバックが加熱し始めたのは2011年後半から(端末で言うと、KDDIのEvo 3DやPHOTONなど)と認識していて、この頃から商戦期などに合わせて断続的にキャッシュバックを行うキャンペーンは行われていた(金額が大きくなっていた)ように思う。
MNPキャッシュバックが過熱したのを仮に2011年の後半と仮定して、MNPキャッシュバックが行われる前と比較して『長期の継続使用者向けのサービスに著しい改悪があったか』という点で各社のサービス動向を考察すると、MNPキャッシュバックが過熱したことを理由として、明らかに長期両社向けの特典が著しく改悪された例。
というのは思い当たらず、個人的には『MNPのキャッシュバックによって、長期利用者向けのサービスが改悪された』とは特には感じておらず、この間にいくつかのサービスではサービス内容が改悪されたことは記憶しているものの、それがMNP契約者向けのキャッシュバックが負担になっているため。
という明確な因果関係の証明は難しく、仮に各キャリアの説明として、そのように説明されることがあったとしても(あったという認識は無いけれど)それが必ずしも事実である。とも言えないのではと思う。
※直近ではドコモの『プレミアクラブ』の改訂は、メリットを受けるユーザが多いようには思えず、全体的には改悪かなという印象はある。
とは言え、MNP契約者向けのキャッシュバック云々に限らず『釣った魚に餌をやらない』という姿勢自体は、MNP契約者向けのキャッシュバックが終わっても構造的にはそれほど変わるものではないし、長期利用者が何もしなくても(黙っていても)通信料金や端末代が安くなる。
というようなことは、各社が利潤の最大化を目的としている営利企業である以上は望むことが難しく、契約期間の長短に関わらず、自分に最適な使い方をやそれに係るコストを、ユーザ側で把握した上でプランの変更や使用を行わない限りは、何らかの形で対価(基本料金/パケット定額/オプション料金)を支払う形になる。というのは携帯電話業界に限った話ではないのかなと。
携帯電話業界のMNP契約者向けの高額キャッシュバックについては、長期契約者向けと比べて著しく優遇されているため不公平に見える、というような課題があったして、仮にそれが解消されたとしても、基本料金や各種通信料の割引という形で、同じような構造(MNP契約者を優遇する)は基本的に変わらないのではと思う。
いちユーザとしてできるのは、先述の通り自分の使い方や、負担可能なコストに合わせた最適なプランを選ぶことで、自分にとって不要な出費を抑えつつ、納得のいくサービスの提供を受けられるようにする。ということになるのかなと。