「IIJmio meeting 16」に参加したので、印象的だった内容を整理してメモ。
IIJmio meeting 16の内容は、公式Blog「てくろぐ」にて資料などなどが公開されているので、都合により参加できなかった方や、当日参加したけれど復習したい。という方はこちらでご確認を。
てくろぐ: 「格安スマホ」の修理・スマホがつながる仕組み・通信速度とは?
※以下に掲載しているスライドは全て掲載されている。(特別な事情が無ければ…)
以下、各セッションごとにカンタンにご紹介。
IIJmio Updates 2017/04~2017/06 (IIJ堂前氏)
前回のIIJmio meetingから本日までのトピックを紹介する「IIJmio Updates」。
新たな取り組みとして、大容量オプションの提供開始、通話定額オプションの通話が1回あたり5分以内→10分以内へと拡大されたこと、販売中端末が大幅に拡大したことが紹介された。
■通話定額オプションの改訂
■販売中端末の一覧
また、「あまり良くない話」として、MVNO契約に関連するトラブルが多発していることが国民生活センターより発表され、IIJも注意喚起する案内を掲出していることや、Web・チラシの見直しを進めていることが明らかに。
■MVNO契約に関連するトラブルが多発:国民生活センターが注意喚起
このほか、直近で相次いでいる近隣国からのミサイル発射関連では、SIMフリースマートフォンの多くはJアラートを受信しても警告音が鳴らないため、Jアラート対応アプリを利用するように案内が行われた。
■多くのSIMフリー端末は「Jアラート」で警告音が動作しない
みおふぉん教室 「格安スマホ」の修理や保証 (IIJ堂前氏)
「みおふぉん教室」では、「格安スマホ」の修理や保証対応に関する紹介がIIJ堂前氏より行われた。
その中で、国民生活センターが発表したMVNO契約関連でのトラブルとして、「修理期間中の代替機の貸出サービスがなく、スマートフォンが1カ月間利用できない」とする事例に対して、MVNOが提供する保証サービス、メーカーによる修理・交換対応、MNOの補償サービスが紹介された。
■docomo販売端末の修理対応
ドコモが販売する機種については「ケータイ補償お届けサービス」を紹介。
■富士通/SHARP/ASUS/HUAWEIの修理対応
■富士通/HUAWEIの修理対応
ドコモとIIJmioの修理対応での違いとして、ドコモ(およびMNO)では基本的に修理・交換対応の窓口として各キャリアショップが存在しているのに対して、IIJmioではMVNO自身で修理・交換対応の窓口を受付しておらず、ユーザーが各メーカーに問合せ・対応をしてもらう必要があることが紹介された。
※なお、急激にショップを増やしているMVNOでも、端末の修理・交換対応などなどに関してはショップで対応していないMVNOが多い。
■docomoとIIJmioの修理対応の違い
ドコモが提供する「ケータイ補償 お届けサービス」に対して、IIJmioが提供する「端末補償オプション」でカバーしきれない部分として、ドコモの「ケータイ補償 お届けサービス」では、端末が盗難・紛失にあった場合でも補償対象になることが紹介された。
■ドコモ「ケータイ補償 お届けサービス」とIIJmio「端末補償オプション」の違い
このセッションで一番盛り上がった(と思われる)のは、登壇したIIJの堂前氏自身が端末補償オプションを申込していないことを暴露したこと。
その理由は、「壊れちゃったら仕方がないなー。」と言いながら、堂々と新しい端末が買えるため。と紹介され、会場の笑いと共感を得ていた。
補足として、キャリア販売の端末に関しては「月々サポート」(ドコモ)など、端末購入を条件に適用される基本的な割引内容に「24カ月間同一機種を使い続けること」が条件とされており、端末購入から24カ月の間に機種変更を行うと、適用されていない(将来適用予定)分の月々サポートによる割引を捨てることになるものの、IIJmioなどのMVNOサービスではそういった「今後の割引」を考えることなく、機種を購入することができるため。という(真面目な?)理由も紹介された。
■ドコモ端末は途中で機種変更すると損
参考までに、MVNOユーザとMNOユーザで端末補償サービスへの加入アンケートをTwitterにて行ってみたところ、MNOの補償サービスに対してMVNOの補償サービス加入率が低い結果となった。
※とは言え、一般的にはMNOの補償サービスの加入割合はアンケート結果よりもずっと高いように思えるけれど…。
MNOの補償サービス、使ってる?
— Jun Shimada (@shimajiro) 2017年7月15日
MVNOの保証オプション、使ってる?
— Jun Shimada (@shimajiro) 2017年7月15日
スマホがつながる仕組み (IIJ 佐々木氏)
続いて、IIJ佐々木氏から「スマートフォンがつながる仕組み」と題して、「スマートフォンの電源が投入されてからネットワークに接続するまで」の仕組みが紹介された。
内容的にはサービス寄りというよりも技術寄りの内容で、会場で説明を聞いているだけでは全てを理解することが難しかったので、公開されているスライド資料を見ながら復習の予定。
■スマートフォンの電源が入ると…
■接続するeNodeBが決定後の動作
■ローミングの場合
■まとめ/これから
「通信速度」に影響を与える要素とは
3つめのセッションは、「通信速度」に影響を与える要素とはと題して、MVNOの通信速度が低下する理由とその対策、混雑発生時のトラフィック制御に関するIIJの考え方が紹介された。
■「通信速度」がテーマ
通信速度を「感じる」のは主に遅さで、ある程度以上の「速さ」に関しては体感し辛い。
■通信速度を「感じる」のは主に遅さ
通信速度を測定するよくある手法として、スピードテストアプリを使った計測が紹介された。ただし、スピードテストアプリでの計測は万能とは言えないことも説明された。
■スピードテストで測る通信速度の意味
MVNOの通信速度が低下する理由として、POI(MNOから購入する帯域)が不足すると、通信速度が低下しやすくなる。
帯域不足に陥る原因として、POIの増強はオンタインムに行えず、増強にはある程度の時間を要するため、将来のユーザ数・トラフィックの増加を見越して増強を行う必要があるが、想定していた以上にユーザ数・トラフィックが増加すると速度低下が発生するなどのケースが紹介された。
さらに、根本的な原因としてコストに占めるMNO接続帯域費用の割合が非常に大きいため、POIを過度に増強し続けるのは難しく、品質とコストのバランスを保つことがMVNO事業のキモ。と紹介された。
■速度の変化はなぜ起きるか?
■トラフィック制御に関するIIJの考え方
トラフィック制御に関する考え方にからみ、スピードテストの結果だけを良くする制御については「言語道断」とした。
■スピードテストだけ良くなるのは「言語同断」
「スピードテストの結果だけ良くする制御」については、他社MVNOがそのような制御を行っていると考えるユーザは多く、過去のIIJmio meetingでも関連する質疑応答があった。
上記のエントリにて紹介しているように、スピードテストブーストを行っていると指摘されることの多いフリーテルは、そのような制御を行うことは絶対に無い。と代表がコメントしている。
しかしながら、フリーテルがアピールしていた「業界最速」とする通信速度に関しては、根拠の無い優良誤認であるとして、消費者庁から修正に関する措置命令が発令された。
なお、「スピードテストブースト」については、IIJ堂前氏がITmediaに寄稿した記事があるのでご紹介まで。
「スピードテストブースト」は可能なのか? (1/3) – ITmedia Mobile
IIJは、自社はスピードテストアプリの速度だけを優遇するような制御を行っていないとしながら、自社サービスにおける通信品質に関しては「必ずしも満足できる水準ではないことは重々承知している」ことを最後に紹介した。
■まとめ
お土産:インターネット便利帳つきのメモ帳など
イベントのお土産として、巻末に「インターネット便利帳」が添えられたIIJのオリジナルメモ帳がプレゼントされた。
「インターネット便利帳」は、主張都市間の距離と遅延、パケットヘッダ構造(L3 以上のプロトコル)、周波数の割り当て図、各社の使用周波数帯などが一覧で掲載されており、何かと役立ちそう。
■「インターネット便利帳」つき
IIJmio meetingは、自らMVNOサービスを行うIIJが主催しているイベントながら、決して「自社サービスの紹介」に留まらず、MVNOや通信サービス全般に関わる内容が紹介されるため、IIJmioサービスの利用有無に関わらず楽しめるイベントと思う。
計3つ用意されるセッションの内容も、初級者・中級者・上級者向けにレベル分けされているので、幅広い層の参加者にとって満足できる内容になるように考慮されている。
IIJmioのサービス紹介・申込は以下にて。