UQコミュニケーションズおよびKDDIは、通信速度が下り最大1Gbpsを超える、据置型のホームルーター「Speed Wi-Fi HOME L02」および、モバイルWi-Fiルーター「Speed Wi-Fi NEXT W06」を2019年1月25日(金)に発売。
両機種共にスペック上の下り通信速度は1,237Mbpsで、据置型・モバイル型共に下り通信速度が1Gbpsを超えるルーターは両機種が初めて。ただし、「通信速度制限ナシ」で使える通信速度については従来機種と同等になっている。
「月間容量制限ナシ」で使える速度は下り最大558Mbps
UQコミュニケーションズのWiMAX 2+サービスは、「月間容量制限ナシ」で使えるのが大きなウリ。
しかしながら、WiMAX 2+サービスにおける月間容量制限ナシは「ハイスピードモード」設定時のみで、同モードに設定した際の通信速度は、L02とW06で共通して下り最大558Mbpsにとどまる。
■「ハイスピードモード」設定時は下り最大558Mbps(W06)
ハイスピードモード設定時の「下り最大558Mbps」は、WiMAX 2+で4×4 MIMO、キャリアアグリゲーション(2波)、256QAMの3つの技術の組み合わせで実現されている。実は、HUAWEIのモバイルWi-Fiルーターでは、2017年2月に発売された「Speed Wi-Fi NEXT W04」から、WiMAX 2+で下り最大558Mbpsに対応している。
■WiMAX 2+の下り最大558Mbps対応
UQコミュニケーションズが発売した、下り最大440Mbps以上に対応するWi-Fiルーターは以下。
下り最大440Mbps以上に対応するルーター
カテゴリ | 機種名 | 発売日 |
下り最大 (HSモード) |
下り最大 (HS+Aモード) |
---|---|---|---|---|
モバイル | WX03 | 2016年12月 | 440Mbps | 非対応 |
モバイル | W04 | 2017年2月 | 558Mbps | 758Mbps |
据置/HOME | L01 | 2017年2月 | 440Mbps | 440Mbps |
モバイル | WX04 | 2017年11月 | 440Mbps | 440Mbps |
モバイル | W05 | 2018年1月 | 558Mbps | 758Mbps |
モバイル | WX05 | 2018年11月 | 440Mbps | 440Mbps |
据置/HOME | HOME 01 | 2018年12月 | 440Mbps | 440Mbps |
モバイル | W06 | 2019年1月 | 558Mbps | 1,237Mbps |
据置/HOME | L02 | 2019年1月 | 558Mbps | 1,237Mbps |
UQコミュニケーションズは、2017年2月に発売した「Speed Wi-Fi NEXT W04」(W04)で、ハイスピードモード設定時のデータ通信速度が下り最大558Mbpsに対応していたため、ハイスピードモード設定時のデータ通信速度に関しては、新モデルでも高速化はみられない。
ただし、やや細かい話をすると、ホームルーター(据置タイプ)のカテゴリでは、これまでハイスピードモード設定時のデータ通信速度が下り最大440Mbpsまでにとどまっていたため、440Mbps→558Mbpsへと高速化されている。
下り1Gbpsを超える通信は「月間7GB」まで。以降は厳しい速度制限
WiMAX 2+サービスでは、ハイスピードプラスエリアモード設定中のデータ通信量が月間7GBを超えると、当月末まで通信速度が最大128kbpsに制限される。
この速度制限は、ハイスピードモード設定時に「直近3日間で10GB」を超えた場合に適用される速度制限よりも厳しい内容になっている。
さらに、ユーザー側で追加料金を支払いして速度制限を回避するなどの回避策はとれず、翌月になって速度制限が回避されるのを待つ。以外の解決方法が無いので、せっかく新機種でハイスピードプラスエリアモード設定時の通信速度が下り最大1,237Mbpsに高速化されても、通信速度の高速化と容量制限(のリスク)がトレードオフになっているのが悩ましいところ。
■WiMAX 2+の通信速度制限
発動条件 | 直近3日間のデータ通信量が10GB以上 | HS+Aモードで月間のデータ通信量が7GB以上 |
---|---|---|
制限時間 | 18時〜翌2時まで | 24時間(終日) |
制限速度 | 最大1Mbps | 最大128kbps |
制限解除 | 直近3日間の通信量が10GBを下回るまたは、2時〜18時までの間は速度制限対象外 | 月が変わる |
スペック上は1,237Mbps、エリアマップ上は75Mbps
冒頭で紹介したように、W06/L02の通信速度は下り最大1,237Mbpsに高速化されるものの、UQコミュニケーションズのエリアマップで表示される通信速度は、ハイスピードモード(WiMAX 2+)が下り最大440Mbps、ハイスピードプラスエリアモードで使える4G LTEに関しては下り最大75Mbps/上り最大25Mbpsのみが表示されており、より高速なデータ通信については利用できるエリアが不明確。
■エリアマップ上のLTEエリアは「下り最大75Mbps/上り最大25Mbps」のみ表示
auのWebサイトに記載されている下り最大1,237Mbpsのエリアに関する情報は「東京都、埼玉県の一部エリア」とされており、詳細な情報は公開されていない。
■下り最大1,237Mbpsの対応機種&エリア(au)
掲載元:キャリアアグリゲーションで超高速通信 | 4G LTE/WiMAX 2+ | au
「ハイスピードプラスエリアモードは月間7GB」が緩和なるか?
ハイスピードプラスエリアモード設定中のデータ通信量が月間7GBを超えると通信速度制限が適用されるサービス仕様は、2013年の10月にWiMAX 2+のサービスが提供開始されて以来、制限の内容(しきい値・制限内容)が変わることなく継続している。
WiMAX 2+サービスが提供開始された当時に発売された「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD14」では、ハイスピードモード設定時の通信速度が下り最大110Mbps、ハイスピードプラスエリアモード設定時が75Mbpsとなっていたため、
・ハイスピードモード
月間の容量制限なしで高速。ただしエリアは狭め
・ハイスピードプラスエリアモード
4G LTEの広いエリアで通信可能。ただし月間7GBで速度制限
という整理になっていたものの、最新機種ではハイスピードプラスエリアモードが通信速度の高速化にも重要になっている。
ハイスピードプラスエリアモードだけで比較すれば、初期モデルのHWD14の通信速度が下り最大75Mbpsで、最新機種のW06/L02の通信速度が1,237Mbpsのため、通信速度は約16倍に高速化されている。しかしながら、同モードで設定中の通信量に応じて適用される通信速度制限は過去一度も緩和されていない。
一方で、ハイスピードプラスエリアモードに設定すると発生する追加のオプション料金(LTEオプション)に関しては、2017年6月から提供されている3年契約のプランを契約することで、月額1,005円のオプション料金が無料化されている。
■契約期間を3年間にするとLTEオプションが無料に(2017年6月から)
UQコミュニケーションズでは、契約期間が2年間のプランも継続して提供・新規契約を受け付けしているものの、UQ WiMAXとUQ mobileのサービスの両方を契約しているとセット割が適用される「ギガMAX月割」(2019年3月1日開始予定)の対象となるプランは、ルーター側で3年または4年の契約が必要となるなど、契約期間が3年以上のプランを優遇する方針。
■UQコミュニケーションズ「ギガMAX月割」を3月開始
掲載元:ギガMAX月割|【公式】UQ mobile|UQコミュニケーションズ
ハイスピードプラスエリアモードに話を戻すと、WiMAX 2+のみを使うのに比べて、通信できるエリアが広がり、通信速度も(一部エリアで)1Gbpsを超える超高速な回線となるだけに「高速通信は月間7GBまで」がアキレス腱となっているように感じる。
ハイスピードプラスエリアモードで高速通信が使える容量を7GB/月から緩和するか、あるいはWiMAX 2+のみを使う「ハイスピードモード」設定時のいっそうの高速化を願いたいところ。