4月22日(水)にドコモおよびKDDIより発表されたSIMロック解除対応が「端末購入から180日以内はSIMロック解除に応じない」という内容となり、ドコモでは従来可能であった「端末購入後すぐにSIMロックを解除して好きな通信事業者のSIMカードで使う」という使い方ができなくなってしまった。
この対応の元となっているのは、ガイドラインにある「事業者が最低限必要な期間はSIMロック解除に応じないことなど必要最低限の措置を講じることを妨げるものではない。」という内容で、この内容についてはSIMロック解除ガイドラインの改正にあたって「抜け穴」となる可能性がパブリックコメントでも多数指摘されていた。
「SIMロック解除ガイドライン」改正案に対する意見及び総務省の考え方は以下
「SIM ロック解除ガイドライン」改正案に対する意見及び総務省の考え方 (PDF)
「SIMロック解除に応じない期間」に関する総務省の考え方は、解除猶予期間に関する具体的な期間は明記されておらず「基本的には最長でも数ヶ月とすることが適当と考える」という記載のみがされており、SIMロック解除を行う時点で端末代金を一括支払済みかどうかについてはコメントがなかった。
■SIMロック解除猶予期間に関するコメント(個人)
事業者は原則として、利用者の求めに応じて迅速に SIMロック解除に応じることが適当と考える。ただし、端末の割賦代金等を支払わない行為又は端末の入手のみを目的とした役務契約その他の不適切な行為を防止するため、最低限必要な期間 SIM ロック解除に応じないことは否定されるものではない。期間をどの程度に設定するかは、当該期間を設定しないことも含め、事業者が説明可能な範囲で必要最低限の期間を設定 することが適当であるが、本改正案の基本的な考え方やこれが必要最低限の措置であることに鑑みれば、基本的には最長でも数か月とすることが適当と考える。
今回、ドコモおよびKDDIが発表したSIMロック解除非対応期間(端末購入から180日間)は、事業者側としては総務省の「基本的には最長でも数ヶ月」の範囲内であると考えて設定されたものと推測できるものの、総務省として想定していた範囲(許容範囲)であるのかは不明。
ただし、そもそもSIMロック解除ガイドラインの趣旨は利用者の求めに応じて迅速、容易かつ利用者の負担なく解除に応じることが適当とされており、今回設定された「端末購入から180日間はSIMロック解除に非対応」という制限が「利用者の求めに応じて迅速」な対応と言えるのかは疑問。
ガイドライン改正によるSIMロック解除義務付けの前から、多くの機種でSIMロック解除に対応しているドコモは、今回のガイドライン改正に伴う対応で「端末代の一括/分割支払に関わらず、端末購入から180日以内はSIMロック解除に応じない」となり、最新の機種を購入してSIMロックを解除して海外で使う。という使い方ができなくなった。
総務省の考え方である、
端末の割賦代金等を支払わない行為又は端末の入手のみを目的とした役務契約その他の不適切な行為を防止するため、最低限必要な期間 SIM ロック解除に応じないことは否定されるものではない。
という一文は、利用者視点で解釈すれば、端末代を支払済みの場合については即時SIMロック解除を可能とすべきであるように思えるので、個人的にはドコモおよびKDDIの「端末購入から180日以内はSIMロック解除に非対応」とした対応が残念なところ。
総務省が主体となった「SIMロック解除」に関する一連の動きは、「高止まりしている」(とされている)携帯電話料金を競争促進によって安くすることが一つの目的となっているけれど、MNOによるSIMロック解除の動きに関係無く、低価格なプランで攻勢をかけるMVNO各社がSIMフリー端末を調達・販売を開始するなどの盛り上がりもあり、SIMロック解除を義務付けたところで、競争促進に大きな効果があるとは思えない。