総務省は、2016年11月18日(金)に「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針(案)」および「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン 」の改正案を発表、両案に対する意見募集を行っている。
このうち、電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドラインでは、携帯電話販売店に対して、利用者の利用実態等に応じて適切な料金プランを選択できるように説明を行うことが求められている。
電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドラインは以下にて。
電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン(PDF)
■利用者の利用実態等に応じた適切な対応
「利用者の利用実態等に応じた適切な対応」は一見すると納得感があるものの、例えば従来は月間データ通信量が7GBまでのプランで使っていた利用者が、大容量プラン(20GB以上)を契約して、外出中でも動画などなどの容量の大きなコンテンツを楽しみたい。という場合に「従来はデータ通信量が7GB/月以下だったので不要」とお知らせするのが必ずしも正しいようには思えない。
同様に、これまでは音声通話を利用していなかったけれど、音声通話定額プランへの加入を機に、音声通話をガンガン使うようになる。など、プランに合わせて使い方が変わることも容易に想像でき、それらの使い方の変化を踏まえた上で「利用実態に応じた適切な対応」を行うのは、実は非常に難しいように思う。
個人的には、利用実態に応じた適切な対応よりも、通信事業者側が売りたいプランと売りたくないプランで本体代や月額料金割引に大きな差をつけて販売することで、実際には選択肢が「あってないようなもの」となっている方が改善を望みたいところ。(例えば、ドコモではシェアパック5(小容量)で契約すると月々サポートが減額されるなど。)
その他、高齢者に対する説明の望ましい例としては、専用資料を仕様することや親族等の同席、また複数の販売員によって対応するなど、手厚い対応を行うことが望ましいとされる一方で、不適切な対応例として、通話のみを利用していた高齢者がスマートフォンを契約するために来訪した場合に、オプションとして(不要と思われる)モバイルWi-Fiルータやタブレットの契約をすすめ、それらの契約について通常通りの説明のみを実施して契約を締結することは不適切とされている。
■高齢者に対する説明:望ましい例/不適切な例
こちらもある程度納得感はあるものの、「これまでは音声通話しか使っていなかったけれど、スマートフォンまたはタブレットを使ってみたい」というニーズのある高齢者に対して、スマートフォンよりも画面の大きなタブレットをオススメするケースは実際にはあり得るだけで、「音声通話しか使っていなかった高齢者にタブレットは不要」とガイドラインが一方的に決めつけるのは、やや乱暴な印象を受ける。
ガイドラインが上記の様な例を明示しているのは、実際にそのような販売が行われており、契約締結後にトラブルに発展した事例が少なくないため。という問題点は理解しつつも、ガイドラインによって禁止または不適切な例とされることで、高齢者向けの端末販売だけでなく関連サービスも盛り上がらなくなり、市場全体が縮小した結果として、高齢者向けの端末・サービスの選択肢がほとんど無くなってしまう。というような可能性もありそう