『本来あり得ない理由』によって、モバイルWi-Fiルータ『b-mobile4G WiFi3』を発売日当日になって出荷停止した『日本通信』の代表取締役副社長である福田尚久氏が、b-mobile4G WiFi3のSIMロックについて『携帯電話事業者がメーカーに圧力をかけた』とツイートしている。
福田尚久氏のツイートは以下。
お騒がせしてしまいましたが、誰でも考えるような単純なミスで「本来あり得ない理由」とは言いません。然るべきタイミングで、携帯事業者が如何に裏で手を回してメーカーに圧力をかけているのかを明らかにしていきます。
— 福田尚久 (@naohisafukuda) June 15, 2013
『然るべきタイミングで、携帯事業者が如何に裏で手を回してメーカーに圧力をかけているのかを明らかにしていきます。』とツイートしており、今後明らかにされる真実が気になるところ。
b-mobile4G WiFi3のメーカーである『AMテレコム』は、国内の大手MNO向けの製品は製造していることが確認できておらず、また、MVNOの提供するモバイルWi-Fiルータについて、SIMロックをかけるように圧力をかけてメリットのある事業者が特に思い浮かばない。
b-mobile4G WiFi3のメーカーである『AMテレコム』の大手MNO向けの製品について追記。
LG製としてドコモから販売されている一部の端末などが、『AMテレコム』のOEM/ODM製品として製造されていることがWebサイト上で確認できた。
※コメント欄にて情報をいただき、ありがとうございました。
AMテレコムのWebサイトは以下より。
エーエムジャパン株式会社
なお、日本通信の公式Twitterアカウントでは、第三者から圧力については『圧力などは全く無いと思っています』とツイートしており、先に紹介したツイート内容と整合しない。
※本当に『圧力』があったとすれば、単純にTwitterアカウントの運用担当者が知らないだけ。という可能性も考えられるけれど。
@moknir ありがとうございます。圧力などは全くないと思っています。弊社がSIMフリーで発注しているのに、出来上がったものがSIMロックだったという事です、 現在、すぐに販売できるようどれくらいの作業が必要か調整しています。一刻でも早く販売できるよう整えて参ります。
— 日本通信b-mobile公式 (@bmobile_jci) June 15, 2013
なお、製品の検証については以下のようにツイートしている。
新製品を投入するのに、十分な検証試験を行っていないわけがないでしょ。製品を世の中に送り出すことについては、素人ではないのですけど。
— 福田尚久 (@naohisafukuda) June 15, 2013
しかし、日本通信の公式Twitterアカウントは製品発表時の段階で『auのLTEについてはSIMが手元に無いので不明』とツイートしており、少なくとも日本通信の公式Twitterアカウントから発信された情報として『ドコモ以外のSIMカードで動作した』という動作報告は行われていない。
@shimajiro LTE(2GHz、1.5GHz、800MHz帯)でドコモのSIMにて動作検証をしております。auさんのLTEはSIMがなかったので、動作するかどうか不明です、 イーモバイルさんのLTEは周波数が合わないため利用できません。
— 日本通信b-mobile公式 (@bmobile_jci) June 10, 2013
日本通信の公式Twitterアカウントの担当者が知らなかっただけで、実際には他社SIMでの動作などを十分検証していた。ということであれば、その段階でSIMロックフリーではないことが検知できたのでは。と思う。
『なぜSIMロックがかかってしまったのか?』という理由について、週刊アスキーの取材によると、『メーカーが携帯電話事業者の意向に則った』とされており、先述の『圧力があった』旨とはある程度一致するように思える。
“本来ありえない理由”の本当の理由は? 日本通信WiFiルーター出荷停止続報
──なぜSIMロックがかかってしまったのか?
日本通信 相手があることですので、詳細は控えさせていただきますが、いわゆる携帯電話事業者の意向のもとSIMロックをかける流れに当社のメーカーも、則ってしまったことによるものです。
但し、b-mobile4G WiFi3の前モデルであるb-mobile4G WiFi2についても同じくAMテレコムが製造している端末であり、b-mobile4G WiFi3にのみSIMロックをかけるように『携帯電話事業者から圧力があった』とするのは少々不自然に思う。
それにしても、発売日に出荷を停止したことによって、発売を楽しみにしていたユーザや既に購入済みのユーザに対する謝罪などなどが無く『携帯電話事業者が圧力をかけた』とするのは、本来は順番が異なるのでは。と残念に思う。
なお、b-mobile4G WiFi3は当初、公式FAQに『ドコモのSIM以外では動作しない』と、出荷停止前の仕様(製品としての挙動)が正しく記載されており、その後すぐに『SIMロックフリー』であると修正されるなどの動きもあった。
日本通信のb-mobile4G WiFi3はSIMフリー端末ではない?公式Q&Aに『NTTドコモ以外のSIMカード利用不可』 | shimajiro@mobiler
日本通信は過去、SIMフリー端末としてHuawei製のスマートフォン『IDEOS』を発売した際に、同型の端末(Pocket WiFi S S31HW)を販売するイー・モバイル(現、イー・アクセス)がメーカーであるHuaweiに違法な手段を使って(日本通信の)IDEOSの販売を止めようとしている。
とツイートしていたが、その後の展開として日本通信がイー・アクセスを訴訟するなどには至っておらず、真相は謎となっている。
日本通信の代表取締役である三田氏のツイートは以下(2011年1月)
eMobileの社長ガンさんはHauweiジャパンを驚かしてideosスマートホンの販売をとめようとしている。どうして違法のてまでうたなければいけないのかな、影響ないのに。。。
— Frank Seiji Sanda (@FSSanda) January 17, 2011
今回のb-mobile4G WiFi3のSIMロック問題が、福田氏の言うように『携帯電話事業者の圧力』によるものであれば、広く問題が公知になることで、健全な競争ができる市場環境が整うことを祈るばかり。