ソフトバンクは2014年度第1四半期の決算説明会を開催。同社社長の孫氏は、決算説明会の質疑応答でSIMロック解除への対応について、従来の『需要が無い』という主張そのものには変更が無いながら、制度自体については『賛成する』という趣旨のコメントを行った。
ソフトバンクの2014年度第1四半期の決算説明会についてはケータイWatchの記事にて。
孫氏、SIMロック解除義務化は容認、純増数は「形骸化」 – ケータイ Watch
SIMロック解除に関する内容は以下。
孫氏
「SIMロック解除も、かねてより、機能的にも提供すべき内容としてもあってしかるべきだと思う。ただ極端な形というのも理にかなわない形になることが出てきかねないため、よく詰めながらやっていくべき」ちなみにSIMロック解除については、これまで「需要がない」として否定的で、今回も同様に需要自体に疑問を呈しながら、制度自体に反対するものではない、と語る。
孫氏
「今も以前もSIMロックが解除された、高い端末をあえて欲しいがそんなにたくさんいるとは思えない、という考えは変わっていない。現にアップルからSIMロックが解除されたiPhoneが販売されているが、ほとんど売れていない。わざわざ6万~8万も出して(SIMロックフリーの)iPhoneを買いたいというユーザーは日本にはほとんどいないという実績が出ている。なぜならば我々は事実上、2年契約とともに無料でiPhoneを提供している。iPhoneに限らずAndroidでもおそらく同じ。ただしSIMロック解除という制度自体については別に反対するものではありません」
ソフトバンクモバイルのSIMロック解除対応については、Android端末で4機種SIMロック解除に対応しているものの、ドコモの『原則全機種対応(※Apple端末を除く)』という姿勢とは異なり、率直に言えばあまり売れ筋にはなりにくい機種のみ、SIMロック解除に対応しているとも言える。
ソフトバンクモバイルのSIMロック解除対応機種については以下にて。
SIMロック解除機能を搭載した携帯電話機(2014年2月現在)
301F、201HW、009Z、008Z
孫氏は、これらのSIMロック解除対応機種を発売したものの、これらの機種の売れ行きが芳しくなかったためか、あるいはSIMロック解除の件数が少なかったためか『SIMロック解除には需要が無い』として、SIMロックの解除については基本的に否定的な対応を行ってきた。
そんな中で、SIMロック解除対応について『かねてより提供すべき内容としてあって然るべき』という発言は、過去の主張と大きく異なるものとなっているのが興味深い。
SIMロック解除対応については、通信事業者の意向に関わらず、総務省の方針によってSIMロック解除に対応することが義務付けられることが決定したため、対応の是非についての議論や主張は意味が無い。と判断したために、これまでの趣旨と異なる発言をしたのかもしれない。
ただし『SIMロック解除に大きな需要が無い』という趣旨については、ドコモのSIMロック解除対応件数が、提供開始から3年間でおよそ20万件ぐらいと、同期間のドコモの端末販売台数に占めるロック解除件数の割合が0.3%程度に留まっていることから、SIMロックの解除そのものが多くのユーザにとって望まれている状況では無いとも言える。
関連エントリ:ドコモのSIMロック解除実績は3年間で累計約20万件 | shimajiro@mobiler
一連のコメントの中で『2年契約と共にiPhoneを無料で提供している』というコメントがあり、改めてソフトバンクモバイルの販売するiPhone 5s(SIMロック版)と、Appleの販売するiPhone 5s(SIMフリー版)の価格を確認してみると、端末価格そのものはソフトバンクモバイル版の方が若干高い価格設定になっていた。
iPhone 5sの価格比較
容量 | SoftBank Mobile |
Apple (SIMフリー版) |
---|---|---|
16GB | 70,080円 | 67,800円 |
32GB | 80,400円 | 77,800円 |
64GB | 90,720円 | 87,800円 |
※価格はソフトバンクオンラインショップ、Apple Online Storeでの価格。
※ソフトバンクモバイル版は『月月割』による通信料の割引を考慮しない。
各キャリアの販売するiPhone 5s(SIMロック版)と、Appleの販売するSIMフリー版のiPhone 5sで本体価格が大きく変わらない。というのはソフトバンクモバイルに限らず、iPhoneを扱っている3キャリア共通ではあるけれど、通信料割引である『月月割』による割引によって、端末代が『無料』になるというのは真実では無い。(端末代はあくまでも端末代として、全額を支払う必要があるので)
通信料からの値引きを含めると『iPhoneが無料』という主張は理解しつつも、端末代はあくまでも端末代として全額を払う必要があるので、利用者としてはこの点は正しく理解しておくべきかなと思うところ。
そんなわけで『かねてから機能的に提供すべきであった』とされるSIMロックの解除対応が、今後どういった形で行われるのか、ソフトバンクモバイルや各社の動向を注目していきたいなと。