WiMAX 2+の通信速度制限開始 → 制限緩和で思うこと

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UQコミュニケーションズがWiMAX 2+向けに開始した通信速度制限と、制限開始後のユーザ反応を受けて通信速度制限の緩和などなどで思うこと。

WiMAX 2+発表から通信速度制限の実施までの経緯

速度制限に関する経緯を整理すると、UQコミュニケーションズでは2013年10月末のWiMAX 2+のサービス発表時点から、2015年4月1日以降はWiMAX 2+で「直近3日間の通信量が1GB」を超えた場合に通信速度制限を行うことを発表。この時点では速度制限内容の詳細については未発表ではあったが、サービス発表段階でWiMAX 2+は従来のWiMAXサービスと異なり「完全に速度制限ナシ」のサービスにならないことが明らかにされていた。

UQはその後、2015年1月に新料金プラン「ギガ放題」を発表。従来の「UQ Flat ツープラス」などの料金プランでは「契約から二年間限定」で月間のデータ通信量に制限がない(直近3日間の通信量に基づく制限はあり)プランとなっていたが、新しく発表された「ギガ放題」では、期間の制限無く「月間のデータ通信量無制限」という点が特長。新料金プラン「ギガ放題」の発表と合わせて、通信速度制限が「3日間で1GB」ではなく「3日間で3GB」を超えた場合に制限対象となることが発表され、通信速度制限の閾値は当初発表されていた直近3日間で1GB → 3GBへと比べて緩和された。

合わせて、速度制限時の通信速度がどの程度になるのか?の参考として「YouTubeの標準画質の閲覧に問題無い程度」に制限するとし、直近3日間の通信量が1GB(目安)を超えた場合に厳しい制限を行っている他社サービスと比較すれば「制限時でもある程度は使いものになる」通信速度に制限することがアピールされていた。

UQコミュニケーションズは「直近3日間の通信量」に基づく通信速度制限を2015年4月1日より開始するとしていたものの、実際に通信速度制限が開始されたのは2015年5月末頃。速度制限時の通信速度はおよそ1Mbpsが上限となっていた。(※UQコミュニケーションズは具体的な通信速度を非公開)
関連エントリ:WiMAX 2+の「直近3日間で3GB」の速度制限が予想よりも厳しかった | shimajiro@mobiler

速度制限の実施 → 制限の緩和の流れ

速度制限の開始後、一部のユーザから速度制限に関するネガティブな反応が大きくなり、インターネット上では集団訴訟に向けた準備などが進められるなどの動きがあった。これに対して、UQコミュニケーションズでは「月間データ量制限なし」とするような広告表現を改めること、速度制限を完全に撤廃することは無いながらも、より利便性の高い制限方法に変更することを発表。利便性の高い制限に移行するまでの暫定措置として、制限時の通信速度を高速化した。

これによって、速度制限時の通信速度が最大で6Mbps程度に緩和された。実際に速度制限が緩和された後の状態で使ってみると、従来の制限(最大1Mbps程度)ではかなりストレスを感じることのあった用途で使っても、特別にストレスを感じることなくなり、個人的には、モバイル用で使う分にはほとんど問題の無い速度で使えるようになったと思う。

制限緩和とサービス品質への懸念

通信速度制限の緩和は、速度制限の対象となる使い方をするユーザにとっては朗報である反面「サービスの全体的な通信量を抑えて全体の通信品質をキープする」という視点では、制限の緩和によって全体の通信品質の悪化要素にもなる。

他社サービスの例では、ドコモのMVNOが提供するサービスで「月間データ通信量制限なし」なおかつ「通信速度制限なし」を謳うサービスがいくつか提供されているものの、これらのサービスが「ユーザの期待する通信品質」で提供されているとは思えない。

通信速度を上下最大で3Mbpsに制限している「ぷららモバイル」 の「定額無制限プラン」でさえ、通信速度が1Mbps程度以下になることも珍しくは無く「通信速度制限なし」かつ「通信容量制限なし」で通信品質を確保するのがいかに難しいかが理解できる。

UQコミュニケーションズに話を戻すと、UQが速度制限時の通信制限を高速化した後に「通信速度が著しく低下した」という反応はいまのところ見られていないものの、今後も同じ状況を維持できるかは不安な面もある。

WiMAX 2+を利用するユーザはUQコミュニケーションズ(およびそのMVNO)の契約者だけでなく、KDDIの発売するWiMAX 2+対応端末が増加することによって加速度的に増え続けており、基本的にはトラフィックも増え続けると考えて間違い無い。

近々発売が予定されている機種で大きく影響がありそうなのは、9月に発売されると見られる次期iPhoneで、新しいiPhoneの発売および、WiMAX 2+対応機種である現行のiPhone 6/6 Plusへの機種変更需要などで、WiMAX 2+を利用するユーザ数は増え続けることがほぼ確実と言える。実際に、WiMAX 2+の契約数は2014年9月末時点で500万であったが、iPhone 6/6 Plusの発売後爆発的に契約数を増やし、2015年4月末の時点では1,000万契約となり、7カ月間の間で契約数が倍増している。

データ通信サービスにおける「通信量無制限」が、飲食店などの「食べ放題」サービスと異なるのは、後者は物理的な制限によって「ものすごく食料を消費する顧客」と「一般的な顧客」の差が10倍になるとは考えにくい(恐らく5倍以内に収まることが大半)ものの、データ通信サービスにおける「通信量無制限」サービスでは、使い方次第で「一般的な利用者のデータ通信量」と「使用量が極端に大きい一部のユーザ」の通信量が100倍以上となることも容易に想像ができる。

実際に、過去に掲載されたぷららモバイルの「定額無制限プラン」では、サービス提供開始から1カ月未満でありながら、通信量が200GBを超えているユーザが存在することが明らかにされる(関連エントリ)など、通信量が極端に多い使い方をするユーザが、それ以外の利用者とかけ離れたデータ通信を利用している実例と言える。
※ぷららモバイルの「定額無制限プラン」では平均的なユーザの通信量は明かされていないので、「平均との乖離」は不明。

モバイルデータ通信における「容量無制限」サービスが利用者間での「不公平」が生まれやすい傾向にあるのに対して、従量制でありつつ一般に広く浸透しているサービスの例としては、電気・ガス・水道などがある。これらのサービスは普段生活している上では欠かせないサービスでありながら、一般的には「使い放題」とはなっておらず、基本的には従量制で料金の支払が行われており、モバイルデータ通信サービスで発生するような利用者間で大きな不公平は発生していない。

モバイルデータ通信サービスの多くは「料金が一律の定額」あるいは「二段階定額」というようなプランで提供されており、通信量の大小に関わらず支払する料金はほぼ一定のため、通信量が極端に多い一部のユーザが消費するリソース負担をそれ以外の多数のユーザが利用料として負担している。という状況が生まれやすい傾向にある。

利用者間での不公平を解決、およびデータ通信品質を確保するための方法として、電気・ガス・水道のように「単価が十分に安いと言える従量制」(1GB/100円とか)の料金プランが設定されても面白いのに。とは思うところ。

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