WiMAX 2+のサービス開始から二周年を振り返る

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2013年10月31日にWiMAX 2+がスタートしてから、2015年10月31日で二周年を迎えるので、これまでのWiMAX 2+を振り返ってみる。

■WiMAX 2+が提供開始されてからの主な出来事
[2013年]
10月31日:WiMAX 2+提供開始、対応機種は「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD14」

[2014年]
6月20日:「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ NAD11」発売
8月1日:「Wi-Fi WALKER WiMAX 2+ HWD15」発売

[2015年]
1月9日:USBスティック「URoad-Stick」発売
1月30日:CA対応で下り最大220Mbps対応「Speed Wi-Fi NEXT W01」発売
2月12日:WiMAX 2+の周波数帯拡張を開始 – 栃木県真岡市より
2月20日:新料金プラン「ギガ放題」を提供開始
3月5日:4*4対応で下り最大220Mbps対応「Speed Wi-Fi NEXT WX01」発売
3月13日:据置型Wi-Fiルータ「URoad-Home2+」発売
5月末:「直近3日間3GB」に基づく通信速度制限を開始
7月14日:通信速度制限の緩和などを発表
10月末:キャリアアグリゲーション対応エリアが全国エリア化(予定)

通信速度:下り最大110Mbps → 220Mbpsへ高速化

WiMAX 2+のサービス提供開始から二年間で発売された機種は合計で7機種。このうち、下り最大220Mbpsに対応する機種は4*4 MIMOに対応するWX01と、WiMAX 2+のキャリアアグリゲーションに対応するW01の二機種のみ。

WiMAX 2+のキャリアアグリゲーションは、初代WiMAXサービス向けの周波数帯30MHzのうち20MHzをWiMAX 2+で使うことで実現されるため、WiMAX 2+のキャリアアグリゲーション対応エリア内では、初代のWiMAXサービスが下り最大40Mbps → 13.3Mbpsへと低速化する。

WiMAX 2+対応機種では「WiMAX」に非対応となるW01などの機種も発売されており、UQコミュニケーションズもWiMAX契約者がWiMAX 2+サービスに移行する際に本体代や契約解除料負担なしで移行できる「史上最大のタダ替えキャンペーン」(後の「ギガヤバ移住計画」)を提供するなど、WiMAX 2+のキャリアアグリゲーション対応エリア拡大に合わせて、一気にWiMAX 2+への移行が進められている。

初代WiMAXサービス契約者向けの「ギガヤバ移住計画」については以下にて。
ギガヤバ移住計画!|超高速モバイルインターネットWiMAX2+​

一方で、WiMAX 2+ではWiMAXサービス向けに提供されていた各種オプションサービスが提供されておらず、WiMAXサービスと同様の使い方をすることが難しいユーザもいる。具体的には、初代のWiMAXサービスでは利用可能な機器を切り替える「機器追加オプション」や、1契約で同時接続できる機器が2台になる「ファミ得パック」などの各種オプションが提供されていたけれど、これらのオプションサービスはWiMAX 2+では提供されていない。

加えて、今後販売予定であるとされている「WiMAX 2+内蔵PC」についても、現時点で発売に関する正式なアナウンスが行われていないため、ノートパソコンの内蔵回線としてWiMAXを使っていた方も、同じ使い勝手で使えるWiMAX 2+対応のノートPCは今のところ存在しない。

通信速度の理論値は初代WiMAXの40Mbpsと比べて約5倍に高速化が行われたWiMAX 2+ではあるけれど、WiMAXのように多様なデバイスやオプションで使える状態にはなっていないのは、今後のサービス充実に期待したいところ。

WiMAX 2+では「機種変更」にあたるサービスが提供されていないため、初期のWiMAX 2+契約者が下り最大220Mbps対応機種に「機種変更」することはできない。ただし、非公式な方法ながらもiMAX 2+対応機種間はSIMカードを差し替えればサービスを利用することができるため、サービス開始当初に発売された下り最大110Mbps対応機種で契約した場合でも、下り最大220Mbps対応機種を端末単体(いわゆる白ロム)で入手し、SIMカードを入れ替えれば利用できる。
関連エントリ:WiMAX 2+、直近3日間3GBを超えてもWiMAXは規制対象外 – ノーリミットモード対応機種へSIM差し替えで制限回避ok | shimajiro@mobiler

今後のWiMAX 2+の通信速度高速化としては、2016年以降に下り最大440Mbps対応サービスが提供開始予定。現時点で正式にアナウンスはされてないものの、WiMAX 2+対応の新端末と思われる「NAD32」と言う型番の機種が認証情報から確認できており、下り最大440Mbps対応機種として発売される可能性がありそう。
関連エントリ:「NAD32」が技適通過 – 下り最大440Mbps対応のWiMAX 2+ルータか | shimajiro@mobiler

通信速度制限:速度制限開始 → その後緩和

WiMAX 2+は、サービス開始時点(2013年10月31日)の時点から、速度制限が行われるサービスであることが明らかにされていた。速度制限の内容は、月間の通信量が7GBを超えた場合の「総量規制」と、直近3日間の通信量が1GB(当時)を超えた場合に適用される二つの速度制限が発表された。

このうち、総量規制に関しては「課金開始月から26カ月目以降」にのみ適用されるため、契約開始からおよそ二年間の間は気にする必要が無かった。その後、UQコミュニケーションズは期間の縛りなく、月間の通信量に上限の無い「ギガ放題」プランを提供開始しているため、結果的に「月間の容量制限」による影響は「ギガ放題」プランを選ぶことで影響を受けることが無い。

WiMAX 2+の速度制限で影響が大きいのは、直近3日間の通信量に基づく通信速度制限で、WiMAX 2+サービス提供開始時には2015年4月1日より実施予定とアナウンスされ、実際には2015年5月末頃から制限が開始された。当時の通信速度制限は、実測値で最大1Mbps程度(具体的な制限速度は非公開)となっていた。
関連エントリ:WiMAX 2+の「直近3日間で3GB」の速度制限が予想よりも厳しかった | shimajiro@mobiler

UQコミュニケーションズでは、WiMAX 2+向けに行う通信速度制限について「YouTubeの標準画質は閲覧できる程度」であると説明しており、他社サービスで見られた「制限時の通信速度が128kbps」のように、極端に遅い状態にはならないことをアピールしていたものの、直近3日間の通信量に基づく速度制限の開始後、利用者からの反発は大きかったこともあり、制限開始から約1カ月半で速度制限の緩和が発表された。

通信速度制限の対象となる条件は「3日3GB」から変更が無いものの、制限時の通信速度は(具体的な速度は非公開)実測で6Mbps程度にまで高速化された。また、今後の速度制限を「より利便性の高い方法に変更」予定としており、制限時の通信速度高速化についてはこの準備が整うまでの暫定的な対応であると説明された。

UQコミュニケーションズからのお知らせ(2015年7月14日付)は以下より。
UQコミュニケーションズからみなさまへのお知らせ|UQ WiMAX|超高速モバイルインターネットWiMAX 2+

直近3日間の通信量が3GBを超えた際の通信速度制限は、制限緩和前(1Mbps程度)ではかなり厳しく感じたものの、制限緩和後(6Mbps程度)であればモバイル用で使う回線としては特にストレスを感じることが無いというのが個人的な感想。ただし、初代のWiMAXサービスでは可能だった「WiMAX回線を回線として使う」という使い方は、通信速度制限がある以上はWiMAX 2+では厳しいように思う。
※固定回線で使っても、速度制限の対象になることが無い。という使い方であれば問題は無いけれど…。

モバイルデータ通信サービスの通信速度制限に関しては、WiMAX 2+の制限内容を基準にするかのように、ソフトバンク(Y!mobile)のモバイルデータ通信サービスがキャッチアップを続けている。

Y!mobileは、通信方式をAXGPに固定する代わりに、月間のデータ通信量に制限の無い「アドバンスモード」を、モバイルWi-Fiルータ「305ZT」などの機種向けにより提供開始。WiMAX 2+サービスと同様に月間の通信容量に制限が無い代わりに、直近3日間の通信量に基づいた速度制限が適用される。

加えて、2015年10月29日には最新機種「502HW」向けのプランである「Pocket WiFiプラン2」契約者向けの速度制限内容を緩和。制限の閾値を3日間で1GB → 3GBへと緩和したほか、制限時の速度について「YouTubeなどのHD画質が閲覧できる程度」に緩和すると発表した。
※ただし、502HW向けプラン以外については制限緩和は行われない。

Y!mobileの502HW向けの速度制限緩和などについては以下エントリにて。
ワイモバイル、502HW向けの速度制限を「3日間3GB」に緩和 – 制限時でもHD動画が閲覧可能に | shimajiro@mobiler

「容量無制限サービス」の乱立とWiMAX 2+の意義

UQコミュニケーションズ(およびそのMVNO)の提供するWiMAX 2+対応サービスと、ワイモバルの提供するモバイルWi-Fiルータに続き、2014年後半からはドコモ系のMVNOから「容量無制限プラン」がいくつか登場している。

ドコモ系MVNOの容量無制限サービスでは、ぷららモバイルの「定額無制限プラン」のように通信速度が最大で3Mbps程度に制限されるサービスの他に、通信速度・通信速度共に制限が無い「完全無制限」とも言えるサービスが、いくつかのMVNOから提供されている。

一見すると「完全無制限」系のサービスの方が使い勝手が良いように思えるけれど、実際にサービスを使ってみると「深夜・早朝は高速だけどそれ以外の時間帯の通信速度は遅い」という状態のサービスが多く、多少乱暴に言えば「通信速度制限が無くても、時間帯によっては通信速度制限状態と同じ」と言えるような使い勝手で、個人的には両者のサービスに明確な優劣は無く、どちらも「価格なり」のサービスというのが率直な感想。

そう言ったサービスに比べると、WiMAX 2+はエリアの狭さや、新幹線や高速道路などを高速で移動中にはエリアによって通信が不安定になるなどの点では弱いけれど、速度制限時を除いて通信速度が極端に遅くなることは少なく、サービスエリア内で電波状態さえ良ければ安心して使えるモバイルインターネット回線で、外出先(移動中やホテルなどを問わず)で容量の大きなデータ通信を行う手段として手放すことが出来ない。

WiMAX 2+に対する要望としては、現行世代の機種(特にモバイルWi-Fiルータ)におけるサイズや連続通信時間、通信の安定性などの面が、WiMAX後期の対応機種と比べるとイマイチな部分があるので、今後はより使い勝手の良い端末が登場して欲しいところ。