『WiMAX 2+』のサービスが発表されたので、現在WiMAXサービスを使っているユーザを想定して、WiMAXからWiMAX 2+へ乗り換えるメリット/デメリットをまとめてみた。
WiMAX 2+へ乗り換えるメリット
- 通信速度が下り最大110Mbpsに高速化する
- auの4G LTEエリアでも通信が可能になる(オプション料金別途必要)
WiMAX 2+への乗り換えで最も大きなメリットは通信速度が高速化すること。
WiMAX 2+では、10月末のサービス開始時点で下り最大110Mbpsと、WiMAXの下り最大
40Mbpsと比べて理論値で2.75倍の通信速度でサービスが提供される。
単純に通信速度の理論値が速いだけでなく、特にサービス開始当初は利用者数が多くないこともあり、サービス開始からしばらくの間は、かなり快適な通信速度が得られることは間違いないと思われる。(これはWiMAX 2+に限った話ではないけれど…)
現行のWiMAXサービスは、KDDIから+WiMAX対応機種が発売された後、都内を中心にかなり通信速度が低下してしまっていたけれど、KDDIから発売される端末が+WiMAXから4G LTEに移行した後は通信速度は回復傾向にある。
それでも各社のLTEサービスと比べると、通信速度で不満を感じることが無いわけではないので『もっと高速な通信サービスを利用したい』という方は、WiMAX 2+への乗換をオススメ。
WiMAX 2+は『2014年中には下り最大220Mpbsへの高速化を目指す』としており、下り最大220Mbpsに対応したサービスが開始されると、より快適な通信速度が得られるようになる。
逆に言うと、『通信速度は現状のWiMAXで不満が無い』と感じている場合、WiMAX 2+を利用するメリットはあまり多くは無いし、WiMAX 2+の普及によって、現行のWiMAXのトラフィックが減少することで、WiMAXの通信速度が快適になる事も期待できる。
■WiMAX 2+の説明会で用いられたスライド
現状のWiMAXユーザのトラフィックがWiMAX 2+に流れることで、WiMAXがより快適に利用できることが期待できる。
WiMAX 2+は『ハイスピードプラスエリアモード』でauの4G LTEネットワーク(800MHz)を利用することが可能。
auの4G LTEネットワークの利用には『LTEオプション』(1,055円/月)の利用が必要となり、別途オプション料金が発生するものの、全国のエリアで下り最大75Mbps対応しているauの4G LTEは、エリアの広さ&通信速度の速さで満足度は高く、特に『WiMAXが圏外で使えない』というエリアで使う場合には心強いと思う。
但し、『ハイスピードプラスエリアモード』での通信量は7GB/月までに制限されており、7GB/月を超えると通信速度が制限対象となる点には注意が必要。少々複雑なのは、ハイスピードプラスエリアモードで通信量が7GB/月を超えて速度制限の対象となった場合、WiMAX 2+とWiMAXを利用する『ハイスピードモード』においても通信速度制限の対象となる点。
7GB/月の通信量は、
・自宅の固定回線として使う
・動画を長時間閲覧する
・PC用の回線として頻繁に使う
の何れかに相当しない限り、自分の場合は7GB/月を超えることが無いので、『モバイルのインターネット回線として使う』という用途においては『ハイスピードプラスエリアモード』は非常に利便性の高い通信モードと思う。
『ハイスピードプラスエリアモード』は別途の申込などが不要で、端末上で通信モードを切り替えるだけで利用が可能となるのも、『必要になった時だけ使う』という用途に適している。
続いて、WiMAXユーザがWiMAX 2+へ乗り換えるデメリットについて。
WiMAX 2+へ乗り換えるデメリット
- 契約期間が(基本)二年間と長期化/解除料は値上げ
- WiMAX 2+と4G LTE利用時は通信速度制限に注意する必要がある
- 機器追加オプション/ファミ得パックなどのオプションが使えなくなる
WiMAX 2+は、契約期間が基本的には二年間と設定されており、契約期間中の解除料もWiMAXと比較して値上げされている。
※契約期間縛りの無い料金体系もあるけれど、『一年契約』による割引きは無い。
■WiMAX 2+とWiMAXの契約期間および解除料に関するまとめ
比較項目 | WiMAX 2+ | WiMAX |
---|---|---|
月額料金 |
UQ Flat ツープラス(二年間契約) 3,880円/月 ※通信料は割引き適用後価格 |
UQ Flat年間パスポート 3,880円/月 |
契約期間 | 二年間 | 一年間 |
契約解除料 |
契約から1年間:19,950円 13 〜 24ヶ月目:14,700円 25ヶ月目以降:9,975円 ※契約更新タイミングでの解約は無料 |
契約から1年間:9,975円 契約から1年後:5,250円 ※契約更新タイミングでの解約は無料 |
契約期間が長いだけでなく、契約期間中の解除料も値上げされているので、契約期間中に解約する可能性のある場合、二年間契約を選ばない。というのも手。
二年間契約をしない場合の通信料は『UQ Flatツープラス(期間条件なし)』で5,455円/月となり、二年契約をした場合と比べると、通信料が1,575円/月割高になる計算になる。
■WiMAX 2+の契約期間縛りあり/なしの通信料比較
項目 | 二年契約有り | 二年契約無し |
---|---|---|
基本料金 |
UQ Flatツープラス(二年契約) 4,405円/月 |
UQ Flatツープラス 5,455円/月 |
料金割引 |
UQ Flatツープラス おトク割 ▲525円/月 |
なし |
割引後料金 | 3,880円/月 | 5,455円/月 |
もう一つ気になるのは、契約期間縛りの無い『UQ Flatツープラス』を選択した場合の端価格だけれど、これについては現時点で情報が公開されていなかったので不明。恐らく二年間契約をした場合の端末代(2,800円)よりも高くなることが予想される。
WiMAX 2+は3つの通信モードに対応しており、WiMAXのみを利用する『ノーリミットモード』以外は、通信速度制限の対象となる場合がある。
通信モードと通信速度制限に関するまとめ
モード | 通信ネットワーク | 速度・容量制限 |
---|---|---|
ノーリミットモード | WiMAX | なし |
ハイスピードモード |
WiMAX WiMAX 2+ |
契約から二年間は使い放題 ※2015年4月以降、直近3日間の通信量が1GBを超えた場合は速度制限の対象となる可能性あり。 ハイスピードプラスエリアモードでの通信料が7GB/月を超えると速度制限の対象となる。 |
ハイスピードプラスエリアモード |
WiMAX 2+ au 4G LTE |
7GB/月 |
WiMAXのみを利用する『ノーリミットモード』については従来通り通信速度制限は対象外。
WiMAXとWiMAX 2+が利用可能な『ハイスピードモード』については『契約から二年間は容量無制限』となっているものの、2015年4月以降は直近3日間の通信量が1GBを超えた場合、速度制限の対象となる場合があるとされており、この点は実際に制限が適用されるのか、少々不安なところ。
ハイスピードモードにおける通信制限を回避する方法としては、『auスマートバリュー mine』を適用することで、適用期間中は通信速度制限の対象外となる特典を受けることが可能になる。
関連エントリ:WiMAX 2+とauのスマートフォンのセット契約でスマートフォンの通信料を割引する『auスマートバリュー mine』のまとめ | shimajiro@mobiler
4G LTEが利用可能な『ハイスピードプラスエリアモード』はの制限は非常に単純で、通信量が7GB/月を超えた場合、他社のサービスと同様に通信速度制限の対象となる。
なお、ハイスピードプラスエリアモードで通信量が7GB/月を超えると、4G LTEを利用しない『ハイスピードモード』も通信速度制限の対象となるので、ハイスピードプラスエリアモードでの通信時は注意が必要。
※ハイスピードモードが巻き添えを喰らうのを防ぐために、通信量が一定量に到達すると通信が停止(あるいはアラート)されるオプションとかあっても良いかも。
そんなわけで、『NO LIMIT』を売りにしてきたWiMAXだけれど、WiMAX 2+は利用するモードによっては通信速度制限の対象となる場合があるので、利用の際は注意が必要。
WiMAXが他のモバイルデータ通信サービスと異なっていた点に、1つの契約で複数のデバイスを切り替えて利用可能な『機器追加オプション』や、1契約で最大に2台まで同時接続可能になる『ファミ得パック』など、ユニークなオプションが提供されていた点があるけれど、WiMAX 2+サービスではこれらのオプションが提供されない。(現時点では提供不明)
■WiMAX 2+で提供されないオプション
・ファミ得パック
・WiMAX機器追加オプション
・UQ Wi-Fi
・グローバルIPアドレスオプション
というわけで、これまでファミ得パックや機器追加オプションを使っていた方にとってはWiMAX 2+への乗り換えは難しい選択になりそう。
というわけで、WiMAX 2+は『現状のWiMAXの後継サービス』と考えてしまうと、通信速度の制限だったり、契約期間の長期化&解除料値上げ、各種オプションが利用できないといったデメリットもあるので、現在WiMAXを契約している方の乗り換えは、もろもろのデメリットを含めた上で検討するのがベター。というお話。