ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル(およびその系列)で利用可能なiPhone 6/6 Plus向けのLTE基地局数と、キャリアアグリゲーションやVoLTEなどの対応状況のまとめ。
iPhone 6/6 Plusで利用可能な基地局数のまとめ
周波数帯 | ドコモ | KDDI | SoftBank |
---|---|---|---|
2.1GHz帯 (Band 1) |
約40,000局 エリア:全国 速度:75Mbps |
約46,000局 エリア:全国 速度:最大で150Mpbs |
約35,000局 エリア:全国 速度:最大で112.5Mbps |
1.7GHz帯 (Band 3) |
約2,000局 エリア:東名阪 速度:150Mbps |
なし |
約12,000局 エリア:全国 速度:75Mbps |
900MHz帯 (Band 8) |
なし | なし |
Band 8 33局 |
800MHz帯 (Band 19,18) |
Band 19 約14,000局 エリア:全国 速度:75Mbps |
Band 18 約52,000局 エリア:全国 速度:75Mbps |
なし |
700MHz帯 (Band 28) |
2014年度中にサービス開始予定。 エリア:全国 速度:75Mbps ※予定 |
なし | なし |
2.5GHz帯 (Band 41) |
なし |
約15,000局 エリア:全国に拡大中 速度:110Mbps |
約52,000局 エリア:全国 速度:110Mbps |
基地局数合計 | 約57,000局 | 約113,000局 | 約99,000局 |
備考 |
2014年度末までにLTE基地局数を95,300局に拡大予定。 (iPhone非対応の周波数帯も含む) |
下り最大150Mbps対応の基地局数は2014年9月に10,000局突破、12月末までに20,000局予定。 |
※通信速度は下り最大のみ記載/原則として、各周波数帯の中で最もエリアが広い速度を記載。
基地局数データについては、総務省が発表している情報を元に集計されている以下のBlogエントリを参考に作成。
iPhone6,6Plus で使えるLTE基地局数 – KONURE
上記の基地局数はあくまでも基地局『数』でしか無く、本来であれば各周波数帯で利用可能な通信速度や、ネットワークの混雑状況などを含めて検討すべきではあるものの、各キャリアのLTE対応状況を測る指標の一つにはなるかなと思う。
ということを踏まえた上で、各社のLTE対応基地局数(iPhone 6/6 Plusが対応するもの)を比較してみる。
- ドコモ:TD-LTE非対応/キャリアアグリゲーションはiPhone向けに非対応
- KDDI:キャリアアグリゲーション&TD-LTEに対応
- SoftBank:AXGP方式に対応/キャリアアグリゲーションは2015年秋以降予定
ドコモ(およびそのグループ)は、KDDIおよびソフトバンクと異なりTD-LTEの周波数を有していないため、iPhone 6/6 Plusが対応しているTD-LTEに非対応となっている。
更に、2014年度中に提供開始が予定されているキャリアアグリゲーションについても、iPhone 6/6 Plus向けには提供予定がないことが、先日開催されたLTEネットワークに関する説明会にて明らかにされた。
ドコモ、LTEネットワークに関する説明会を開催 – 2014年度末にはLTEエリアが『FOMAと同等』に | shimajiro@mobiler
iPhone 6/6 Plus向けにはドコモのキャリアアグリゲーションサービスは利用することができず、1.7GHz帯による下り最大150Mbps対応エリアとなっている東名阪エリア以外では、2.1GHz帯または800MHz帯による下り最大75Mpbsでの利用が基本となる。
iPhone 6/6 Plusで新たに対応する周波数としては700MHz帯(Band 28)があるものの、こちらは提供開始時期が2014年度中と、もう少し先の話になる。
ドコモのLTE対応基地局数は、2014年度末までに95,300局予定とされており、これによって約110,000局のFOMAと『ほぼ同等のエリア』でLTEが利用可能になる。とアピールされたけれど、KDDIおよびソフトバンクグループのLTE対応基地局数については、2014年8月時点でこの数字を上回っている(あくまでLTE対応基地局数だけの比較)
KDDIは、国内キャリアでは初となるキャリアアグリゲーション導入による下り最大150Mbpsを2014年5月より提供開始。キャリアアグリゲーション導入により、下り最大150Mpbs対応の基地局数は9月10日時点で10,000局を突破、2015年3月末までには20,000局に拡大予定となっている。
※KDDIの2.1GHz帯(Band 1)の通信速度を『最大で150Mbps』としているのは、KDDIは一部のエリア(主に首都圏以外)で2.1GHz帯を下り最大112.5Mbps(15MHz幅)以上の速度で提供しており、エリアによってはキャリアアグリゲーションと関係無く下り最大150Mbps対応しているエリアがあるため。
更に、グループ会社のUQコミュニケーションズが展開するWiMAX 2+のネットワークもiPhone 6/6 Plusで利用可能となり、同エリアでは下り最大110Mbps/上り最大10Mbpsで通信が可能となる。
UQコミュニケーションズの提供するWiMAX 2+の対応基地局数は約15,000局と、ソフトバンクのAXGP方式(約52,000局)と比べると見劣りするものの、キャリアアグリゲーション対応と、TD-LTEへの対応によって従来のiPhoneと比べて通信速度がより快適になるのは間違いない。
※UQコミュニケーションズでは、WiMAX 2+対応基地局を全国の主要都市に拡大しているものの、現時点で『全国エリアで使える』とは言い難いので『全国に拡大中』とした。
ソフトバンクでiPhone 6/6 Plusを利用することを考えた場合、最も大きいのはグループ会社のワイヤレスシティプランニング(以下、WCP)が保有する2.5GHz帯(Band 41)を利用可能となること。
WCPが提供するAXGP方式に対応する基地局数は全国で52,000局と、基地局数だけで言えばUQコミュニケーションズのWiMAX 2+よりもかなり多くなっており、iPhone 6/6 Plusをソフトバンクのネットワークで利用時の約半分を占めている。
同ネットワークは、従来のiPhoneでは非対応となっていたため、ソフトバンクのネットワークでiPhoneを使っているユーザがiPhone 6/6 Plusに乗り換えた場合、従来よりも快適な通信速度で利用が可能になる。
ソフトバンクモバイルは、AXGP方式によるキャリアアグリゲーションに対応する端末を9月26日より発売することを発表したものの、iPhone 6/6 Plusが対応するFDD-LTEでのキャリアアグリゲーションについては2015年秋以降に提供予定となっており、携帯電話の大手3社の中では最も遅い提供となる見通し。
iPhone 5s/5cも対応する900MHz帯(同社は『プラチナLTE』とアピール)については、当初提供開始予定が2014年夏となっていたものの、サービス提供開始予定は大幅に遅れており、現時点で対応する基地局数は33局となっている。(沖縄県の一部エリアなどでは既に提供開始している)
ソフトバンクは、9月17日(木)に開催した『アメリカ放題』に関する発表の質疑応答において、900MHz帯のLTE提供開始については、同周波数帯を利用している事業者との立ち退き交渉を継続しており、2014年度末までには残り1〜2社を残すのみになる見込み。としているものの、全国エリアで同周波数帯による『プラチナLTE』が提供開始できるのか?は不透明。
個人的には、今回のiPhone 6シリーズで使う回線はKDDI回線で利用する予定。
理由としては、KDDIの提供しているLTEについては800MHz帯を中心としたエリアが全国的にかなり広くなっており、首都圏以外でもネットワーク面で頼れる。という点と、現時点ではいち早くキャリアアグリゲーションが導入されており、トラフィックの集中するエリアでも通信速度が低下しにくい。という点に期待しているため。