2017年後半になって、シェアバイク(シェアサイクル)各社の日本参入が相次いでいるので、現時点で明らかになっている各社のサービス展開予定と、個人的に心配に思っていることをまとめて紹介。
Mobike:札幌市内でサービス提供開始、2017年中に国内10都市に展開へ
新規参入の口火を切ったのは、中国発のシェアバイク大手「Mobike」。
日本法人として設立された「モバイク・ジャパン」は、その本拠地である福岡にて国内サービスをスタート予定としていたものの、計画を変更し「二番目の都市」の予定だった札幌市内にて、2017年8月23日よりサービスを提供開始。(この計画変更も、他社の相次ぐ参入が理由かも。)
現時点ではofo、メルカリ(メルチャリ)、DMM.com(DMM sharebike)に1歩先駆けて、この4社の中では唯一、日本国内向けにサービスを提供開始している。
■「Mobike」が札幌で提供開始
札幌での「Mobike」提供開始については以下エントリにてご紹介。
また、モバイク・ジャパンはかねてよりサービス提供予定都市として挙げていた福岡以外に、2017年内に国内の10都市でサービス提供を目指す。としている。(かなりハードルは高いように思うけれど…。)
ofo:ソフトバンクグループと提携し東京・大阪へ展開
「Mobike」と同じく中国発のシェアバイクである「ofo」は、ソフトバンクコマース&サービスと提携し、2017年9月以降に東京・大阪でサービス提供を計画していることを8月9日付けのプレスリリースにて発表している。
■中国・上海の「ofo」
ソフトバンク コマース&サービスのプレスリリースは以下にて。
ofo とソフトバンク コマース&サービス、
シェアバイク事業の協業について基本合意
今後は日本国内で大規模な ofo のサービス展開を行うため、ofo とソフトバンク C&S は独占的協業について計画しており、ソフトバンク C&S は戦略パートナーとして、ofo の拠点網の企画・開発およびマーケティング領域を担当する予定です。また、ofo とソフトバンク C&S は 2017 年 9 月以降、東京、大阪からサービスを開始する計画です。
「2017年9月以降に東京・大阪」という公式情報には期待が膨らむ反面、より詳しい情報については一切明らかにされておらず、東京都および大阪府内の主要エリアにてサービスが提供されるのか、あるいは十分な数のポートが用意されるのか?という点ではやや疑問は残る。
(そもそも、中心部でサービスを提供する。とは明言されていないので、郊外エリアで提供される可能性も十分ありえる。)
メルカリ、DMMも相次いで参入を発表
既に中国を中心としてサービスを提供している「Mobike」および「ofo」に続いて、国内事業者の「メルカリ」は9月7日付けで、さらに翌9月8日付けで「DMM.com」もシェアバイクへの参入を発表するなど、これまでシェアバイク事業を展開した経験の無い事業者も、日本国内でのサービス参入を明らかにしている。
■DMM.comのシェアバイク「DMM sharebike(仮)」
サービス提供時期は、メルカリの「メルチャリ」が2018年初頭で、翌日に発表された「DMM sharebike(仮)」が2017年末〜2018年初頭と、若干ながらDMMのサービスが先行する可能性がある。
※DMMは「参入検討を開始」なので、実際にサービスが提供開始できるか現時点では不透明な部分も。
ただし、両社ともサービスの詳細内容や具体的な参入予定都市に関する情報は明らかにしておらず、またサービス開始タイミングについても数ヶ月後となっていることから、「Mobike」および「ofo」よりはややスタートで遅れているという印象。(Mobikeの計画通り、2017年内に国内10都市でサービスが提供開始されるのであれば、なおさら)
新規参入4社のサービス展開予定比較
サービス名称 | サービス展開予定 |
---|---|
Mobike | 札幌で提供中、2017年中に福岡など国内10都市へ展開を目標 |
ofo | 2017年9月以降に東京・大阪で展開予定 |
メルチャリ | 2018年初頭に提供開始予定 |
DMM sharebike(仮) | 2017年末〜2018年初頭に提供開始予定 |
都内最大手のドコモ・バイクシェア:品川区・渋谷区・練馬区へエリア拡大予定
「Mobike」「ofo」など、続々と国内向けにシェアバイクが新規参入する中、東京都内では最大手となるドコモ・バイクシェアと各区が提供する「ちよくる」などのサービスも提供エリアを拡大予定。
2017年8月末時点で、東京都内6区(千代田区・港区・江東区・中央区・新宿区・文京区)および大田区の計7区にてサービスが提供開始されており、駐輪ポート数は約300ポート、自転車台数は推定で3,000台規模に成長している。
■ドコモ・バイクシェア(大田区コミュニティサイクル)
さらに、2017年度内には品川区・渋谷区・練馬区でのサービス提供が予定されており、全ての区で相互乗り入れが可能となれば、都内23区のうち半分近い都内10区にてサービスが提供開始されることになる。
(豊島区に関しても自転車シェアリングを導入予定となっており、ドコモ・バイクシェア系のサービスが導入される可能性がある。)
新旧多数の事業者が入り乱れるシェアバイクで不安なこと
新旧多数の事業者が入り乱れる様相となったシェアバイクで不安なのは、適切な数のポートが設置されるのか?という点。
シェアバイクのポート設置に関しては、「札幌市にてサービスを提供開始する」ことを宣言した「Mobike」のポートが、実際には札幌駅および付近の中心部にはポートが設置されておらず、隣接駅である桑園駅〜琴似駅の間にポートが設置してサービスを開始しているほか、マレーシアでのサービスに関しても首都クアラルンプールではなく、近郊のシャーアラムにてサービス開始するなど、最も利用者が見込めるであろう場所(各都市の中心部や繁華街)へのポート確保に難航している印象。
また、国内系の事業者では、ドコモ・バイクシェアとセブンイレブンの提携によるポート設置が順調に進んでおらず「2017年6月末までに、都内セブンイレブン100店舗にポート設置予定」とした目標は、おそらく8月末時点でも30店舗以下にとどまるなど低調で、ドコモ・バイクシェアについてもポート設置が計画通りには進んで無い印象。(ポート自体は徐々に増加しているけれど)
「(好きな場所への)乗り捨て型」というサービスが提供される可能性が無いことを前提に考えると、駐輪ポートが十分に用意されないと、サービスとしての使い勝手はイマイチ。とは言え、東京都心部などへ新たに複数の事業者の駐輪ポートを準備するだけの物理的な余裕がるとはとても思えず、過密エリアでのポート設置は共通課題となりそう。
そんなわけで、特に都心部などでは駐輪ポートの不足によってサービスの利便性が上がらないことと、結果的に迷惑駐輪・違法駐輪を増加させることになり、地域社会に受け入れられないサービスとなることが個人的には心配なところ。