8月9日より発売されている『Pocket WiFi GL09P』を約3週間ほど使用してみたのでレビュー。
- 通信速度:AXGP接続時は快適
- エリア:圏外にはならずとも通信速度が遅くなるエリアも多々
- 販売価格&月額料金:発売直後に端末代は一括0円に、通信料金は2,180円/月で維持可能
- モバイルバッテリー機能:通常のUSBケーブルが『そのまま使える』のは便利
- サイズ感&重さはモバイルWi-Fiルータの中でも最大級
- APNが非公開でSIMカードがGL09P専用なのが残念
GL09Pで予想外に快適だったのはAXGP接続時(端末上には『4G』と表示される)の通信速度で、AXGPのエリア内では、他社のLTEサービスの中でも、下り最大75Mbps以上に高速化されたエリアで利用するのと遜色の無い速度が得られた。
AXGPについては、利用者が集中することが少ないせいか、極端に速度が遅くなる事はなく、AXGPエリア内であれば一定の以上の通信速度が保たれていたこともあって、AXGP接続時は通信に対するストレスが少なかった。
GL09Pの端末&ネットワークの使用感を試すために集中的に使った。という理由もあるけれど、購入してから約3週間の間にGL09Pの通信量が7GB/月を超えた。というのも、AXGP接続時の通信が快適であることの裏返しであるように思う。
■通信量は制限を受ける7GB/月を超過
■スピードテスト結果:下り22.57Mbps/上り4.87Mbps
※AXGP接続時の速度
ただし、GL09Pのサービス仕様は
・AXGP接続時の上り通信速度が最大10Mbpsと、下りの最大値である110Mbps比べると抑えられている
・通信量が7GB/月を超えた場合、速度制限の対象となる
となっており『大容量のデータをアップロードする』という用途には向いていない。
『GL09P』が対応する『EMOBILE 4G』のサービスは、GL09P以外のEMOBILEの通信サービスと比べると、一ヶ月あたりの通信量の制限が強化されているので、既存のEMOBILEサービス契約者がGL09Pを利用する際には注意が必要。
関連エントリ:GL09PにおけるA回線(EMOBILE回線)/B回線(SoftBank回線)の整理と通信速度制限のまとめ | shimajiro@mobiler
端的に言ってしまうと、GL09Pは『SoftBankのサービス』であると言って差し支え無く、手続き上は『EMOBILEから機種変更』という形で変更が受け付けられているけれど、実際には他社のデータ通信サービスに乗り換える。というぐらいの違いがあると思った方が良いかもしれない(既存のEMOBILEサービス契約者は)
GL09Pは、AXGP接続時の通信速度が快適である一方で、ネットワークのエリア的にはイマイチ。という印象が拭えなかった。
というのも、接続されるネットワークによって通信速度&エリアが異なっており、最も快適な速度が得られる可能性が高いAXGPについては、都内の地下鉄で利用できないほか、地方都市を移動した際も繋がらないことが多かった。
GL09Pは、AXGP以外にも多数のネットワークに接続が可能となっているので、通信が全くできないケースはそれほど多くなかったけれど、『圏外にはならないけれど快適な通信速度が得られないエリアが多い』という印象で、『快適な速度が得られるエリア』についてはauの800MHz帯のLTEが利用可能な『Wi-Fi WALKER LTE』(HWD11)の方が高速通信可能なエリアが広く、郊外では特にその差が大きかったように思う。
GL09PのメインであるAXGPについては、ソフトバンクの主力端末であるiPhoneシリーズが非対応となっていることから、今後のエリア拡大がどうなるのかやや不透明な面もあり、GL09Pを二年間利用するには、少々不安がある。
GL09Pが対応する、AXGP以外のネットワークについても『他キャリアよりもエリアが広い』と感じることは無く、総合的に『エリアのメリット』は、他キャリアの端末と比べると薄いように思う。
GL09Pは定価40,800円、通信料の割引総額が同じく40,800円(1,700円 × 最大24ヶ月)のいわゆる『実質0円』端末だけれど、実際には販売開始から1週間以内に『一括0円』で販売されている状態となっている。
関連エントリ:GL09Pが発売から1週間を待たずに新規一括0円に値下げされている | shimajiro@mobiler
GL09Pの端末代が一括0円になった場合、毎月の料金は以下の計算になる。
端末代(割賦):0円
通信料:3,880円/月
月額割引:▲1,700円/月
———————————
合計金額:2,180円/月
上記のように端末代が一括0円の場合、毎月の通信料は約2,180円となり、モバイルデータ通信サービスとしては比較的安価な部類に入ると言える。
※ただし、契約期間は二年間/契約期間中の解除料は9,975円発生するので注意。
GL09Pのバッテリーは5,000mAhの大容量となっており、スマートフォンなどへの給電が可能なモバイルバッテリー機能を備えている。
モバイルバッテリー機能を備えたWi-Fiルータは他にも多数販売されているけれど、GL09Pメリットは『変換ケーブルなしで、通常のUSBケーブルがそのまま使える』ことで、モバイルバッテリー機能を利用するために、専用の変換ケーブルを携行する必要が無い。
たかがケーブル1本の話ではあるけれど、『モバイルバッテリー機能を使いたい』と思った時に、サクッと通常のUSBケーブルのみで給電が可能となるのは、従来のモバイルWi-Fiルータでは実現されていない使い勝手で、個人的には専用の変換ケーブルを使っての給電が手間に感じていたので、これは素直に使い勝手が良い。
GL09Pのサイズはスペック値で幅110.2mm、高さ67.7mm、厚さ18.7mm、重さは約168gとなっており、WiMAXなどの小型化、薄型化が進むモバイルWi-Fiルータの中では『最大級』の端末と言える。
モバイルWi-Fiルータは鞄の中に入れて使うのでサイズは気にしない。という方にはそれほどデメリットには感じないかもしれないけれど、どうしても『ゴツイ』と感じずにはいられないので、小ささ・軽さを重視する方には向いていない。
GL09Pがインターネットに接続するためのAPN(Access Point Name)が非公開となっているため、SIMフリーのモバイルWi-FiルータなどにSIMカードを差し替えて利用することができない。
GL09PのSIMカードを、EMOBILE LTE対応のGL06Pに挿した際の動作結果は以下。
GL09PのSIMカードはGL06PなどEMOBILE LTE端末で利用できない | shimajiro@mobiler
今後発売されるAXGP対応のモバイルWi-Fiルータでも同様なのかは不明だけれど、少なくとも現時点ではGL09PのSIMカードは、別の端末で利用することができない『GL09P専用SIM』になっているので、SIMカードの汎用性が低い(別の端末で使えない)というのも、例えばドコモのSIMカードがスマートフォンでもモバイルWi-Fiルータでも利用可能であることを考えると使い勝手が悪い。
まとめ:バッテリー長持ちかつAXGPは快適だけど、それ以外の魅力が弱い
GL09Pを3週間程度使った感想をまとめると『連続通信時間が最大14時間と長く、AXGPの速度は快適だけれど、それ以外の魅力が薄い』という結論で、GL09Pの最大のウリとも言える複数のネットワークへの対応は、実際に使ってみるとあまりバランスが良いと感じることが少なかった。
と言うのも、AXGPでの通信は快適な一方で、AXGPのエリアは他社のLTEサービスより狭く感じているし、高速移動中にはAXGPからULTRA SPEEDやEMOBILE LTEに接続されることが多かった。
これらのネットワークは、他社のLTEサービスと比べると、通信速度が遅い場所も多くなっているので、ストレスを感じることも多く、それであれば最初から他社のLTE対応のモバイルWi-Fiルータを使った方がストレスが少ない。という印象。
マルチネットワークに対応する端末は、『高速だけどエリアが狭いネットワーク + 速度はそれほど速くないけれどエリアが広いネットワーク』などを組み合わせが有効で、例えば同じモバイルWi-Fiルータの例言うと、auのDATA08W(WiMAX + 3G)は容量無制限&高速通信に対応したWiMAXと、通信速度はそれほど速く無いながらもエリアが広いauの3Gに対応しており、高速通信 + エリアの広さが実現された端末となっているけれど、GL09PについてはAXGP以外のネットワークについて『エリアが広いのでどこで使っても安心』とは言えず、マルチネットワーク対応がどうしても『ちぐはぐ』に感じてしまう。
というわけで、全体的にはやや辛口ではあるものの、AXGP接続中の速度については概ね満足。ということで、AXGPのエリア内での利用がメインで、容量制限などに引っかかる心配が無い。という方が使うと良いのかなと(^ ^;
⇒ただ、その用途であれば他社のLTE対応のモバイルWi-Fiルータ + 公衆無線LANの組み合わせの方がコストパフォーマンスが良い気がする。というのも正直なところ…。