UQコミュニケーションズは、WiMAX 2+サービス向けの通信速度制限の内容を変更することを発表。新たな速度制限は2017年2月2日より適用が開始される。
UQコミュニケーションズのお知らせは以下にて。
WiMAX 2+サービスにおける速度制限の今後の対応について | UQ WiMAX|超高速モバイルインターネットWiMAX2+
速度制限の変更内容(概要)は以下。
■適用開始日
2017年2月2日
■制限内容
・直近3日間通信量(WiMAX 2+およびau 4G LTE)が10GBを超えた場合
・通信速度制限は18時から深夜2時まで、それ以外の時間帯は制限なし
・制限時速度は最大で1Mbps程度に低速化
現在のWiMAX 2+サービスにおける通信速度制限は「直近3日間で3GB」を超えると、通信速度が終日制限されている。制限時の速度は非公開ながら、直近の調査では制限状態の通信速度は最大4Mbps程度(関連エントリ)。
UQコミュニケーションズが新たに発表した制限内容は、直近3日間の通信量が10GBを超えた場合に制限対象となる。速度制限は18時から深夜2時頃の間のみ適用され、その他時間帯に関しては直近3日間で10GBを超えている場合でも速度制限の対象外となる。
制限対象となる容量が直近3日間で3GB→10GBへと大幅に緩和される上、制限対象となる時間帯が夕方から深夜のピークタイム限定と制限が緩和一方で、制限時の通信速度は送受信共に最大4Mbps→1Mbps程度へと制限が強化される。
WiMAX 2+の速度制限内容を比較すると以下。
●「直近3日間」の通信量に基づく速度制限
項目 | 現在 |
変更後 (2017年2月2日より) |
---|---|---|
制限対象容量 | 直近3日間で3GB | 直近3日間で10GB |
制限対象時間 | 終日 | 18時から深夜2時 |
制限時速度 | 非公開(実測で最大4Mbps程度) | 1Mbps程度 |
UQコミュニケーションズのこれまでのWiMAX 2+サービス向けの速度制限の経緯を振り返ってみると、UQコミュニケーションズではWiMAX 2+のサービスを発表した時点から、WiAMX 2+に関しては従来のWiMAXと異なり通信速度制限を適用することを明言していた。
2015年4月より実施を予告していた速度制限は、実際には2015年5月下旬に制限が適用開始。直近3日間の通信量が1GBを超えた利用者を対象とした速度制限は、約15%程度のユーザが対象で、制限時の速度は最大1Mbps程度。
関連エントリ:UQ、WiMAX 2+で「3日間で3GB」の速度制限を5月末目処に開始 – 15%前後のユーザに影響か | shimajiro@mobiler
UQコミュニケーションズがWiMAX 2+向けの通信速度制限を提供したのは2015年5月下旬が初めてで、速度制限の開始後はWiMAX 2+向けの制限内容を正しく認識していなかった利用者から反発の声が広がり、一部の契約者が訴訟を起こす(現在係争中)などの動きがあった。
これを受けて、UQコミュニケーションズでは暫定対応として制限状態の通信速度を最大1Mbps程度→6Mbps程度に制限緩和。具体的な速度については非公開としながも、制限状態でも利用できる通信速度を高速化していた。
関連エントリ:WiMAX 2+「直近3日間で3GB」の速度制限を上限6Mbps程度に緩和 – 速度制限時でもかなり実用的に | shimajiro@mobiler
UQコミュニケーションズは、2015年7月に暫定的な制限緩和を発表した際に「直近3日間で3GB」を見直す予定であることを発表しており、今回新たに発表された速度制限(3日間10GB)は、恒久的な速度制限の対応にあたる。
暫定対応として「直近3日3GB」を変更せずに、制限時速度を緩和した際の発表は以下。
UQコミュニケーションズからみなさまへのお知らせ|UQ WiMAX|超高速モバイルインターネットWiMAX2+
また、「3日間で3GB」超の規制方法につきましてはお客様から頂いたご意見を参考にして、より利便性の高い運用方法を検討して参ります。その準備が整うまで、「3日間で3GB」の方式については従来通りとさせて頂きますが、規制後の速度につきましては現行よりもさらに速度を上げ、規制後のご不便を緩和する方向で運用していくことと致します。
WiMAX 2+サービスの速度制限の推移は以下。
●WiMAX 2+速度制限の推移
時期 | 閾値 | 制限対象時間帯 | 速度制限 |
---|---|---|---|
2015年5月下旬 | 直近3日間で3GB | 終日 | 1Mbps程度(非公開) |
2015年7月15日 | 6Mbps程度(非公開) | ||
2016年10月下旬 | 4Mbps程度(非公開) | ||
2017年2月2日 | 直近3日間で10GB | 18時から深夜2時 | 概ね1Mbps程度 |
新たに発表された速度制限の内容を見ると、制限対象となる容量が直近3日間で3GB→10GBと緩和された上に、制限対象となる時間帯が18時から深夜2時までのピークタイムのみとなっており、制限対象となっている状態でも日中時間帯に関しては速度制限対象とならない点が大きなポイント。
UQコミュニケーションズが制限対象となる時間帯を夜時間帯のみに限定するのは、それ以外の時間帯に関しては比較的トラフィックに余裕があり、速度制限を行う必要が無い。という自信の表れのように思う。
■UQが公開するトラフィックデータ
速度制限対象時間帯となる夕方から深夜時間帯の速度は1Mbps程度となり、従来よりも厳しい速度制限が適用されるものの、MNOの高速データ通信を使い切った後に適用される128kbpsや、UQ mobileやmineoなどのMVNOサービスが提供する「高速データ通信容量を消費しないモード」である200kbps – 300kbpsと比べれば余裕があるので「全く使い物にならない」速度ではない。
→もともと、(反発も大きかったけれど)WiMAX 2+で直近3日間3GBを超えた際の通信速度制限は終日1Mbps程度の制限だったことを考えれば、全体で見ると大幅な緩和とも言える。
速度制限の対象となる時間帯に関しては、通信速度が最大1Mbps程度に制限されるため、自宅や事務所の固定回線代わりにWiMAX 2+を利用している契約者に対する影響は小さく無い。
ただし、固定回線代わりにWiMAX 2+を利用していても「直近3日間の通信量10GB」を超えるのは、長時間の動画閲覧やクラウドサービスへのデータアップロード/ダウンロードを大量に行っているユーザなど、対象となる利用者はそれほど多くないように思う。
→恒常的に速度制限の対象となり不便がある場合には固定回線を利用した方がストレスが少ないのは明白だけれども、UQコミュニケーションズとしては固定回線サービスを提供していない。
個人的には、制限状態の通信速度が4Mbps→1Mbps程度に低速化することよりも、日中時間帯に関しては速度制限が行われなくなることによって、日中時間帯のWiMAX 2+サービスの実効速度低下が発生しないか?がやや心配で、この点については新しい制限が運用開始された後の実効速度が気になるところ。